【Q&A】抗体カクテル療法について、知っておくべきこと
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抗体カクテル療法は、発症早期の「まだ」軽症の段階にある患者に対して、重症化を予防するために用いるという役割を確立しています。
残念ながら、すでに重症化してしまった患者に対する研究では、その有効性を示すことはできていません。このため、治療というよりも予防に近いところの薬剤というイメージを持っていただくと良いでしょう。
ただし、ウイルスが感染して体内で増えて広がり(この時点で症状を感じ始める)、そこから数日して、やっとウイルスを撃退するための抗体が投与されるというタイムラインになり、ウイルス側からすれば、十分に増える時間を確保できることになります。
一方で、ワクチン接種を受けていれば、そもそも体の中に抗体を備えておけるので、ウイルスが体内に入ってきた瞬間から撃退の作業を始めることができます。同じ予防でもワクチンに分があると考えられるのはこのためです。そもそも抗体とは何か、というところから解説しています。
山田悠史医師に取材させていただきましたが、抗体カクテル療法も、ワクチンも、どちらも抗体によってウイルスと戦うという意味では、似ている対抗方法とのこと。
抗体カクテル療法が、重症化のリスクを約70%低減できるというのは、やはり効果が高いように思えますが、ワクチンは90%以上の発症予防効果があると考えると、「ワクチンに勝る薬はない」と考えさせられます。わかりやすい解説記事です。コロナは感染すると、5~7日ほどで発熱や咳などの症状が出始め、その後1週間ほどかけて重症化していくという特徴があります。発症する前までの5~7日、発症してから重症化に至るまでの数日間は特にウイルスが増殖している期間であり、メカニズムから考えるとこの抗体カクテル療法が最も適している時期です。
コロナの重症化リスク因子を 1 つ以上持つコロナ患者を対象とした臨床試験で は、入院または死亡に至った被験者の割合は抗体カクテル療法を行ったグループでは1.0% 、行っていないグループは3.2% で約7割の減少という有望な結果を残しています。
ただし実際に使用するとなると難しいのは、入院が必要なほど呼吸状態が悪化した中等症もしくは重症の患者は、これらの薬を使用するゴールデンタイムを逃しているという点です。俯瞰してみれば入院患者を減らすという点でメリットは大きいですが、生死をさまよっているほど悪化した方にとっては残念ながら「最後の切り札」とはなり得ないものです。