株式会社ユーザベースは、2021年8月5日に2021年第2四半期の決算説明会を開催しました。当日の様子をほぼ全文採録でレポートいたします。

【登壇者】
代表取締役Co-CEO 稲垣 裕介
代表取締役Co-CEO 佐久間 衡
執行役員CFO 千葉 大輔
株式会社ニューズピックス 代表取締役社長CEO 坂本 大典

連結業績ハイライト

佐久間 最初に私から連結業績についてご説明申し上げます。
数字の説明に入る前に、我々の決算説明会資料の体裁を変えた点をご説明させてください。
まず過去の業績に関して、全てQuartz事業を除いた業績、特に今回の業績を過去の業種と比べる場合は、Quartz事業を除いた業績との比較に統一しています。前回まで2つの数字を出していてかなり分かりにくかったので、より実態に即した数値をシンプルに伝えるために、このように変更しております。しかしながらQuartz事業を含む過去業績に関してもAppendixに記載がございますので、ご参照いただければと思います。
もう1つの変更は、四半期累計期間ではなくて四半期会計期間の業績報告をメインに変更しております。これはどういったことかというと、例えば売上高に関して、今年の1月から6月の売上高を2Qの売上高として報告するのではなく、4月から6月、この3ヶ月の2Qの売上高を報告する形に変更しています。こちらの方が四半期単独の動きはわかりやすいので、このフォーマットに決算説明会資料を全て変更しております。この点ご留意いただければと思います。
まず全体の業績です。連結MRRが9.24億円。YoY(Year on Year/前年同期比)の成長率が19%です。
連結売上高は4月から6月の数字です。それが38.98億円。前年同期比で33%の成長。
連結EBITDAが5.97億円となっております。
細かい数値は事業別の業績の説明のところでお話させていただければと思いますが、
SPEEDAとその他B2B事業はどちらもMRRの成長率が伸びている、成長が加速している点がポジティブかと思います。
SPEEDAのMRRが5.12億円、これはYoYで18%成長しています。前の四半期で15%、その前が13%でしたので、コロナのタイミングで成長率が下がったものの、それが回復し成長が加速している点がポジティブかと思います。
その他B2B事業は、特にFORCASのMRR成長率が増加しまして、INITIALと合わせて1.61億円のMRR。前年同期比で43%と非常に高い成長になっています。
NewsPicksのMRRにつきましては、2.52億円。前の四半期が2.55億円でしたのでわずかに下がっています。これは前回の決算でも少しお話しましたが、前年の同じタイミングで大量獲得の、その年割の反動というものが出ていて、MRRが一時的に微減しているといった状況がございます。これは一時的な影響なので3Q以降、MRRは再び成長軌道に乗っていくと我々は考えております。
なので全体の第2四半期の決算を総括させていただくと、非常に良い決算を達成できたとと考えています。後ほどの説明にもありますが、会社計画対比の進捗率も非常に高く、かつSPEEDA、FORCASといったSaaS事業のMRRの成長率が加速しているところが、特に良いポイントだと考えております。
こちら売上高のスライドです。このような形で3ヶ月おきに区切って、今回スライドを作っております。前年同期が29.27億円なので、38.98億円、+33%成長していることを示すスライドです。
EBITDAは、NewsPicks事業の季節性や我々の投資タイミング等で、このような形で多少でこぼこはありますが、今回5.97億円、前年同期比で27%増えています。
こちらが会社計画対比の進捗率の説明のスライドです。
右側に薄くある数値が会社計画の数値です。通期で156億円の売上高、18億円のEBITDA、13.8億円の営業利益。
それに対して第2四半期累計の売上高が78.63億円、進捗率が約半分、50%です。
EBITDAが18億円に対して14.34億円、進捗率が80%。
営業利益が13.8億円に対して12.31億円、進捗率が89%という形になっています。
我々は特にSaaS、ストック型の事業が多いので、上半期に50%というのは高い売上の進捗率です。
前の年は売上高の予想値をレンジで示していたので、進捗率もレンジになりますが、前の年の第2四半期時点での進捗率は40〜42%でした。なので今回のこの売上高50%は、非常に好調な結果だと捉えております。
この売上高の進捗率が順調であるということを背景として、EBITDA、営業利益という利益項目の進捗率が非常に高い結果となっております。
ただ我々は、そもそも前年の通期決算のタイミングでお話させていただいた通り、今年は投資の年と位置づけておりまして、エンジニア組織を大きく拡大していく。そのエンジニア採用のための投資や、それ以外に各SaaSのセールス人員を大幅に拡充していく投資、NewsPicks事業のマーケティング投資、そういったものがもともと下期に計画しておりますので、利益計画としては上期偏重になることを想定しておりました。
従ってEBITDA、営業利益等の数値に関しては、通期でも18億円、13.8億円と、我々の当初計画通りに着地することを基本的に見込んでおります。ただ売上高は156億円を上振れていく可能性はあると考えております。
売上高の上振れが発生した場合に関しては、この部分はしっかり来期、我々30%の売上高成長を継続的に達成していくという目標を掲げておりますので、それに資する投資を規律を持って実行していこうと考えております。

SPEEDA事業ハイライト

続いて事業別の説明に移ります。
先ほども触れたSPEEDAのMRRです。6月末の数字で5.12億円、前年同期対比で18%の成長となっています。前の四半期が15%、その前が13%の成長でしたので、成長率が増加、成長が加速していると捉えられるかと思います。
こちらは我々が年内に1.0%を目指している解約率の数字です。
こちらが直近の決算の数値ですと1.3%、数値としては前のタイミングと横ばいです。
グラフで示しているのは直近12ヶ月の平均値ですが、足元の契約更新の状況を見ると、解約率は低下してきておりまして、1.0%という数字は引き続き達成を目指せると考えております。
売上高成長率のページです。売上高については第2四半期16.59億円。前の同じ期が13.5億円ですので、22%成長しております。
灰色の部分のエキスパートリサーチの売上高が今回の決算で四半期対比で少し減少したことが見てとれるかと思いますが、これは一時的な影響です。1〜3月にお客様の投資配分、予算の関係上、売上が偏ってしまったという一時的な影響なので、大きな問題ではないと考えておりまして、引き続きエキスパートリサーチは高成長を見込んでいます。
SPEEDA事業のEBITDAは5.89億円です。EBITDAマージンは35.6%と非常に高い水準かと思います。
これも前のタイミングで申し上げた話ですが、ちょっと今は利益が出過ぎてるかなと思っております。エキスパートリサーチ事業を拡大していく、そしてSPEEDA事業自体の成長率を引き上げていくために、今年は通期のEBITDAマージン30%を目安にして、エキスパートリサーチ事業を中心に投資していくことを考えています。なので、この35.6%という数字は下期にかけて下がっていくことを見込んでいます。
こちらは今回初めて開示したSPEEDA事業の顧客単価と顧客社数のグラフです。
SPEEDAの顧客単価は現状32万円。前年同期が28.1万円ですので、14%成長しております。
ここに大きく寄与しているのがエキスパートリサーチ事業です。また、エキスパートリサーチ事業のみならず、SPEEDAの1社1社のお客様にしっかり価値を届けて、例えば既存のお客様の中でもいろいろな部署にSPEEDAの契約を展開したり、そこにアップセルを仕掛けていくためのサービスの開発もしております。顧客単価を継続的に高めていくことが、非常に重要テーマになっていくと考えています。
