2021/7/26

自分の人生の「主人公」になるために、今やるべきこととは

NewsPicks NewsPicks編集部
新型コロナウイルス感染症は、世界中の経済を停滞させ、多くの人に困難を与えた。
しかし、どんな逆境にいたとしても、運命は自分の手で変えられる──。
これは、自分の人生の「主人公」として数多の困難を乗り越えてきたビジネスパーソンであれば、誰もが共感するところだろう。では、運命を切り拓いていくために、私たちにできることとは何か。高くそびえ立つ壁を乗り越えるための方法とは。
『#CHANGEDESTINY』と題して女性の挑戦を後押しするメッセージを継続的に発信してきたグローバルスキンケアブランド「SK-II」とともに考える。

オリンピック選手と女性起業家の共通点とは

どんな逆境にいたとしても、運命は自分の手で変えられる──。壁に突き当たったとき、こう信じられるかどうかは、非常に大きな違いだ。
『#CHANGEDESTINY~運命を、変えよう。』と題して女性の挑戦を後押しするメッセージを継続的に発信してきたグローバルスキンケアブランド「SK-II」は、今年3月、ブランドとして初となる映像スタジオ「SK-II STUDIO」を立ち上げた。
第一弾として公開された『センターレーン』は、競泳・池江璃花子選手が競技復帰を目指す軌跡を是枝裕和監督の手により映像化したものだ。
続く『VS』シリーズには、卓球の石川佳純選手をはじめとする6組の女性トップアスリートが登場しながら、さまざまなプレッシャーとそれに立ち向かう姿をアニメ映像として表現している。
そして8本目の映像作品『それぞれのスタジアム』には、女性アスリートと女性起業家が登場する。
一見、無関係な二者だと感じるかもしれないが、オリンピック選手が直面している困難と、オリンピックに向けて期待されていた訪問者が減少したことにより、東京の女性起業家や中小企業の経営者が直面している困難を重ね合わせているのだ。
SK-IIグローバルのマーケティング兼イノベーションリーダーであるヨージン・チャン氏は、一連の映像作品の狙いについてこう話す。
「私たちは2014年から『CHANGE DESTINY』というメッセージを掲げてきました。それは、単にお客様の肌を変えるだけでなく、運命もよりよいものへ変えるような力を持ったブランドでありたいという思いからです。
SK-II STUDIOによる映像は、過酷な状況に置かれても、自らの手で運命を切り拓いてきた人々を描いています。外的なプレッシャーや困難に直面しても運命の舵取りを他人任せにせず、運命を変えるためにできることがあると示したいのです」
現在、世界は新型コロナウイルスという未曾有の事態にさらされている。「Mastercard Index of Women Entrepreneurs 2020」によれば、全世界87%の女性起業家が、コロナ禍により何かしらの悪影響を受けたという。
日本の場合、オリンピックを一年延期したという事情もある。加えて、起業した女性にとって、日本はあまり恵まれた環境とは言えない。
それは数字にも表れている。日本の女性就業者のうち女性起業家は、G7諸国の中で最も低く(4.4%)、OECD諸国の平均を大きく下回っている。女性の22%は「自分の会社を持ちたい」と考えているものの、実際に女性が経営している会社は5.3%しかない。
出典:OECD Gender dataset, Entrepreneurship
「これまでも私たちは、女性が直面する社会的圧力に関する取り組みを支援してきました。ですが、メッセージだけでは足りない。コロナ禍を機に、具体的なアクションにつなげる施策をとることにしました」(ヨージン氏)
そこで、SK-II STUDIOと同時に立ち上げたのが「#CHANGEDESTINY 資金」だ。運命を変えようと挑戦し続ける女性のための支援活動に向けて、50万ドルを上限額とし、SK-II STUDIOの映像1再生につき1ドルを拠出するというもの。
3月の開始から数ヶ月で、なんと動画の総再生数はすでに10億回を突破した。
日本では、この「#CHANGEDESTINY 資金」の一部を利用して、女性が経営する中小企業や起業家を支援する1年間のプログラムが行われる。
目指すのは、女性事業主・起業家が未曾有の時代に夢のあるビジネスを構築し、維持するためのデジタルおよびソーシャルスキル、ビジネスネットワーク、プラットフォームを身につけること。
SK-IIが東京都渋谷区、そして東京を拠点とする女性起業家ネットワーク・meeTalkに協力を仰ぎ、三者の協同プロジェクトがスタートしたのだ。

