【宇田左近】不祥事続きで存亡の危機 大手メーカーを立て直した「社長の選び方」とは
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過去記事のアーカイブを見ると、2000年以降、荏原製作所はダイオキシン流出、談合、所得隠し、不正支出と不祥事に揺れ続けてきたことがわかります。その後、会社はどうガバナンス改革を進め、立て直しの道を歩んだのか。10年前から同社の社外取締役を務める宇田左近さんのインタビューです。
■「社外取締役コレクター」はいらない
――社外取締役の人材が不足しているために、特定の人に就任の依頼が集中し、社外取締役を「掛け持ち」する事例も目立っています。
社外取締役の仕事が「お飾り」ということであれば、何社も掛け持ちしている方にお願いすることでもよいと思います。ただ、荏原製作所においては、社外取締役として入っていただく方々には、掛け持ちについて厳しい条件を付けています。どんなに立派な経歴でも「社外取締役コレクター」のような人は入っていただいていない。掛け持ちが多いということは、裏を返せば、「かたちだけ」の社外取締役が多いということかもしれませんね。
――宇田さんは、2019年から社外取締役として取締役会議長を務めています。
指名委員会等設置会社で、社外取締役が取締役会議長をやっている会社はとても少ないでしょう。議長のおもな役割は取締役会のアジェンダ設定です。何を議論するかに関与することです。多くの日本企業では「これは取締役会の議題にしないで社内で決めよう」という風に、社内で議題を選んでしまう。社外取締役も問題が起きたときには「知りませんでした」「聞いていなかった」と逃げてしまう。
これではダメだと思います。社外取締役が議長をやることの最大のポイントは、議題の設定に関与し、その選定に責任を負うということです。「知らなかった」「聞いてなかった」と逃げることはできません。
取締役議長である私自身の評価も、取締役会で行っています。そのときは、しばらく席を外して、「このまま次年度も宇田に取締役議長をやらせてもよいか」ということを話し合ってもらっています。仮に私が暴走しても、歯止めがかかる仕組みになっています。