SPEEDAの現在の顧客社数は1,764社です。日本の大企業を中心とした、日本を代表する非常に優良な企業の方々に、SPEEDAをご利用いただいております。
なので当然FORCASや、NewsPicksの法人事業といった他事業としっかり連携して、我々ユーザベースの多様なプロダクトの価値を届けていく。その共通基盤にSPEEDAの顧客基盤はなっていくと考えております。

その他B2B事業ハイライト

続いてその他B2B事業に関してご説明します。
FORCASのMRR成長率は43%です。前年同期の8,300万円から1.19億円に増加しております。前の四半期が33%のMRR成長率だったので、大きく成長率が増加しました。
このグラフを見ていただいても、昨年はやはり成長が鈍化してしまった。これはコロナのタイミングで特にマーケティング投資に抑制がかかり、FORCASの解約も増えてしまったことが背景にございます。しかし今、マーケティング投資は再開していく傾向にございますし、それに加えてFORCASの顧客価値が非常に高まっています。
FORCASをマーケティングのみならず、経営でも使っていく。例えば、どういう市場を狙っていくのか? という経営の最重要テーマにFORCASを使って分析していくような使い方も、お客様の中で一般的になってきておりまして、よりマストハブなツールに近づいてきたなと。
その中で解約率も段階的に低減できております。この2つを背景として、FORCASの成長率が加速しているということが言えるかなと思います。
また今日は少し丁寧に説明しようかと考えていますが、FORCAS Salesについて。
これまでしっかりご説明できなかった我々の新しいプロダクトに関して、こちらのMRRもこの中に含んでおります。まだまだ貢献は小さいですが、今後更に成長率を引き上げていく、そのドライバーにFORCAS Salesはなっていくと考えております。
こちらはINITIALを含めたその他B2B事業全体の売上高です。
4.86億円でして、前年同期の3.35億円に比べて45%の増加となっております。したがってINITIALも堅調に成長しております。
その他B2B事業全体のEBITDAの四半期ごとのグラフです。
2018年、2019年は、FORCASを成長させるための成長期として大きな投資をしてきております。それらの期と比較して、直近の四半期は1,000万のわずかな赤字ではありますが、損失額は少ない状況でしっかり成長率を引き上げられている点はポジティブだと考えております。
続いてFORCAS Salesのご紹介です。
FORCAS Salesは自分で言うのもなんですが、非常に良いサービスです。
営業組織の生産性向上を実現するセールスリサーチプラットフォームですね。
どういうサービスかというと、左側に「株式会社ユーザベース」のイメージがあると思いますが、株式会社ユーザベースに関するありとあらゆる情報がすぐ見れるようなサービスです。
例えばSPEEDAにある企業情報や業界情報、FORCASにある、その企業はどういうサービスを実際に利用しているかという情報、INITIALのスタートアップ情報、NewsPicksのオリジナル記事、そういったものが、特定の企業を軸に全て集まっているといったサービスです。しかもそのエッセンスをすぐに確認できるように、UIを工夫して提供しております。
どのようにユーザー様のお役に立てるのかというと、営業って大変だと思うんですよね。私も当然営業に行くんですが、その企業のことを毎回しっかりアップデートして、お客様の状況を把握して、刺さる提案をつくっていかなければならない。そのときには絶対にリサーチが必要ですが、その手間が劇的に下がります。
しかも顧客の中期的な戦略や最近の動向を知るために必要な情報をしっかり入手することができるので、ちゃんと刺さる提案、顧客起点の提案を作ることができる。全体として、営業の生産性を大きく引き上げることができるサービスを目指しております。
これは最近のプレスリリースなんですが、FORCASと連携しまして、ターゲット企業の最新ニュースをすぐに見ることができます。FORCAS Salesにログインすると、最初のページに注目ニュースのページがあるんですが、そこにターゲット企業の最新の動向――例えば、最近こういう形の戦略を発表したですとか、A社とB社とC社でこういうコンソーシアムを作ったですとか、自分たちがアプローチしたいターゲット企業の「今」をすぐに知ることができる。
FORCASをご利用いただくのは、もちろんマーケティングの方が多いですね。ただ、マーケティングでどういうお客さんにしっかり価値を届けるのかとターゲティングを定めても、それが営業のオペレーションを落ちないと意味がない。
そこをFORCASとFORCAS Salesを連携することで、FORCAS Salesで、この企業はターゲットなのかどうか、その中でも優先的なアプローチするべきなのかどうか、既に横の部署で契約がある企業なのかどうか、そういったことがすぐにわかります。
そうして、FORCASで顧客を分析して作ったターゲティング情報を、営業のオペレーション、インサイドセールスのオペレーションにスムーズにつなぐことができます。
最近FORCAS Salesでカスタマーサクセスでの利用も増えております。カスタマーサクセスは当然既存のお客様の最新の動向をしっかり理解する必要があります。営業と非常に似ていて、活用提案をし続けるという側面もございますので、カスタマーサクセスの分野に関してもFORCAS Salesはお役に立てると考えております。
実際どういった企業でご活用いただいているのか。まだそれほどFORCAS Salesをご活用いただいている会社数は多くないんですが、大企業で大きな営業組織やインサイドセールス組織を持たれているところですとか、あとはスタートアップですね。スタートアップの中で、インサイドセールスの組織をしっかり持っているところで、FORCAS Salesを特にご利用いただいております。
その中でアドビ様ですね。ぜひこの最初のメッセージを読んでいただきたいんですが、「FORCAS Salesの活用で顧客企業の情報収集時間を85%削減した」と。めちゃくちゃ嬉しいですね、85%なんて。
85%削減したら、当然その時間を実際に顧客と深く対話していく時間ですとか、顧客への提案を練る時間ですとか、そういったものに当てることができますし、インサイドセールスであれば、1人当たりの商談創出を増やすこともできます。そういった形で、営業組織全体の生産性が大幅に向上されていくと。
単純に数的な生産性が上がるだけではなくて、SPEEDAの業界レポートやNewsPicksの深い企業分析記事といった、企業の戦略に関わる、インサイトを与えるようなコンテンツがFORCAS Salesには多くございます。そういったものをご覧いただいて、刺さる提案をしっかり作ることができる。それは当然アプローチを受ける顧客企業にとっても、プラスでしかない。そういう顧客起点の営業を広めていくことを、FORCAS Salesで成し遂げていきたいと考えております。

NewsPicks事業ハイライト

続いて​​​​NewsPicks事業に移ります。
NewsPicks事業のMRRに関しまして、冒頭で述べさせていただいた通り、前回の2.55億円から約300万円下がって2.52億円。前年同期比で10%の成長という形になっております。
こちらは昨年の第2四半期にちょうどコロナが本格化したタイミングで、質が高い情報を求める、そのニーズが高まってNewsPicksの有料会員が一気に増えたと。その中で一定のお客様が「年割」と言われる年間契約でご契約いただいて、その更新タイミングがちょうど今回の四半期であったので、その反動としての解約が一部起こり、一時的にMRRが微減した結果に繋がっております。
