上場企業の取締役「1人は女性に」 ナスダックが新規則
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能力で選べばええやん!という反論も聞こえてきそうです。しかし、実は政治経済学の分野の学術研究を見ると、オールドボーイズクラブな人選ばかりしてきたせいで、コネ登用されて能力が高くない男性が登用されやすくなっていたとする研究も存在するんですね。これは欧州の政治の世界の研究だけど、株式会社の世界には絶対に当てはまらない!と断言できるものでしょうか?
能力登用を成立させるためにも、多様性を進めるのは重要なことだと思うのです。もちろんアファーマティブアクションの弊害も研究で報告されています。なので、デメリットしかないよ!と極論ではなく、メリットがデメリットを上回る可能性は十分にあることが認知されるといいなと思います。世界が混沌とする中多様性を担保しないと人類がいい方向には行かないですからこうした取り組みは大切だと思います。同質な中でのダイアローグや意思決定では異質な意見があることにすら気が付かなくなります。
今回のオリンピックやコロナへの各国の様々な対応や状況を見ても、どこまで様々な状況に具体的に思いが至るか、その中で(誰かの声が大きいからとか自分に大きく影響するからと言うことではなく)全体の最適化を考えた時に合理的な判断ができるかどうかが試されていたのだと考えています。それができるためには多様な状況を的確に抑えることができるかにかかっている。
同じことは企業一つ一つにも言えることでしょう。大学時代の社会学の教授が「世界市民」というコンセプトを追いかけていらっしゃったことをふと思い出しました。こういうのをアファーマティブ・アクションと呼びますが、私は少しばかりの違和感を抱きながら見ています。
なぜ「少なくとも女性一人」ではなく、「男女双方で必ず構成すること」とはならないのでしょうか。
生物学的に見れば、男女という性別は一種の機能分化です。人間は知能と社会性を身につける事で、他の動物より圧倒的に繁栄する道を手に入れました。
その過程において、身体的強者のみが生き残る道ではなく、弱者を守り、多様性を維持する道を選んだことは、大きな強みとなっています。
この弱者を守り、集団を形成する能力がなければ、幼児のうちに人間はもっと淘汰されてしまいます。
また民主主義は多数決を原則とした意思決定形態をとりますから、そこでマイノリティは不利益を被る可能性がありますし、歴史上(のみならず今も)マイノリティが民主主義の名の下に迫害されることは珍しいことではありません。
故に、多様性を維持するためには民主主義の原則論のみでは上手くいきません。この点でアファーマティブ・アクションは民主主義の欠点を補う仕組みとなっており、素晴らしい考え方だとは思います。
しかし、そこで「女性を一人入れること」と表現するのは、「女性という(取締役という生物界における)弱者を、強者である男性が配慮して引き上げてあげる」という意図を感じるのです。
これが「男女双方で構成すること」となれば、「(取締役という生物界で)多様性を維持するために、両性で組織を構成する」というニュアンスになるのではないでしょうか。
わかりやすいので男女という二軸で語らせて頂きましたが、性的・人種的マイノリティでも同じことが言えます。
多様性の維持、という根本的な意義を失えば、「アピールの為に能力の適さない方を組織に入れる」という事にもなりかねません。
多様性を維持し、さまざまな考え方が維持できる柔軟で強い組織を作るために、それに適した人材を集める、そういう観点は特に現状維持を是としやすい日本においては欠けがちです。