【学び】星野佳路は、任せることで「次」を育てる
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私は、先代から社長を交代してまだ2年弱の「バトンを受け取った側」ですが、いつかは「バトンを渡す側」になるので、興味深く読ませていただきました。
後継者は、当たり前の話ですが、先代よりも30歳くらい若いわけなので、当然人生経験も少なく、まして経営の経験もありません。ですから、先代と比較される度に、後継者からすれば「今の時点で先代に劣るのは当たり前でしょ」と言いたくなります。星野さんは「デューデリダン」のインタビューで「後継者はボンクラなのではなく、ボンクラに見られてしまう」と言われていましたが、まさにこれこそが先代との軋轢を生む最たる理由なのではないかと思いました。
先代が後継者に求めるべきは、「能力」と「やる気」でいいと思います。当然、会社に入っていきなり社長を任せるわけありませんから、ある程度の時間をかけて仕事に対するパフォーマンスや姿勢は測れるはずです。ハードルの高い仕事を与えてみるのもいいでしょう。社長になる前のテストをするわけです。そして、本当に「こいつなら大丈夫だ」と思って社長を譲るはずです。
後継者が「これから会社を守っていく覚悟」を持つのはもちろんですが、先代も「関わらない覚悟」を決める必要があります。ファミリービジネスであれ、後継者が決まったということは、少なからず、当人はその覚悟を持っているわけですから、その後の成長を応援するのが色んな意味での「親心」だと思います。それを「俺と考えが違う」という理由で口を出すのは、後継者にも失礼だし、何ならステークホルダー全員に失礼ですね。何より大人げない。もっと言えば、後継者が会社潰したなら、それは、その後継者を選んだ先代の責任です。
社長を交代した瞬間、新しい考えを持った新しい経営者が誕生し、新しい舵取りを担うのです。そして、その後の責任は当人が負う。これ以上も以下もないのです。後継者は先代のコピーじゃありません。これを分からない経営者があまりに多すぎるんだと思います。
注目のコメント
「それは、私の責任の範囲を超えている。次の世代が自ら学ぶべきことです」
今回のインタビュー中、星野代表は何度かそう仰っていました。少しつき放したようにも聞こえますが、その裏には「5〜10年は学びの期間として失敗できるよう、仕組みを整えてから引き渡す」という、次の世代への愛情がありました。
優秀な経営者ほど「つい口を出してしまう」「次の世代が育たない」といった悩みを抱えています。どうすれば、上手に任せて次を育てることができるのか。様々な事例を研究してきた星野代表だからこそのアドバイスをお届けします。「譲る側のノウハウ」「引き継ぐバトンの大きさが変わってきた」という指摘はとても目からウロコが落ちた感があります。
星野社長が「カリスマと呼ばれるのは好きでない」というのもとても健全と感じました。実際「カリスマ」という言葉を使うと何か分かった気がしますが本質はとても曖昧で人によって全く解釈が違ったりすることが多いのではないでしょうか。数年前のKBSの中間テストではNGワードの1つにしたことがあります。社長の経験がない人が、いきなり上手く社長の役割を遂行できるとしたら、それは極めて稀なことです。特に大きな組織であれば尚更です。
星野さんが「このままやっていけば5年、10年は競争力を維持できるという仕組み」を残して、試行錯誤できるような期間を残してあげようとされているのは、事業継承の本質を突いた方針です。
また、本田技研の創業者のお二人が次世代にバトンタッチをされた方法も集団指導体制の構築です。成功事例もあり、再現性の高いやり方になります。