2021/8/10

【核心】ニッポンの「エネルギー政策」3つの大問題

NewsPicks記者
日本は、エネルギーの約9割を外国に依存している国だ。
こうした中、政府は、今後のエネルギー政策の大方針を示す「エネルギー基本計画」を3年に1回程度の頻度で見直している。
8月4日、この最新バージョンが有識者会議で了承された。
日本はすでに「2030年にCO2排出量46%削減」という目標を国際社会に示していて、最新のエネルギー基本計画では、これを達成するための具体策が示されている。
しかし、計画を細かく見ていくと、すんなり実現しそうにはない部分がいくつもあることに気づく。日本のエネルギー政策の根幹をなすエネルギー基本計画の詳細をアップデートしよう。
INDEX
  • 【問題点①】再エネ「36〜38%」
  • 洋上風力の「出遅れ」
  • 結論ありきの再エネ目標
  • 【問題点②】原子力「20〜22%」
  • 目標達成に必要な「新増設」
  • 選挙見据えて「どっちつかず」
  • 【問題点③】火力「20%程度」

【問題点①】再エネ「36〜38%」

今回のエネルギー基本計画で最も注目されるのは、再生可能エネルギー(再エネ)の位置づけだ。
日本政府は、脱炭素だけでなく、エネルギー自給率を少しでも高めるという観点から、従来から再エネの普及を政策に盛り込んできた。
今回の改定では、発電量全体に占める再エネの比率が、以下のように大幅に引き上げられた。
<再エネ比率>
2015年に策定した現計画
 22〜24%
  ⬇︎
今回の改定
 36〜38%
現在、実際の再エネ発電量が18%だということを考えれば、非常に高く設定されたと言えるだろう。
しかし、大きな問題がある。実現への見通しが立っていないことだ。