[東京 16日 ロイター] - 西村康稔経済財政担当相は16日午前、2021年4―6月期実質国内総生産(GDP)発表後に記者会見し、ペントアップ需要(繰越需要)は少しずつ発現しているが、当面は新型コロナウイルスの感染拡大を抑えることを最優先する必要があるとの認識を示した。また、状況に応じて予備費の活用などで、臨機応変に必要な対策を講じていく考えを明らかにした。

4―6月のGDP1次速報は前期比0.3%増、年率換算で1.3%増のプラス成長となった。GDP統計の多くを占める個人消費が2四半期ぶりに増加に転じたほか、堅調な企業業績を背景に設備投資がプラスに寄与した。

西村経財相はこの結果について「想定した通り、あるいはそれよりやや強い数字となっている」と評価。政府の2021年度の実質成長率(GDP)見通しであるプラス3.7%成長を確実に実現をしていきたいとし、現時点で、年内にコロナ前の経済水準を回復するとの見通しを変えることはないと述べた。

西村経財相はまた、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために経済活動を抑制する中、若者を中心に旺盛な消費意欲や活動意欲を感じていると指摘、この点は「非常に複雑な思い」だと語った。現段階では、コロナの感染拡大を抑えることを最優先する考えで、感染拡大が長引くことは経済に良くないとの認識を示した。

7─9月期の見通しについて、7月と8月は緊急事態宣言を発出しているため、その影響にしっかり目配りすると述べる一方、ペントアップ需要は少しずつ発現してきているとした。

また状況に応じて、残額約4兆円の予備費の活用で臨機応変に必要な対策を講じるとし、自律的な経済成長に向けて、躊躇(ちゅうちょ)なく機動的なマクロ経済政策運営を行っていく考えを示した。