ただ、これは今申し上げたように、あくまで一時的なものでございますので、次の四半期以降はMRRはしっかり成長傾向に戻っていくことを見込んでおります。
広告事業に関してはかなり季節性があって、第2四半期は基本的に弱い期ではありますが、それが今回7.13億円、前年同期比4.72億円と比較しても51%と、非常に高く成長しております。
こちらNewsPicks全体の売上高の四半期ごとの推移ですね。
今回のNewsPicksの四半期の売上高は全体で17.65億円。前年同期の12.48億円と比較して41%と非常に高い成長率になっております。
こちらは四半期毎のEBITDA数値です。投資タイミングや先ほど申し上げた広告事業の季節性で大きなばらつきがありますが、2Qにしっかり黒字を確保できた点はポジティブかなと考えております。
2Qは広告事業の季節性などで、昨年もその前もその前も、四半期単位で見ると赤字という状況だったところ、しっかり利益を出すことができたというのはポジティブだと考えています。
今後についても四半期単位ではばらつきが発生しますが、通年単位でのEBITDAはしっかり拡大させていけると考えています。
続いてNewsPicks事業が今取り組んでいる具体的なプロジェクトとその意義に関して、NewsPicks代表の坂本から説明します。
坂本 ここから私の方で少しお話させていただければと思います。
最初に今回MRRが一時的とはいえ減少していることに関して、そもそもNewsPicksを経営してる私としてどう思っているかをお伝えさせていただいて、その後は直近の取り組みについてお話しできればと思います。
まずNewsPicksの現状を私がどう捉えてるか。NewsPicksの有料会員数が、今後どうなっていくと思っているかというと、結論としては私は大きな伸びしろがまだまだあると思っております。今画面に映しているのは、NewsPicksのサービス認知度のデータです。
昨年外部の機関を使って調査しましたが、新聞および大手の経済メディアと比べると、知名度にまだまだ大きな差があることがわかります。
これは私の肌感覚とすごく合っています。IT企業であったりそういった方々であればNewsPicksの知名度はかなり高いものの、東京の大企業の方々とお会いしてる中だと、だいたい3人に1人ぐらい。大阪や福岡などといった都市になってくると、大企業であっても5人に1人ぐらいしか、そもそもNewsPicksを知らないというのが現状だと認識しております。
なので、NewsPicksはまだ日本中にしっかり届けるということはできておらず、これをしっかり伸ばしていくことで、NewsPicksの会員基盤を成長させていけると考えております。
ではこの認知を上げるために、もっと認知広告を打てばいいのではないかという声もあるかもしれません。そこに関しては、今我々としてはしっかり利益を出しながら成長することを優先しております。昨年テレビCMをテストした結果、1〜2年など短期で収益回収できる水準ではありませんでした。
そのため、まずアプリのLTVを高めていくことと、この後話すドコモさんとの取り組みを含めて、法人展開もしっかりと強化していき、この2つが重なったタイミングで認知広告をしかけたいと考えております。それにより短期でちゃんと収益を回収しながら、認知を拡大していきます。
これが現状の理解でして、ここから2つは直近リリースしてる内容の補足説明になります。
1つはNTTドコモと共同開発したサービスを7月19日にリリースしました。これまでドコモさんと協力をすることは、プレスリリースとして出させていただいておりましたが、実際サービスのローンチができました。
これは、ドコモの法人営業の方々が「ビジネスdアカウント」というドコモの法人向けのアカウントを日本中の企業に展開をしていますが、そことセットでdアカウントの会員様だけが見えるNewsPicksのページを作り、これをドコモの販売店の方々、また提携パートナーの方々含めて販売するという座組みになります。
結果として出てくるのは、来年にかかってくるとは思っていますが、まずは開始できましたのでプレスリースを出させていただきました。
もう1つの取り組みとして、これは昨年までも「WestShip」という取り組みでやらせていただいておりましたが、東京都内以外の都市でのカンファレンスおよびメディア展開を始めます。
昨年まで大阪で「WestShip」というカンファレンスをさせていただいておりまして、昨年実績ではオンラインも含め3,500人以上の方に参加いただきました。
これに一定の手応えを感じておりまして、今年〜来年にかけて、まずは福岡で開催し、来年以降は大阪・福岡以外の都市でも展開していこうと思っております。
NewsPicksとしてなぜこれをやりたいかといいますと、NewsPicksは関東圏の読者だけでなく、日本中の読者にしっかり価値を届けていきたいと思っているからです。そのためには地域と密着した取り組みが必要だと考えています。
それをイベントとコンテンツをしっかり組み合わせて提供していくことで、日本中にNewsPicksを広げていければと思っております。今回の福岡での開催も、自治体および地元の企業、そしてメディア等と連携しながら、この座組を展開しております。
これまでお話したようにNewsPicksはまだまだユーザーを広げないといけません。
先ほどの認知度の話もしましたが、今の水準の売上高および会員数がキャップとは全く考えておらず、これからもっと伸ばしていかなければと思っておりますので、それに向けて今後もいろんな取り組みをしていければと思っております。私からは以上になります。
佐久間 決算の説明は以上になります。
冒頭で少しお話したことと重なりますが、全体として非常に良い決算をお届けできたと考えています。特にSaaS事業、SPEEDA、FORCASのMRRの成長率が増加し、成長が加速しているという点と、あとはNewsPicksのMRRが、先ほど坂本が話した通り非常に伸びしろが大きいので、今後成長が加速していくということを皆様にお示しできれば、全体として30%成長はしっかり達成できる。
そのための具体策も今しっかり詰めておりますので、おそらく次の四半期のタイミングでは、NewsPicksのMRRをしっかり成長させていく、その具体策をお話できるかと考えております。それ以外にもまだまだ業績貢献は非常に小さいんですけども、FORCAS Sales、SPEEDA EDGE、そういった新規事業に関しても、お客様を獲得することができていて、お客様から良いフィードバックももらっています。
なので来年以降、こういった事業が成長に寄与してくることを見込んでおりますし、全体として非常に良いモメンタムで今のタイミングを迎えられたと考えています。

質疑応答

佐久間 続いてQ&Aに移ります。今回はやり方を変えていて、以前弊社でCFOを務めていたのでご存知の方も多いかと思いますが、村上さんにお願いしようと思います。村上さんは私と証券会社時代の同僚でもありまして、非常にモデレーターが上手いので、村上さんに今回のQ&Aのモデレーターを務めていただきます。村上さん、よろしくお願いします。
村上 こんにちは。ご紹介に預かりました村上と申します。それでは、質疑応答の時間に参りたいと思います。Slidoで頂戴しました質問を、基本的にはいただいた順に回答していきますが、中には同じような内容のものがあればまとめて回答していきたいと思います。
私が回答していただきたい経営陣の方をご指名させていただきますが、その後補足なり、もっとこういう回答があるということがあれば、カットインなり、あるいは続けてご説明をいただければと思います。
では早速、Slidoの画面を見ながら回答しています。
Q1:SPEEDAとFORCASのMRRの伸びが前Qより加速した伸びについて説明してほしい。今後も成長の加速は継続する見込みか?
