(ビジネス)『ケアとは何か』 村上靖彦〈著〉
朝日新聞デジタル
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今日の朝日新聞の書評では、村上靖彦先生の『ケアとは何か』(中公新書)をご紹介しました。
看護・福祉領域の事例を扱った本ですが、様々なケアの現場での実践のエピソードを現象学の視点から考察が深められたとても興味深い一冊です。
私は、企業変革における「改革疲れ」の問題を考える上で、このケアの視点は極めて参考になりました。
企業変革のお話を色々な方に伺ったり、本を読んだりする中で、「危機感が足りない」という言葉と「改革疲れ」という2つの言葉に直面する言葉がしばしばあります。
この2つの言葉は、方や「改革の必要性を組織成員が理解していない」という無知と傲慢さの問題として、方や「改革の成果が出ない」という現場の理解の不足の問題、あるいはミドル以下が上から降ってくるものに対しての違和感の問題として語られているように思います。
基本的にこれらの背後に垣間見えるのは、現場が動かない、もしくは、やりたくもないことをやらされる、という問題であり、この背後には、ニーズのないところでの変革の実行という問題があるように思います。
日本の多くの企業が変革を必要としている段階であることは疑う余地のないことです。しかし、なかなか変革が進まないのは、ニーズのなさに対する手立てが見いだせないからではないかと思うようになりました。
この本では、看護や福祉の領域でのケアの事例が様々に取り上げられ、論じられているのですが、まさにこのケアの視点、実践こそこうした企業変革の現場に必要なもののように思います。ケアがあるところに、ニーズが芽生え、自発性を持った変革につながっていくのではないかと思います。