2021/7/31

【赤字7倍】出前館の「勝利のシナリオ」は実現するのか

Loop Now Technologies, Inc Content & Creative Director
NewsPicks編集部による番組『デューデリだん!』は、NewsPicksの記者たちが、注目の成長企業を取材し、経営トップにインタビューする過程を可視化する企画です。

今夜10時からの配信で取り上げる企業は「出前館」。熾烈なフードデリバリー戦争を勝ち抜けるのか、「出前館」が描く“勝利のシナリオ”を検証します。
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INDEX
  • 群雄割拠のフードデリバリー
  • 衝撃の「赤字7倍」
  • 業績圧迫する「売上原価」の正体
  • 出前館の「競合劣位」を発見
  • 黒字化シナリオの現実味

群雄割拠のフードデリバリー

2020年以降、新型コロナウイルスの猛威を"追い風”にした業界の一つが、フードデリバリー業界であることに、もはや疑いの余地はないでしょう。
人の移動が制限される中、深刻な打撃を受けた外食産業を尻目に、テイクアウト・デリバリー需要は急速に拡大してきました。
UberEats、menu、出前館、Wolt、foodpanda、DiDiFood、CHOMPY、楽天デリバリー…
今年6月には、米国最大手「ドアダッシュ」も日本に上陸し、ユーザーにとっては、もはやプラットフォーマーすべてを覚えきるのが難しいほどの乱立ぶりです。
各社のGMV(流通総額)は、うなぎのぼり。
背景には、「初回限定1500円オフ」や「800円×2回割引」などのクーポン乱発によるユーザーの囲い込みや、料理を運ぶ配達員の報酬にインセンティブをのせるギグワーカーの囲い込み競争があります。
そんな国内のフードデリバリー業界を牽引するのが、UberEatsと出前館です。
今回の番組で、なぜ「出前館」をデューデリするのか。
その理由は、今年6月に発表された衝撃的な決算にあります。

衝撃の「赤字7倍」

出前館の創業は1999年。当時は、電話が主流だった出前の注文をインターネットで受け付けるビジネスで成長してきました。
その後、フードデリバリーにも進出、去年3月には、LINE傘下に入り、投資資金をさらに増強します。
ダウンタウン浜田雅功さん、EXITなどの芸人を起用したCMが印象的な出前館は、認知度も高く、加盟店舗数も売上高も順調に成長してきました。
しかし、今年6月、衝撃的な決算を発表します。
2021年8月期の営業赤字が、前年同期比の7倍に膨れ上がったというものです。
そんな出前館は、中期経営計画で「2年後の2023年8月期に黒字化」を想定しています。
競争が激化するフードデリバリーの牽引役である出前館は、本当に黒字化できるのか。
今回は、飲食業界担当の川北真梨乃記者と、星野リゾート篇に登場した片平知宏デスク。
そして、インターン(役)の藤村聖子さん(本業は役者)の3人で、出前館の「黒字化シナリオの現実味」を検証します。

業績圧迫する「売上原価」の正体

早速、いつもの部屋に集合した3人は、出前館のリサーチを始めます。
取りかかったのは、もちろん、129億円という赤字の中身について。
出前館の決算資料を読み込み、特に2つのコストが、出前館の業績を圧迫していることを突き止めます。
それが「売上原価」と「広告宣伝費」です。
「広告宣伝費」がかさんでいることは、出前館のCM露出やクーポン大盤振る舞いから容易に推測できますが、出前館にとっての「売上原価」とは何なのか。
出前館も含め、飲食業界を日頃から取材しいている川北記者によれば、「売上原価」の中身は、出前館がここ数年で増やしてきたギグワーカーの配達員に支払う報酬でした。
この1年、出前館の加盟店舗数も急激に増え、注文数も増えているため、配達員に支払う報酬が増えているのは当然の流れ。
ここで、3人は、一つの仮説を立てます。
「広告宣伝費」は減らせるとしても、ビジネスの仕組み上、「売上原価(配達員の報酬)」は、今後も増加の一途をたどるのではないか。
配達員を確保する競争も熾烈なため、報酬を安易に下げるわけにもいきません。
だとすれば、出前館が2年後(2023年8月期)に想定している黒字化は、難しいのではないか。
数日後に迫った出前館の藤井社長へのインタビューの軸となるテーマが決まった瞬間でした。

出前館の「競合劣位」を発見

「黒字化シナリオの現実味」を、インタビューの軸に据えることにした3人は、さらに攻め手を探そうと、今度は、出前館のビジネスモデルの中の「対飲食店」に注目します。
そして、専門家への周辺取材で、出前館の“弱点”を探り当てます。
「出前館の飲食店向けシステムのUIは、他社と比べて使いにくいんですよ」
出前館の飲食店向けシステムのUI
出前館に加盟する飲食店が、出品したり注文を受けたりするシステムをUberEatsと比較して、3人は驚きます。
UberEatsに比べ、出前館のシステムでは、直感的な操作ができないことが一目瞭然だったのです。
「注文システムが競合に比べて明らかに劣っている点は、藤井社長にぜひ聞いてみよう」
インタビューに同席する片平デスクの目の奥が鋭く光ります。

黒字化シナリオの現実味

リサーチから数日後、新宿にほど近い代々木の線路沿いに立つビルの11階。
CMキャラクターの浜田雅功さんのパネルが待ち構える出前館のオフィスに、川北記者と片平デスクが姿がありました。
川北記者は、カメラが回っている環境でのインタビューが初めてとあって、緊張で頬が少し紅潮しているようにも見えます。
そんな川北記者とは対照的に、颯爽と現れたLINE出身の藤井英雄社長とのインタビューは、流れるように始まります。
「足下の赤字拡大ペースだと、2年後の黒字化は難しいのではないですか?」
「明確な競合劣位である飲食店向けシステムのUIは、今後どうしていくつもりですか?」
「最終的に残るフードデリバリーのプレイヤーは、どこだと考えていますか?」
川北記者と片平デスクは、出前館の黒字化シナリオの成否を左右する、藤井社長の描く戦略や課題解決策などの核心にどこまで迫れるのでしょうか。
今夜10時からの配信で確かめてください。
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『デューデリだん!』は、今後も隔週ペースで土曜夜10時に配信していきます。
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