2021/8/14

【実用化間近】生みの親が語る「次世代太陽電池」のすべて

NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
光を電気に換える太陽電池は、太陽光発電システムのかなめだ。
今、世界で最も注目を集める次世代太陽電池をご存じだろうか。
その名も「ペロブスカイト太陽電池」。
軽量で薄型のフィルム状の太陽電池が安価で製造できると期待され、世界中で実用化を目指した熾烈な開発競争が繰り広げられている。
このペロブスカイト太陽電池を、2009年に世界に先駆けて発明したのが、桐蔭横浜大学の宮坂力・特任教授だ。
ノーベル賞候補とも目される宮坂博士が、「曲げられる太陽電池」の幅広い可能性と、発明の道のりを語った。
INDEX
  • 曲げられる太陽電池
  • ペロブスカイトが有望視されるわけ
  • 院生がもたらした新素材
  • 当初は追試もされず
  • 共同研究で世界が注目
  • 「人とのつながり」が発明を呼んだ
  • 月の光でも発電可能?
  • ルールを作れば普及する
  • 最適な用途は車

曲げられる太陽電池

まず、下の試作品の写真を見てほしい。「セル」と呼ばれる最小単位のペロブスカイト太陽電池だ。
ペロブスカイト太陽電池(宮坂力・特任教授提供)
プラスチックのフィルムに材料を塗布して作られ、厚さはわずか126ミクロン(約0.1ミリ)。しなやかに曲がる材質であることがわかる。
こうした特性を生かし、建物の屋根や壁面、窓、自動車、衣類、ウェアラブルデバイス、IoT(モノのインターネット)、さらには宇宙衛星など、幅広い用途が期待されている。