2021/8/23
【freee×サイトビジット】バックオフィス変革の“狼煙”を上げ、中小企業のイノベーション創出を底上げする
サイトビジット | NewsPicks Brand Design
リモートワークの定着にもかかわらず、未だ紙の文書に署名・押印をするためだけに出社を余儀なくされたビジネスパーソンも少なくない。
世界では電子契約サービスが普及し、脱ハンコ化が進んでいる一方で、日本は世界で最も契約業務のデジタル化が遅れているといわれる。
そんななか、ワンストップ型の電子契約サービス「NINJA SIGN by freee」のSaaSビジネスなどを展開するサイトビジットが躍進している。2021年4月には、中小企業向けのクラウド会計システムを扱うfreee株式会社の傘下に入り、更なるサービス拡大を狙う。
日本の99.7%を占め、360万社もある中小企業(※)のバックオフィスのペインを、両社はどう解決していくのか。株式会社サイトビジットの鬼頭政人社長と、freee株式会社の佐々木大輔 CEOとの対談から、その戦略をひもといていく。
※国税庁「平成29年度統計年報」総務省統計局「2016年6月経済センサス活動調査」
INDEX
- スマホ・PC・コロナ……。中小企業でもSaaSが広がっている
- 中小企業における「契約業務」の課題とはなにか
- freeeはなぜ、サイトビジットをグループ化したのか
- スモールビジネスが、世界をもっと良くしていく
スマホ・PC・コロナ……。中小企業でもSaaSが広がっている
──コロナ禍以降、フロントオフィス、バックオフィスにかかわらずSaaSが躍進しています。
佐々木 私たちが生活をしていくうえで、スマホとPCを使い、動画や音楽、ゲームといったクラウドサービスを利用することはスタンダードとなっています。
そんな世の中において、ビジネスでもSaaSの導入を検討するのは必然の流れです。
加えてコロナが契機となり、企業には「出社率を下げる」「対面の会議や商談を減らす」という使命も加わりました。
業務をリモート化すれば、感染を回避するだけでなく、仕事の効率化にもつながる。特にバックオフィスにおける労務管理・税務申告・会計・契約といった業務は、SaaSを使えば大幅に効率化されますから。普及するのは当然の結果といえます。
鬼頭 我々は、その中でも契約業務の煩雑なプロセスをオンラインで完結できる、SaaS型の電子契約サービス「NINJA SIGN by freee」を提供しています。
コロナ以前も、電子契約を活用する人は一定数いたのですが、ほとんどは「何それ?」という状況でした。
事実、我々が実施したアンケート調査でも「契約は紙(にハンコを押す)だけが有効である」と思っている人が6割近くもいましたからね。
それがコロナ禍によって、リモートワーク期間中の「ハンコ出社」などの“無駄”がクローズアップされ、大きな変化の波が前倒しで押し寄せてきた感じがしています。
最初は「このマーケットって本当に成立するの?」という懐疑的な意見もあったんですが、今では「この注目のマーケットで誰が勝つか?」という空気感に変わってきました。
中小企業における「契約業務」の課題とはなにか
──そもそもサイトビジットは、なぜ電子契約に着目したのですか?
鬼頭 我々はもともと、司法試験をはじめとする資格試験学習を支援するサービスを展開していました。
事業が一定の成長を遂げてきたタイミングで、法律関係に携わっている人に向けて、実務のサポートをしていきたいと考え始めるようになりました。
最終的に電子契約にフォーカスしたのは、リーガルの領域において、最も多くの人に使われるサービスであるという結論に至ったからです。
──それはなぜでしょうか?
