日鉄が仮想実験、EV材軽く強く
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昔からFEM(有限要素法)などのシミュレーションはあるが、何が違うのかが気になる。
検証のポイント数の桁が違うことは窺える。そこが違いなのか(そうだとすれば可能たら占めたのは純粋に計算力の進化なのか、なにかそれ以外なのか)、それとも方法論としてもFEMとかと違うのか。最新の超ハイテン鋼の特性は当然ながら鋼材の会社しか持ち合わせてないでしょうし、ハイテンとは言え弾性係数(ヤング率)は通常の鋼材と変わらない。
ハイテンが強いのはあくまで元に戻らない、もしくは破断する塑性変形領域。
つまりハイテン使っても通常の車体剛性は変わらない。
なので、ハイテン鋼を生かすには、その形状によって剛性を担保しなくてはならない。設計に大きく依存する。
その設計をどうするかにより、ハイテン採用が決まるわけですから、売り込みたい鋼材会社は注力しますよね。計算方法は普通のFEMでしょう。衝突ということであれば、塑性変形を含む非線形領域の計算になりますが、それ自体は一般的な商用FEMソフトでもできることです。
問題は、非線形領域の材料データがあるかどうかです。一般的な材料ではよく見かけますが、例えば温度依存や、わずかに組成を変えたときの挙動などは、手に入れるのが難しいです。
データがなければ、自分でデータ取得するか、あるいは素材メーカーに仕様を聞いてもらって良さそうな材料のデータをもらいます。普通はこういうやり方が多いのではと思います。
やり取りに時間がかかるのもそうですが、当然顧客は複数社に打診していて、肝心の評価は顧客がやっているので、買ってもらえるかどうか見通しが立ちません。また、例えば自動車業界として、どういった材料が求められる方向性なのかもわかりません。
日鉄の取り組みは、顧客の材料使用環境にまで深く入り込むことで、そういった不透明性を解消することができます。顧客としても、材料メーカー側でそこまでやってくれるのであれば、歓迎するでしょうし、そもそも完成品メーカー側から、高度な提案をしてくださいと依頼するケースも多いはずです。
それだけでも互いに美味しい話ですが、材料メーカーでしか持ち得ない物性値の蓄積が、提案サービスの付加価値として機能しているところは、多くのメーカーにとってモデルケースになる取り組みと思います。
いや、すごく良いと思います。テスラみたいに垂直統合、自前主義なやり方はインテグレーション面でひとつの理想と思いますが、こうして専業メーカーの深い知見が設計の深いところに作用反映されていくのも理想のひとつだと思います。