佐久間 私からお答えします。
SPEEDAについては、カスタマーサクセスを含め、営業、インサイドセールス等のレベニュー組織が非常に強くなってることが、1つ大きい要因かなと思います。昨年からこの組織を拡大しておりまして、これも以前の決算説明会でお話したかと思いますが、『THE MODEL』の著者の福田さんには、本当にSaaSの組織作りに関して、私も日々学ばせていただいています。その福田さんに、組織を拡大して強いチームを作ればどうしたらいいのかというところに、実務にまで入って支援いただいております。
その結果や、各チームメンバーの成長により、リードから商談、商談からパイプライン、パイプラインから契約率といった転換率が今年は伸びておりまして、それが1つ大きな要因かなと考えています。
そして人員増強、育成――SaaSの世界ではイネーブルメントとよく言われますが、人員採用と、育成体制の強化は継続して行っていきますので、SPEEDAの成長率に関しては、今の水準ではなく、さらに増やしていけると考えています。
FORCASに関しても、同様の傾向がございます。非常に強いチームができてきました。ちょうど執行役員の就任を1ヶ月前ぐらいに発表しましたが、吉田・瀬木という2人がFORCASのチーフカスタマーオフィサーと、コマーシャル担当の役員という形で就任し、その他のリーダー層についても、1〜2年前から比較にならないぐらい非常に強いチームになっています。しっかりお客様に価値を訴求し、利用継続していただく。その結果、MRRが伸びているという要因はございます。
もちろんこれは簡単に片付けられなくて、当然プロダクトがしっかりお客様に価値提供できる度合いが増してきたことなどいろいろな点があるんですが、1つ挙げるとするとこの点かなと思います。なのでFORCASに関しても、今回の43%より成長はさらに加速させていけると考えております。
Q2:各四半期の決算説明会動画をアーカイブで残して頂けませんか?
千葉 ご質問ありがとうございます。我々としては今、個人投資家、機関投資家の別け隔てなく参加いただけるオンライン決算説明会の実施を行い、アーカイブは残さない代わりに、毎回決算公表日の翌日、場が開く前に全文書き起こしの記事をご提供することで、フェアディスクローズを守ろうとしています。ただおっしゃる通り、投資家の方々から動画を、リアルタイムで見れないので後日見たいという声はいただいてますので、検討していきたいと思っています。
Q3:四半期ベースでコスト構造及び人員数の開示をしてもらいたい。人員数については今期エンジニア投資で50人の純増を目指すとのことだか、有価証券報告書のみで人員数を開示してもらっても、進捗率が分かりにくい。また、コスト構造(の開示)を行わないのは戦略的にですか? 他SaaS企業は大半が開示しておりますが、開示しない理由を教えてください。
千葉 ご指摘の通り課題があると思っています。我々の開示の粒度も徐々に上げていきたいと思っていますので、こちらについても検討していきたい思っています。
上場したときはSPEEDAとNewsPicksの2つしか事業がなかったので、どちらかというとシンプルなコスト構造かつ最終的な利益を見ていただければよかったのかなと思っていますが、今、今回ご説明した通りFORCASもかなり成長してきていますし、各事業ごとでビジネスモデルはそこまで大きくは違わないものの、事業の進捗率等々は多少違っていますので、どの事業がどの程度稼いでいるのか、どういう事業構造か示し、モデリングがやりやすいような開示を目指していきたいとは思っています。
Q4:NewsPicksのMRRは252百万円とのこですが、有料課金の売上は660百万円とのこで。その他売上に含まれているMRRがあると思うが、内容は何か?
村上 ご質問いただいているのが、NewsPicksのMRは2億5,200万円。次に書いていただいた有料課金売上の6億6,000万というのはクォーターの売り上げということがまずございます。それを踏まえて、開示上「その他売上」に含まれている内容をご説明いただくのがよろしいかなと思います。千葉さんこちらいかがでしょうか?
千葉 今まさに村上さんにご説明いただいた通り、有料会員の売上6億6,000万円は、3ヶ月の売上高の合計になります。一方でMRRというのはマンスリーの、いわゆる6月末時点の単月の売上とほぼ同等の金額になりますので、そこの金額がまず合わないというところを追加でご説明させていただければと思っています。
その上で「その他売上」についてですが、大きなところで申し上げますと、我々NewsPicksパブリッシングという出版の事業を行っておりまして、そちらの売り上げが1つです。あとはAlphaDriveという子会社がやっているコンサルティングの売上ですね。これは主に大企業で新規事業を立ち上げるためのコンサルティングフィーですけれども、そういったいわゆる非MRRの売り上げがその他売上には入っています。
あとはイベントを実施したときの会費収入ですとか、その他細々したものがここに含まれていまして、我々としては有料会員売上である、いわゆるリカーリング性の高い売上と、多少季節性も高いけれども今非常に伸びている広告売上をメインとしつつ、そこにはカウントしてはミスリードになるようなものは全て「その他売上」に計上してるというふうにご理解いただければと思います。
佐久間 いや、ご質問の意図は違うんじゃないですか?
前の四半期もだいたい同じぐらいのMRRなので、3倍すると7.5億円ぐらいになって、有料会員売上がそれより低いから、という質問じゃないかな。
実際にNewsPicksの有料会員売上以外のMRR項目もあるので、それに関してご説明差し上げるのがいいのではないでしょうか。
千葉(※説明会当日はクリアにお答え出来なかったため、追記)
MRRの数値に含まれていますが、有料課金売上ではなく、その他売上にカウントしているサービスとして「Incubation Suite」というSaaSがあります。これはAlphaDriveが新たに展開ししているサービスです。大企業向けの新規事業立ち上げコンサルティングを提供する際に、新規事業のアイディアを募集するところから最終的に採択するまでのプロセスをサポートするSaaSで、事務局・立案者両者が使うSaaSです。こちらはSaaSのためMRRが重要ですが、NewsPicksの有料課金売上とは種類が異なるので、その他売上に計上しています。
Q5:営業利益の進捗が89%にも関わらず通期業績予想の変更をしなかったのはなぜですか?

Q6:通期の売上高予想を上方修正しなかった理由はありますでしょうか?
村上 こちらに関しまして、もう1つ似た質問がございますので、2つまとめてご回答いたします。今年度全体の話ということもあるので、まず佐久間さん、いかがでしょうか。
佐久間 売上高に関しては156億円を超える可能性を考えておりまして、先ほどご説明差し上げた通りですね。ただ上方修正の基準となるような、そこまで高いものは現在見込んでおりませんので、上方修正を実施しなかったという形になります。
営業利益に関しましても、冒頭の説明の通りです。もともと下期にコストが偏重する計画を今年立てておりまして、それをしっかり投資していくと。そして営業利益として、当初計画した水準になることを見込んでおります。
Q7:FORCASはそろそろ単体セグメントで出されてはどうか?