女性起業家に立ちはだかる高い壁とは

「meeTalkには多くの女性起業家がいますが、自分の事業の規模がまだ小さく、会社勤めのかたわら、という人もいます。私自身、昨年meeTalkを法人化してから、1年はCAMPFIREでも働いていました」
このように話すのは、meeTalkの代表である山中直子氏だ。
meeTalkの前身は、2014年からはじまった、挑戦する女性同士がお互いの活動を共有してつながるプレゼンイベントだ。2015年からは、スタートアップ企業やアクセラレーターと協力し、スキルアップのためのワークショップを年間15回ほど開催してきた。
「『事業や経営の相談をしたい』とか、『こういうことをやりたいけどノウハウや知識がない』という人が、meeTalkを通じて、学び、出会い、発展していくことを目指しています。
女性の場合、時代や環境にもよりますが『女の子なんだから』と抑圧を受けていることもあるし、男性にはない出産という大きなライフイベントもあります。
そうしたことを乗り越えて、自分の運命を切り拓くために起業しても、小さなものから大きなものまで、さらにいくつもの壁があります」(山中氏)
採用や組織づくりでつまずくこともあれば、事業拡大・維持のために最適な資金調達の方法がわからないこともある。しかし、待っていても相談できる人は近くにいない。女性起業家の数は少なく、起業家同士のコミュニティも少ないからだ。
すると、本来つながりがあることや、機会を提供しあうことで解決できるような小さな壁の前で立ち止まってしまったり、なかには「これが自分の運命か」と諦めてしまう人もいる。山中氏は、その点を大きな課題として挙げる。
「正解がない中でどうやって前に進んでいくのか、同じような課題をほかの経営者はどう解決しているのか。
スキルはもちろんマインドセットについても女性起業家同士で相談できれば、きっと勇気をもらえるし、お互いにサポートすることもできる。さらに、SK-IIとの『#CHANGEDESTINY 資金』の取り組みでは、具体的な学びが得られます。
自分自身の課題意識もあって、SK-IIの掲げる『CHANGE DESTINY』という信念には強く共感しています。SK-IIと、日本のなかでもスタートアップ先進区といえる渋谷区とともに女性起業家を支援できることを光栄に思います」(山中氏)

コロナ禍で気づいたシンプルな真実

meeTalkの関係者のなかにも、コロナ禍によって売上が激減した起業家は少なくない。それでも、多くの起業家が、苦境だからこそ、励まし合いながら、ノウハウを共有しながら、協力して一歩ずつ道を切り拓こうと挑戦を続けている。
「こういう事業をはじめたいと思っているのですが」「場所が必要なんですが、一緒にできませんか」というコンタクトもどんどんやってくる。
コロナ禍で見えてきたこともある。
「『今年はやっと形にできる』と温めていたプロジェクトが、さまざまな制限によって軒並みできなくなりました。でも、そのおかげで人生や時間、チャンスにも限りがあることに改めて気づかされました。
私だけではなく、絶対に実現したいと思っていたことや、自分にとって本質的な価値があると信じることに取り組みだした人が増えていると感じています」(山中氏)
渋谷区とmeeTalkは以前にも『SheEO』というプロジェクトを共同で行っている。職業やポジションに関わらず、自分の人生の主人公として意志を持って選択と決断をする女性を増やそう、という趣旨のトークセッションだ。
『#CHANGEDESTINY 資金』の取り組みは、こうした状況下で、起業した女性たちが力強く前進できるよう背中を押すものなのだ。
実際のプログラムは、「学ぶ」「つながる」「発信する」という3つのアプローチで、中小ビジネスを経営する女性起業家、事業主がこの未曾有の時代に直面している最重要課題に取り組む。
「学ぶ」ではFacebook Japan、Googleの協力を得て、デジタルプラットフォームの構築、ソーシャルコマース、さらには海外展開、あるいは資金調達のノウハウなどについて、ワークショップや個別のビジネスコンサルテーションを行う。
「つながる」では、中小ビジネスを経営する女性起業家、事業主の課題であるビジネス上ネットワークへの接続を支援し、適切なロールモデルとマッチングする。
最後の「発信する」は、女性起業家、事業主が世界中のより多くの人々に自らのビジネスを発信できるよう、SK-IIの有するプラットフォームを通じ、ユニークなブランド体験発信の機会を提供する。
東京の町並みに着想を得て作られたバーチャルシティ「SK-II City」の中には、ショップが並ぶ「Change Destiny Street」があり、そこに5人の女性起業家が登場。インタビュー動画などから、彼女たちの創業ストーリーを知ることができる。
SK-II Cityには、女性起業家たちのバーチャルショップや、冒頭に紹介した動画が見られるシネマなどがある
「SK-IIの『フェイシャルトリートメントエッセンス』は40年以上も変わらない処方で、女性の肌をよりよく変えてきました。肌が変わったことで、自信がついて、新しいことに挑戦できたという声も多くいただきます。
社会からの抑圧によって、『ここが自分の限界かな』と諦めてしまっている女性は少なくありません。それを突破するひとつの方法は、実際に壁を乗り越えた人を知ること、そんな人と話すこと。そして、挑戦を続けることです。
自分の運命を自分で切り拓く女性を増やし、そこで輝いた女性がさらに多くの女性に希望を与える。ビューティーブランドとしての使命として、『#CHANGEDESTINY資金』によって多くの好循環を生み出していきたいですね」(ヨージン氏)