2021/7/22

【観戦ガイド】男子サッカー開幕。史上最もメダルに近い理由

女子ソフトボール、圧巻でしたね。女子サッカーも岩渕真奈選手の美しいゴールに絶叫した人も多かったのでは。
さて、開会式を前日に控える7月22日。今日は男子サッカーの予選リーグ初戦が始まります。
また、日本も好発進した女子ソフトボールの予選が続きます。圧倒的優勝候補のアメリカがカナダと対戦です。

📊前日の結果

  • 女子ソフトボール(予選リーグ)
    🇯🇵日本8-1🇦🇺豪州
  • 女子サッカー(予選リーグ)
    🇯🇵日本1-1🇨🇦カナダ

🗓今日の競技

  • 女子ソフトボール(予選リーグ)
    午後0:00~🇯🇵日本vs🇲🇽メキシコ
  • 男子サッカー(予選リーグ)
    午後8:00~🇯🇵日本vs🇿🇦南アフリカ

①注目競技:男子サッカー

予選リーグ(出場チームをグループに分けて総当たり)を実施、上位チームが決勝トーナメントに進む大会形式において、初戦は最も重要度が高いと言われます。
そんなサッカー日本代表の相手は、南アフリカ代表です。
五輪の男子サッカーには、出場資格として23歳以下という年齢制限があります(今大会のみコロナの影響で24歳以下)。なお、オーバーエイジ枠として、年齢制限のない選手も最大3人まで認められています。
アフリカ勢は、そんなユース年代で圧倒的な力を誇ってきました。五輪でも1996年、2000年にナイジェリア代表、カメルーン代表が金メダルを獲得し、リオ五輪でもナイジェリアが銅メダルに輝いています。
いままでであれば、初戦に厳しい相手、と言えるでしょう。ただし、今回は少し様相が違います。今大会の日本代表は、史上最も金メダルに近いチームといっても過言ではありません。
サッカー男子五輪代表(写真:時事)
その理由は、実力者を揃えることができたことと、大会前の準備が整っていることです。
というのも、今シーズンにヨーロッパでプレーをする予定、または経験をした選手が12人と、登録メンバーの半分以上を占めているのです。
リオ五輪は2人、ロンドン五輪が6人でした。また、その選手たちはそれぞれレギュラークラスでレベルの高い経験をしてきています。
五輪はFIFA(国際サッカー連盟)の公認試合ではないため、所属クラブは五輪代表への派遣を拒否することができます。ゆえに実力者を揃えること自体、簡単ではありません。
その上、今夏はコロナ下であることに加え、直前まで欧州選手権、南米選手権と、各大陸で最も注目を集める、フル代表(年齢制限のない代表チーム)によるビッグトーナメントがありました。
そのため各国にとって、五輪代表メンバー選考は悩みの種だったといえます。
そうした中、こと日本について言えば、フル代表での経験と実力を持ち合わせた理想的なメンバーを招集することができました。
さらに、自国開催のメリットも大きく日本を後押しします。日本の夏の暑さに慣れていることに加え、代表チームメンバーで1カ月以上の準備期間を取れた国は、日本以外にありません。
メダルを目指す上で、これ以上、恵まれた環境はないといえます。

②注目選手

そんな日本代表の注目選手は、なんといっても久保建英(くぼ・たけふさ)。今後の日本サッカー界を担う逸材です。
久保建英(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)
11歳でスペインの名門バルセロナの下部組織に入団、その後日本に戻りFC東京で16歳にしてJ1デビューを果たしたのち、18歳でスペインの名門レアル・マドリードに入団しました。
フル代表でも活躍する久保の攻撃力は、日本のエンジンとなるはずです。
もうひとり、背番号10を背負う堂安律(どうあん・りつ)も注目です。
堂安律(写真:picture alliance/アフロ)
こちらもオランダの名門クラブであるPSVに所属。昨季はレンタル移籍でドイツ1部リーグのビーレフェルトでチームの中心選手としてほぼ全試合に出場しています。
テストマッチ(国際公式試合)でも、4試合連続得点中と好調を保っています。
他にも、今夏のヨーロッパクラブへの移籍が噂される川崎フロンターレの三笘薫(みとま・かおる)、ベルギーリーグでプレーする三好康児(みよじ・こうじ)、名古屋グランパスパスエイトの相馬勇紀(そうま・ゆうき)らタレントが揃います。
三笘薫(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)
さらに特筆すべきは、こうした豪華攻撃陣を支える守備陣です。
最終ラインにはオーバーエイジ枠の吉田麻也(よしだ・まや)酒井宏樹(さかい・ひろき)、そしてイングランドの強豪トッテナムへの移籍も噂される冨安健洋(とみやす・たけひろ)がいます。
一列前のミッドフィルダー(MF)には、昨季ドイツで一対一の勝率が最も高く、デュエル王に輝いた遠藤航(えんどう・わたる)が選出されています。
いずれも、フル代表の絶対的レギュラーで、経験、実力ともに群を抜いてます。
彼らを中心とした強力な中盤、守備陣があってこそ、久保、堂安らタレント揃いの攻撃陣が活性化します。ぜひ、守備陣にもご注目を。
遠藤航(左)、吉田麻也(中央)ら守備陣(写真:時事)
なお、今月17日の親善試合では、今大会の優勝候補の筆頭にも挙げられるスペイン代表相手に1−1の引き分けと善戦。初の金メダルへ期待が高まります。
ただし、いかんともしがたい問題が発生し、ここ数日メディアを賑わしています。南アフリカ代表の選手2名、スタッフ1名が新型コロナウイルス検査で陽性となり、18人が濃厚接触者として判定されたのです。
果たして試合は行われるのか。本稿執筆の7月21日23時段階では、その可否が発表されていません。
中止となった場合は、日本が3対0で勝利、という形になりますが……選手たちのモチベーションとしては、複雑なものがあるでしょう。
まさにコロナ禍の五輪を象徴する1日になりそうです。
(文中敬称略)
*この観戦ガイドは明日以降も毎朝、その日の注目点をお届けしていきます。