千葉 「その他B2B」という言い方をしているのは、その中でしっかり大きな事業に育ってきたタイミングで、単独のセグメントにしようという話を経営陣の中でも常に議論をしています。その点においては、今FORCASはかなり当初予定していた水準に近づいてきていると思っています。基本的にセグメントの変更は年に1回だと理解をしていますので、来年から切り出すかどうかというのは、来期の業績予想も含めてシミュレーションした上で決定したいと思っています。
Q8:今後のNewsPicksのMRRは年何%くらいで成長できると考えてらっしゃいますか? 飽和してきているということはないのでしょうか?
坂本 先ほどお話ししました通り、今の水準で飽和しているとは考えていません。
何%かというところに関しては直近年率10%でしたが、この水準では駄目だと思っております。全体で30%成長を掲げている中で、来年度何%まで上げられるかというところはまさに今、議論しております。
Q9:エンジニアの採用を、今期50名以上を予定されておりますが採用の進捗を教えてください。
稲垣 ご質問ありがとうございます。目標に対して現状9割採用は完了していまして、かなり前倒しで採用が成功しています。
はてなやQiitaといったエンジニア採用に強い媒体とも一緒にプロジェクトチームをつくらせてもらって、これまでのユーザベースのエンジニアの技術的な試みなどを題材に、ブランディングを強化していっているんですが、結果としてこれまで難易度が高かったシニアクラスの採用にも成功しています。全体としてかなり良い形で進んでるかなと思っています。
年内追加でさらにここには投資をかけて20名追加で採用を行って、エンジニアチームが中心となって来年のプロダクト開発を前倒しでやっていけるように進めていければと思っています。
Q10:ドコモとの提携について足元の状況を教えてください。
村上 先ほどリリースのご説明はいただきましたが、足元の状況でもし補足があればお願いします。
坂本 足元の状況としましては、今まさにドコモの各都市にある支店の方々向けの勉強会を組みながら、営業の方々と密に、どうやったら売れるかということを議論しています。
Q11:具体的にどのような投資を想定していますか?
佐久間 先ほど稲垣が申し上げた通り、エンジニア採用が非常に大きいですね。
稲垣が9割完了していると言いましたけど、9割がコストに反映されてるわけではなくて、入社はこれからという人も多いですし、上期に採用したメンバーの人件費がフルに下期に計上されるという点もございます。そしてさらにエンジニアを当初50名にプラス20名して70名の採用を目指していく。これが最大ですね。
同様に先ほど私のSPEEDAやFORCASの説明にもあった通り、レベニュー組織、これが非常に強くなっていて、しっかり人材育成することができる。なので、この人員をどんどん増やしてくことができる。そのための投資をしていこうと考えております。それ以外はNewsPicks、SPEEDA、FORCASのマーケティング投資を増額していく。
こういったところが主な投資の内容です。
Q12:NewsPicksのMRRを法人と個人別に分けてほしい。SaaS企業として御社を評価した場合、法人向け(SPEEDA、FORCAS等+NewsPicks<法人>)ARRをベースとしてPSRで評価するのが妥当かなと思う。そこに加えて、メディアとしてNewsPicksの個人向け課金+広告事業が+αでオンされるべきと考える。
村上 企業を評価する上では、MRRを分けられないか? というご質問です。千葉さん、いかがでしょう。
千葉 こちらに関しても、法人課金事業をスタートしたときに申し上げた記憶がありますが、一定の規模になってきたら、しっかり分割をして、かつその伸びについてもご説明しようということでマネジメントとしては考えています。
今、法人展開を始めて2〜3年というところで、ようやく規模もそれなりに大きくなってきました。スタートしたときは、翌年にどれぐらいがチャーンするか?、季節性はどうか等を冷静に見定めながら事業を展開していきたいと思っていました。ようやく落ち着いてきつつあるタイミングになってきていますので、来期以降ここを分けた開示に関しても検討していきたいと思っていますし、しっかり説明責任を果たしていきたいと考えています。
Q13:You have been targeting sales growth rate of 30% for SPEEDA, still 23% kind of level - what are you doing to accelerate growth and when will it pick up to 30%? 

Q14:来季以降のトップライン30%以上の成長に向けて、今四半期と足元で、その具現性を高める動き、低くする動きをご紹介いただき、全体として自信は深まっているのか示して頂きたい。
村上 次のご質問は英語でいただいておりますが、日本語で内容を読んでいきますと、SPEEDAの売上成長率は30%をターゲットしていると。だけれど、現状23%水準である。この成長率を加速するために何をやっていくのか。そしていつ30%に近づいていくのか、ということですね。
こちらはSPEEDAということでご質問いただいておりますが、その次の次のご質問でも30%成長に関するご質問をいただいております。こちら佐久間さんいかがでしょうか。
佐久間 まずSPEEDAからですね。前回も「いつ」というのは答えにくいとお話ししたんですが、ただ30%は直近数年で必ず達成できる水準だと考えています。どう達成するのかというと、今回新たにスライドでご説明差し上げた顧客単価の増大ですね。我々が1社1社のお客様に提供できる価値をしっかり引き上げていって、その結果、顧客単価を増大させていくというのが非常に重要になっていくと思っています。
そのために第1にあるのがエキスパートリサーチ事業ですね。それ以外にも、さらにSPEEDAの顧客にとって価値を増加させていくためのサービスのリリースを予定しておりますので、また今後お話させていただければと考えております。
全体の30%の成長に向けて、具現性を高める動き、低くする動き。
高める動きは、やはりSaaS事業の成長率が加速してきたところが非常に大きいですね。30%という成長の目線では、私が今日何回も話してしまっていますけども、強いレベニュー組織が不可欠。そこにこれまでとは段違いの投資をしていかないといけないと考えていて、なかなかそれがQuartz事業の大きな赤字があるタイミングではできなかったので、そこを大きくしていく。
単純に人を採用するだけではなくて、そのオペレーションしっかり作っていく。そして人を育成し、活躍できるその土台を作っていく。それも進捗しておりますので、具現性を高める動きの1つとしてご紹介させてください。
低くする動きは、すみません、正直思いつかないです。
全体として30%以上の成長に向けての自信は深まっているとお答えします。
Q15:新サービスを下期に出すとの話だったが、進捗はどうなっていますか?