なぜなら、あらゆる仕事を進めるためには、必ず契約を締結する必要がある。にもかかわらず、契約業務には大きなペインがあった。
特にそのペインが顕在化するのが「中小企業」です。
そもそも、中小企業は社員の人数が少ない。特に契約業務を担当する法務は、経理や労務との兼任も多いため、専任がいない企業もあります。そのため、本来注力すべき業務に時間を割けなくなってしまうのです。
その課題を解決するのが「NINJA SIGN by freee」です。
──なぜ「NINJA SIGN by freee」が、中小企業の契約業務を解決し得るのでしょうか。特徴を教えてください。
鬼頭 大きな特徴として、「NINJA SIGN by freee」は法務の知識が浅い人や、忙しい人でも、迷わず簡単に使える設計になっています。
UIとしては、内容が直感的に分かるように、日常的に使うウェブサービスの入力フォーム形式になっています。それに回答するだけで、契約書が作成可能なんです。
「NINJA SIGN by freee」の入力フォーム画面
佐々木 「NINJA SIGN by freee」は法律や契約に関して、全く自信がなくても作成できるので、ユーザーが“成功体験”を得られやすいんです。そこにこそ、このサービスの優位性を感じています。
私は、この「簡単にできる」というメリットの実感が、SaaSの導入にはとても大切だと考えています。誰かの成功体験を見ると、隣の人も「じゃあ、やってみようかな」となりますから。
成功体験が得られないままだと、たとえ手取り足取り説明しても途中でやめてしまう。だから、少しでもペインを解決できるサービスであることを実感してもらわないといけないんですね。
鬼頭 特に、法務専任者がいない場合が多い中小企業では、法律や契約業務に苦手意識のある人も多い。そう考えると、簡単に使えるような仕組みを作ることは当たり前といえば当たり前ですが、とても重要です。
実際に、「NINJA SIGN by freee」を利用いただいている経営者の方からは、社内だけでなく取引先の方々からも好評を得ていると聞いています。
総務担当の方にも「使う側の立場で設計されており、直感的に操作できる。利用者にやさしいサービス」という声をいただいているので、狙い通りのユーザー体験が構築できているのではないかと思います。
BtoBであれば「業務上必要だから多少使いにくくても我慢する」みたいなケースもあり得ると思いますが、我々はもともとBtoC向けのサービスを展開していました。
BtoCは少しでも使いにくさがあったり、ユーザー体験が悪かったりすると、解約されるおそれがあります。ひいては、それがサービス存続の命取りになる可能性もある。
そういった危機感を持っていたからこそ「NINJA SIGN by freee」では、使いやすいUIやUXを心がけて、プロダクト作りに力を入れてきたんです。
──ユーザー体験を上げるためにプロダクトを磨き込む。それが唯一の勝ち筋なのでしょうか?
鬼頭 それだけではありません。サポート体制も強化しています。あえてチャットやメールの問い合わせだけでなく、コールセンターの拠点を置き、電話サポートを充実させています。
一般的に、電話に対応できなかった「放棄呼率」が10%を下回ると優良といわれるなかで、我々は2.2%を実現しています。
中小企業の担当者は、メールやチャットに慣れていない方も多い。それに、自分が何に困っているのかテキストにまとめることも難しかったりしますよね。
そういった方の成功体験を早急に実現するためにサポート体制を充実するのは、実はとても重要なんです。
──「使いやすさ」と「サポート力」という点が強ければ、他社のサービスにリプレイスされることもなさそうですね。
鬼頭 電子契約の場合、そもそも紙とハンコからのリプレイスなので、会計や人事労務などのSaaSと比べて解約される可能性が低いんです。
相手が1回でも使ってくれれば、圧倒的な便利さを実感してもらえるので、実際は使い続けてもらえることが多いですね。
佐々木 これから中小にかかわらず、企業は取引相手から「そろそろ、おたくも電子契約でやってもらえませんか?」と、リクエストが増えてくると思います。
実際にfreeeのサービスでも社団法人や教育関係など、少しお堅いイメージのある業界での導入事例が増えてきている。
昔はIT企業やベンチャーに営業しないと、なかなかアツい商談にはならなかったのですが、少しずつ状況が変わってきましたね。
freeeはなぜ、サイトビジットをグループ化したのか
──freeeもサイトビジット同様、中小企業にアプローチするビジョンを掲げています。2021年4月にサイトビジットをグループ化したのも、シナジーを見込んでのものでしょうか。
佐々木 2021年6月に、我々は「だれもが自由に経営できる統合型経営プラットフォーム。」を新たなビジョンとして掲げました。
請求書発行や入金、支払いといった業務をこなすだけで、自動的に記帳される……。というように、経営や仕事を自由にする世界を作っていきたいんです。
そのために、会計や人事労務など、バックオフィス業務を効率化するプロダクトを複数展開していますし、さらに統合させていきたい。