坂本 こちらは今準備中で、次の決算の発表のタイミングでお話できればと思っております。
Q16:エキスパートリサーチの前四半期比減少が一時的という説明が理解しにくい。もう少し噛み砕いてご説明いただきたいのと、Q3以降の成長ペース見通しについてヒントを頂きたいです。
佐久間 簡単に申し上げますと、エキスパートリサーチ事業は、お客様の予算の都合の他、これまでは、営業メンバーが非常に少ない、数名でのまだ立ち上げのフェーズだったので、結果が上下していくというのは正直あるかなと考えています。ただ、エキスパートリサーチ事業に投資し、人員を増やし、しっかり計算できるレベニュー組織が立ち上がってきたと考えていますので、より継続的な高成長の確度は高まってきたと考えています。
ユーザーのお客様からの反応は、引き続き非常にいいですね。やはりSPEEDAによる業界情報・企業情報等のリサーチの一歩先――さらに特定の技術分野や、特定のトレンドなど、非常に細かいリサーチまで、専門家にアクセスすることで行えるという相性の良さ。なので、ユーザーのお客様からのフィードバックに関しては非常に良いですし、高成長を実現できるということは確信しています。
Q17:現状の株価について、どのように感じていますでしょうか? 一株主としては業績が好調なため、それほど不満はありませんが、市場はこの成長が続くとは思っていないようですので、市場の低評価について経営陣が感じていることを教えてください。
佐久間 株価が低調な状況が続いていて、非常に申し訳ないと考えております。
市場の低評価については、やはり我々の成長ストーリー、30%をしっかり継続して顧客価値を高めていくことに確信いただいていない点が最大かと考えておりますので、やはり1つは実績を示し続けることですね。
30%を継続的に達成できる、それを示す数値結果を出し続けることと、そのストーリーですね。我々がいろいろ事業があって、それがどういうふうに結びついて全体として高成長を達成していくのか、非常にわかりにくいとフィードバックをいただくことが多いので、そこをまさにユーザベース1つとして大きな成長を実現するストーリーを作ることは、私がしっかり取り組んでいくことですので、そのストーリーを作り、そのストーリーを実現していくことだと考えています。
千葉 私も同じ点が課題かなと思っています。あとは今回の質疑でも出ていましたけれども、やはり開示の粒度をもう少し他社と比較しても遜色ないレベルに引き上げて、各投資家の方々がそこからそれぞれどういう成長が果たせるのかというシミュレーションしつつ、それを持って対話いただけるような素地を作るというところは、今年のテーマとして個人的には挙げていた部分です。Step by Stepになってしまいますけども、改善していきたいと思っていますし、それをもとに未来の成長をの蓋然性を上げていただくところに、引き続き注力していきたいと思っています。
Q18:SPEEDAの顧客社数の上限は何社か? SPEEDAのTAMは以前から1,400億前後と言われていますが、顧客単価と顧客社数で考えた場合、それぞれいくらずつか?
佐久間 我々はまさに自分たちのサービスであるFORCASを使って、SPEEDAがターゲットとすべき、しっかり価値を届けられる企業の特性というのを把握しております。
このターゲットは動的に動いてきます。例えばSPEEDAは企業のリサーチに価値を発揮するツールですので、いろいろな企業様の中でも、例えば資源や材料を企業から調達する、そこから何かを製造したり、生成したりして、それを卸す先、売り先も企業であると。バリューチェーンの上流・下流が両方企業であれば、そこに企業のリサーチニーズが不断に発生して、かつそこへのM&Aの機会も発生する。
そういうお客様であれば、SPEEDAがしっかり日常のリーサーチ業務にフィットしていく。そのような価値ストーリーをいくつか持っておりまして、そのプロファイルを持つお客様が何社だと、そういうふうに考えておりまして、それが現状でいうと5,000社ぐらいですね。これは動的に動いていくので、今の断面図なんですけども。
なので、シンプルにターゲット顧客社数を今切り取った、しっかり価値を届けられる上限をお話すると、そういった数になります。
TAMに関しては、もちろんこの顧客社数自体もSPEEDAの機能開発によって広げていくこともできますし、かつ当然ながらSPEEDAはグローバルに展開していきます。直近でいうと中国事業が堅調な成果を出しておりまして、我々グローバルにどんどん展開していくことを諦めておりません。
かつ今日の決算説明会でも何回かお話している顧客単価ですね。エキスパートリサーチ事業、そしてさらなるサービス、それによってSPEEDAの顧客価値を引き上げ、単価を上げていく。この3つの掛け算で、SPEEDAのTAMをどんどん拡大させていくことができると考えております。
Q19:足元でコロナの状況が深刻さを増し、先行きも不透明になっている。この状況が、足元、先行きに御社へどのような影響を与える可能性があるか、説明してほしい。
佐久間 本日東京で新規感染者が5,000名を超えました。非常に甚大な状況だと考えております。そこで我々の業績に関してだけを述べますと、昨年コロナが初めて広まったタイミングで、解約率が広がり、特に企業規模が比較的小さな企業様ですとか、コロナの影響が非常に大きい特定の業界のお客様からのニーズが一時的に減少したということがございます。
現在どういう状況かと申しますと、簡単に言うと回復してきている状況かなと思います。我々の中でも、先ほど特にFORCASの例もお話しましたけども、一般のマーケティング投資に関しても回復してきている感覚を持っておりまして、顧客企業を定量的に分析するFORCAS、最新トレンドをリサーチするSPEEDAを活用し、ビジネスモデルをこのタイミングで変えていかなければいけないというようなニーズも非常に強く感じています。
Q20:最近、世の中では、非対面営業をサポートするツールのSaaSが注目され、伸びていると思う。FORCAS Salesの説明を聞くと、御社自身がそうしたツールを提供してもいいのではと思うがどうか?
佐久間 アイディアをいただき、ありがとうございます。
そうですね、まさに我々ではターゲティングした先のオぺレーションを、どうFORCASと連携してサポートしていくか。例えば、前の四半期でお話したようなオンリーストーリーさんですとか、そういう他社と提携して、実際の営業・マーケティングの実務までサポートしていく。もしくは我々自身でそこに適うサービスをしっかり作っていくということを両方検討しておりまして、ぜひ検討させていただきたいと考えています。
Q21:売上30%成長を掲げているが、利益成長の部分にも何らかの言及が欲しい。来期予想時に公表するとのことだが市場は利益を全く出さないと受け取っているように思う。市場の誤解を解いてほしい。
佐久間 これはご指摘の通りだと思います。我々としてしっかり利益に関する方針を作り、ご説明させていただく。
これは以前もお話させていただいたことがありますが、次の通期決算のタイミングでしっかり利益方針に関してご説明させていただきたいと考えております。
Q22:NewsPicksのNTTドコモとの事業はドコモとレベニューシェアをすると考えれば良いですか? ドコモのビジネスdアカウントをもっている会社が60万社弱あるとのことですが、これだけの顧客基盤があれば事業の立ち上がりや、業績寄与も相当に早いでしょうか?また、無料登録もできるとのことで、広告事業の売上にも寄与するのですか?

Q23:NTTドコモとの事業については、無料ユーザーについても、利用増に応じて、NTTドコモからいくばくかの収入をいただけるようなスキームにはなっていないのでしょうか? 有料ユーザーが増えない限り収入にはつながらないのでしょうか?
坂本 ご質問ありがとうございます。下のほうにある質問とセットでお答えした方がわかりやすいかと思います。
まずドコモからの収益でいうと、レベニューシェアというご認識で合っております。ドコモが有料会員を売った場合、そのレベニューシェアでNewsPicksの売上が上がる形になっています。
加えて無料会員に関しては広告の出面にもなりますので、そこが広がればご指摘の通り、広告売上の面での向上にもつながります。
事業への寄与のタイミングですが、今ドコモさんといろいろとや現場でやりとりさせていただいている肌感覚としては、来年中を想定しております。
Q24:決算説明会でFORCASにかなりの時間を割いているので、経営陣がFORCASにとても期待していることが分かりました。今後はFORCASへ投資の重点をずらすということでしょうか?
佐久間 はい、FORCASにとても期待しています。「投資の重点をずらす」という言葉を私が正確に理解できていないかもしれませんが、これまでもFORCASにはしっかり投資しておりますし、今後も成長の確度を見定めて、しっかり投資していきたいと考えております。
Q25:プライム市場への上場はほぼ絶望的かと思うのですが、何も対策はされないのでしょうか。株価は1年弱で半分になってしまっていますが、どう思われていますか。
千葉 株価については先ほど別のご質問で回答させていただきましたので、しっかり上げるべく努力していきたいと思っています。こちらの質問に関しては、プライム市場の準備の状況について補足でご説明できればと思っています。
現時点では証券会社と最短でプライム市場に上場するために、準備をしています。具体的な時期について申し上げられないのが申し訳ないんですけれども、最短で上がるべき準備しているということだけご理解いただければと思っています。
Q26:各事業(SPEEDA、FORCAS、NewsPicks)の限界利益率を教えてください。
千葉 各事業ともそれほど大きくは変わっていないかなと思っていますが、常々約70%程度とお答えをしています。それぞれの事業はかなり固定費比率が高いので、売上と紐づく変動費に関しては一定30〜35%水準で、基本的には推移しているとご理解いただければと思います。
Q27:全社的なリソース配分についてお伺いいたします。サービス別では、FORCASの成長力が高いと思います。根幹たるMRRの30%成長の難易度が高いNewsPicksやSPEEDAよりも、FORCASによりたくさんの経営資源を投下していくことが合理的な判断に見えますが、そのようなお考えはありますか。
稲垣 先ほどの佐久間の話にあった通りにはなりますが、各事業の適切な成長率を見極めて、そこに対する配分をしっかりと考えて投資をしていくということをやっていますので、FORCASに関しても成長率を見極めて、必要な投資を実行していければと思っています。
Q28:NewsPicksは会員登録数が641万人もいますが、有料会員数は17.2万人(2.7%)しかいません。ユーザに価値が届いていないのが原因だと思いますか? それともNewsPicks自体がそこまで価値を創れていないのが原因だと思いますか?
坂本 こちらは両方だと思っています。価値が届いていないというところは、先ほどから何度かお話させていただいた通り。まだまだ認知度も低いですし、認知度が低い分、そもそも我々の有料の価値を届けられてないということですので、そこを上げていくのは大きな伸びしろだと思っています。
他方、見ているユーザーの方々の中でも、やはりまだまだ価値を作りきれていないっていうことも、我々としては感じでおります。その部分に関しては、新しい機能開発を今準備しておりますが、それを次の決算のタイミングで発表できればと思っております。
Q29:企業評価を考える上で国内のSaaS企業と比べるとマルチプル評価が低いと思います。NewsPicksの売上やミーミルの売上が増えていけば、よりピュアSaaSとしての評価は受けづらいと思いますが「企業の魅せ方」という点でどう考えているでしょうか?
佐久間 例えばMIMIRの売上高については、マーケットプレイス型の売上高として非常にリカーリング性が高い。要するに安定して成長していく可能性が高い売上高であると見なせると考えております。海外のSaaS企業を見ても、サブスクリプション+マーケットプレイス、両方の売上高がマルチプルとしてしっかり評価されているという例もございます。
もちろん見せ方は先ほど話したように課題だと感じておりまして、ただMIMIRの売上がしっかり増えていけば、そこに適した見せ方に変えていって、この問題は解決できると考えております。NewsPicksの売上に関しても同じように考えております。
Q30:株式会社NewsPicks Studiosから佐々木 紀彦氏、木野下 有市氏の退任が発表されましたが、お二人が会社から離れることによるコンテン力や事業への影響はどのように考えていらっしゃいますでしょうか?
坂本 こちらは今後のコンテンツでしっかり結果を示していくしかないと思っていますが、我々の中では2人が離れても、良いコンテンツや事業を作れるだけの体制が作れていると思っております。直近も新しく取締役に就任した木嵜が携わる新番組を予定しておりますが、今後も非常に面白いコンテンツを届けられると自信を持っております。
広告事業に関しても、今年入ってから非常に順調に成長しておりますので、こちら問題ないと思っています。
Q31:SPEEDA事業の成長を考える上で、金融やコンサルなどの優良顧客基盤の活用は有効であると思うが、ミーミルのエキスパートネットワーク以外に、クロスセルや単価向上で上乗せを検討しているか?
佐久間 もちろん検討しております。先ほどお話しした通り、SPEEDA事業の中でもさらなるクロスセルのプロダクトを作っていくことも考えておりますし、あとはFORCAS、NewsPicksの法人事業等の事業をまたいだクロスセルですね。これも実際結果が出ておりまして、この結果をどんどん拡大させていく。
これはもともと私が2020年にSaaS事業の担当となったときに実現したかったことです。そこから1年半経って、各事業の人材の、例えばセールス人材の他の事業のプロダクトへの理解ですとか、実際の人的交流ですとか、そういうものが進み、クロスセルがどんどん生まれつつある状況です。これをしっかり強化していきたいと考えております。
Q32:FORCAS、FORCAS Salesの料金体系と利用ID数をそれぞれ教えていただけますでしょうか。
佐久間 口頭で料金体系を説明するのはなかなか難しいので、千葉さんどうしましょう。
千葉 FORCASに関しては、レンジというか価格が1テーブルではないので、いくつかプライステーブルが分かれているところが、今ちょっと佐久間が説明しにくかった部分なのかなと。
佐久間 失礼しました、料金体系ですね。実際の価格テーブルみたいなものを想定しておりまして、説明方法に迷ってしまいました。料金体系であれば、FORCAS Salesに関してはユーザー課金ですね。ご利用いただくユーザーさんが増えると、頂戴する価格が増えていくといったモデルになっております。
FORCASに関しては少し複雑でして、FORCASの中で分析してターゲットを決めていくという分析モデルと、あとは実際ご利用いただく同時接続するユーザーの数、この2つで料金が決まっていくような体系になっております。ID数に関しては開示を控えさせていただければと思います。
Q33:SPEEDAのMRR成長やNewsPicksのMRR成長を見ると現在の路線でハイグロースとなっていくのは限界があるのではないか。中期計画に向けた成長率とその達成蓋然性をどうみているか。
佐久間 SPEEDAに関しては最初の方の質問にもあったかと思いますが、30%の売上成長をエキスパートリサーチ事業を含めたもので達成していく。その内数としてはMRRで20%を超える水準を目指していきたいと考えております。
NewsPicksのMRR成長のイメージに関しても、先ほど坂本からお答えさせていただいたかと考えています。
Q34:NPの広告が好調なのは引き続き動画でしょうか?