サイトビジットをグループ化したのは、あらゆる取引の起点となる電子契約が、freeeが持つサービスととても相性が良いと考えたからです。
加えて、先程お話に挙がったように「NINJA SIGN by freee」はオンライン電子契約の中でも圧倒的にユーザビリティが高い。それこそ中小企業など、初めて導入する人たちにぴったりのプロダクトでした。
freeeとサイトビジットがタッグを組むことによって、今まで以上に電子契約の普及を加速させられると考えています。
鬼頭 freeeの根底には「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションがありますよね。
少し切り口が違うものの我々も同じような想いを持っていて、「中小企業にシン・バックオフィスを提供する」を、「NINJA SIGN by freee」のプロダクトビジョンに掲げています。
我々は、これまで「持たざる者に何らかの武器を与えたい」という気持ちから、事業を続けてきました。
中小企業は、大企業に比べて人やお金といったリソースが不足しがちです。
会計や人事労務はもちろん、契約も効率化するサービスの恩恵を受けられれば、その企業が持つ本来の競争力を発揮できるはず。
日本は中小企業が99%を占めます。我々がサービスを浸透させることができれば、必然的に企業全体の競争力に結びつくだろう、と。
freeeと一緒になるタイミングで「NINJA SIGN by freee」へと名前も変えましたが、これによって、価値を最大化できるのではと考えています。
佐々木 我々が培ってきた営業やマーケティングなどのノウハウを積極的に共有したり、人材の交流をしながら取り組んでいったりすれば、サイトビジットはさらに成長が加速すると思います。
あんまり好きな言葉じゃないけれど、きっとシナジー効果は得られるんじゃないかな(笑)。
スモールビジネスが、世界をもっと良くしていく
──鬼頭さんが話されたように、日本は中小企業が99%を占めるため、2社が一緒になってできることも増えそうですね。
佐々木 そうですね。そもそも、僕はスモールビジネスを応援することが世の中を良くすると信じているし、これからさらに中小企業の役割が大きくなると思っています。
少し話は逸れますが、僕の実家は美容院を営んでいるんです。まだ「美容師は女性がやるもの」という認識が強かった時代に男性が経営していたものですから、そこそこ流行ったんですよ。
これはささいなエピソードではありますが、世の中の価値観を変えるイノベーションって、実はスモールビジネスから起こっている気がするんです。
さまざまなビジネスが巨大なグローバル企業に集約されていくなかで、ピンポイントで応えられないニーズも増えてくるはずですし、そこにこそ中小企業の可能性があるんじゃないかと。
ニーズは多種多様で、それこそ中小企業の数だけある。大仕事ではありますが、非常にやり甲斐もありますよね。
──その中で、サイトビジットにはどんな役割を担ってほしいですか。
佐々木 サイトビジットは、freeeよりもスピード感のある会社だと思っています。まだ歴史が浅い電子契約のSaaSを拡大するために、我々以上にスピード感を持って動いている。
これからも一緒に切磋琢磨できると思いますし、freeeのプラットフォームを拡大するための“起爆剤”になる存在として、非常に可能性があると期待しています。
鬼頭 佐々木さんと全く同感ですね。私も、個人的には可能性しか感じていません。
freeeのさまざまなプロダクトと「NINJA SIGN by freee」の相性がとてもいいので、現在はいろんな部分で統合していくプランも出ています。
まずは、freeeのプロダクトとシームレスでつながるような世界を実現することを、マイルストーンにしたい。
もちろんfreeeは日本におけるSaaSの第一人者なので、いろんなノウハウも吸収しつつ、我々にしかできないビジネスをスピーディに拡大していきたいですね。
──freeeと一緒になり、サイトビジットで働くことで得られる経験も広がるでしょうか。
鬼頭 佐々木さんの前で「freeeの本体で働くよりも楽しいですよ」とはなかなか言えないですが(笑)、今のサイトビジットは、これまでよりもさらに市場に価値提供できるフェーズだと思います。
freeeの失敗事例を含む、ヒト・モノ・カネ・ブランドなどを借りつつ、一気に伸びていく段階ですし、急成長をする土壌が整っている。
まだまだ拡大する市場の可能性や、freeeと共に事業を推進していけることを考えると、「個人と事業の成長が約束されている場所」といえるかもしれません。
佐々木 やはり電子契約って、自分の会社だけではなく相手先と一緒に使うものなので、1社導入されれば指数関数的に浸透していく可能性がある。
言わばまるで“オセロ”のように、一気に局面が替わっていく。サイトビジットであれば、そんな社会を塗り替えていくダイナミズムを、大いに味わえると思いますよ。
執筆:浅原聡
撮影:茂田羽生
デザイン:小鈴キリカ
編集:海達亮弥
撮影:茂田羽生
デザイン:小鈴キリカ
編集:海達亮弥
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