坂本 こちらは引き続き動画になります。
Q35:質問ではありませんが、Q&Aの回答は質問順ではなく、LIKEの数順にされてはどうか?
村上 決算説明の仕方は毎回実は会社の方で、いかにすれば皆様によりより良い情報を届けられるかということで検討しておりますので、ありがたいのアドバイスとして参考にさせていただき、次回以降の決算説明に検討していきたいと思います。
Q36:いつもオープンな場を提供いただきありがとうございます。INITIALの成長率が高くないように見えますが、今後の成長戦略およびTAMについてはどう考えていらっしゃいますでしょうか?
佐久間 今回の決算においては、FORCASと同程度の成長率です。
TAMに関しては、確かにINITIALをご利用いただいてるユーザー様としてはベンチャーキャピタルの方や、事業会社CVCといった、一定限られたお客様に価値をしっかり感じていただいているので、TAMが小さいというご懸念はあるかと思いますが、これは拡大していけると考えております。
先日プレスリリースを出したんですが、INITIALの中で国内のスタートアップのみならず、海外のスタートアップの情報もしっかり見れるというような機能開発を行っていきます。そうすると、例えば日本の事業会社の方が、将来どういうグローバルなスタートアップが自分たちの脅威になるのか、もしくはパートナーになるのか。そのよううグローバルの競争環境のリサーチにマストなツールに、SPEEDAと連携してINITIALもなっていくと。なので、SPEEDAのユーザーほとんど全てに対して、INITIALをマストなツールにしていくことができるのではないかと考えております。
グローバルなスタートアップの企業データ、それをしっかり価値がある形で届けていくということは始まったばかりですが、最終的にはそういった姿をイメージしております。
Q37:東証再編に際しての市場選択に対する御社の方針を教えて下さい。
千葉 こちらに関しては、前回もしくは通期の説明会でご説明した通り、我々としてはプライム市場を選択できるように、先ほどご説明しましたが、準備していきたいと考えています。
Q38:NewsPicksの前編集長の佐々木氏の新会社にて toC向けの経済コンテンツアプリを提供するという発表がありましたが、類似のコンテンツがでてくる、ターゲットユーザが重なるなど、今後のNewsPicksの事業への影響についてどのように考えていますか?
坂本 当然一部競合はすると思っていますが、まだまだ我々としても取れている市場は小さいですし、一緒に市場を作っていければと思っております。
また、我々はもちろんコンテンツを作っている会社ではありますが、プラットフォームとして各メディアさんとお付き合いさせていただいておりますので、佐々木さんの会社とも議論させていただきながら、Win-Winな座組みができるのであれば連携していければと考えております。
Q39:NewsPicks 都市部の企業と地方企業でニーズに違いがあるのではないかと考えていますが、いかがでしょうか。
坂本 ご指摘の通りだと思っております。現在ドコモさんとの共同編集チームや、Re:gionというコンテンツを作るチームは、まさに関東圏以外の企業の方々に向けたコンテンツ作りをしておりまして、その数値を見ながら実際のニーズを見極めていきます。
Q40:EBITDAが3Q4Qで約3.5億しか出ないのは腑におちません。1Q2Qで14億で出ており、Q3Q4にかけて売り上げが積みあがっていくにも関わらず、11億EBITDAが減少する理由を分かりやすく教えてほしい。
佐久間 何度かお話した以上の説明は難しいのですが、一部の投資に関しても、より下期積み上がっていくというか。例えばエンジニア採用に関しても、今後入社が控えているメンバーもたくさんいますし、上期に入社したメンバーに関しても、そのメンバーの人件費的な部分は下期は全体で効いてくるというようなところで、人員投資が下期全体に効いてくる部分と、あとは我々の方で予定している、さらなるグロースを獲得するためのマーケティング投資ですね。
この2つを主な背景として、下期にコストが大きく出るというような計画を作っております。
※ご質問は原文のまま記載しておりますが、社名・サービス名等、一部修正しております。
村上 ありがとうございます。以上で質問は全て回答を差し上げました。
最後に、一見表情の硬いCo-CEOのお2人ではございますが、実際はオウンドメディアや社内向けのメッセージで、組織や事業を作っていくことに、本当にお2人とも生き生きとワクワクしている、そんなメッセージがたくさん出ています。
私自身もこのお2人を非常に尊敬しております。このCo-CEO体制は本当にワクワクしておりますが、せっかくなので内に秘めた熱さ、これをお話しいただきたいと思います。
稲垣 ありがとうございます。
今年弊社では大きな体制変更があり、さらにコロナも引き続き激しい状況の中で、スタートは新しいチームをどう作っていくのか、組織全体の挑戦量をどう上げていけるのかというところを苦心していました。でも、現在ではすごく良いチーム状態になっておりまして、それぞれがそれぞれの意思で良い挑戦を続けてくれています。それが結果として今年の上期の成果につながったのではと思ってます。
これまでの創業者が頑張るような一本足打法の会社ではなく、強いチームと強い仕組みによってこういった結果が出せる会社になってきたというところが本当に誇らしいことだなと思っています。
今社内の新規事業のいろいろな仕組みを作って、新しい挑戦を増やしていくことをやっていますが、その中で新しい経営者が生まれてきています。来年に向けた会社全体のこういった挑戦量をいかに上げていけるのかというところを、チームみんなで推進していきます。来年またさらに強いチームのユーザベースを見せられるように、年内しっかり努力をして皆様に良いご報告ができたらと思っております。
佐久間 私自身がワクワクするのは、プロダクトですね。プロダクトをみんなと一緒に作ってくのは一番好きです。なので今回FORCAS Salesの話を長くしすぎたという反省はあるんですけども(笑)。
それ以外にも今回、INITIALのグローバルスタートアップデータを拡充していくという話ですとか、エキスパートリサーチが非常にお客様から評価を得ている話ですとか、やっぱりNewsPicksとFORCAS Salesが連携して、そこに今までなかったターゲット企業のニュース、しかも企業を分析した深いニュースが瞬時に届けられるという価値ができたこともそうですし、今回話せていないSPEEDA EDGEですね。SPEEDA EDGEに関しても、ようやくお客様がしっかりついてきて、しかも国外、我々「経済情報で、世界を変える」というミッションを掲げていて、昨年Quartz事業を撤退した中で、なかなか思い切った海外事業への投資は難しい中、そういった事業がしっかりお客様の評価を得ていると。
プロダクトが進化したり、新たに生まれたり。その価値がお客様に届き、「とても役立っている。手放せないプロダクトだ!」と評価を得る。そこが私の一番のワクワクの根源ですね。
村上 本日はたくさんのご質問をいただきまして、誠にありがとうございました。
以上を持ちまして、株式会社ユーザベース2021年第2四半期決算説明会を終了いたします。本日はどうもありがとうございました。