[ワシントン/ハバナ 12日 ロイター] - バイデン米大統領は12日、キューバで起きた市民による反政府デモに支持を表明した。

バイデン大統領は声明で「キューバの人々が求める自由」と新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響や、キューバの権威主義体制下での数十年に及ぶ抑圧や経済的苦痛からの「解放」を支持すると言明した。

さらに「平和的なデモに参加し、自らの将来を自由に決定するという基本的かつ普遍的な権利を行使するキューバの人々は尊重されるべき」とした。

キューバでは11日、ディアスカネル大統領の退陣を求める市民らのデモが起きた。社会主義国のキューバでのデモは異例で、数十年ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大で経済は危機的状況にあり、人々は生活必需品の不足や、当局のコロナ感染への対応に怒りの声を上げている。

首都ハバナでは、感染対策で外出禁止となる午後9時までに多くのデモ参加者が帰宅したが、いたるところで武装した特殊部隊を乗せた車両や警官が配備され厳戒態勢を取り続けた。

亡命者の人権団体「Cubalex」などによると、キューバ国内では11日以降、著名な活動家を含め少なくとも100人のデモ参加者や独立系ジャーナリストが身柄を拘束された。

キューバ最大の反政府団体「UNPACU」のリーダー、ホセ・ダニエル氏は11日、キューバ東部サンチアゴデキューバのデモに参加するため自宅を出た際に逮捕された。UNPACUの活動家がロイターに明らかにした。

キューバ政府からは活動家らの逮捕について今のところコメントを得られていない。

欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表も12日、「1994年以来の規模の抗議行動」で、「キューバ国民は平和的に自らの意見を表明する権利がある」とし、政府に対し国民の発する不満に耳を傾けるよう呼び掛けた。

キューバのディアスカネル大統領は12日、テレビ演説で、デモにつながった医薬品の不足や停電、経済上の問題は、米国の経済制裁が原因と非難した。

同大統領はまた、米国主導のソーシャルメディアの情報操作がデモを引き起こしたと主張し、さらなる「挑発」を容認しない構えを示している。

キューバのロドリゲス外相は、米国から資金提供を受けた雇い兵が人道支援を呼び掛けるソーシャルメディアキャンペーンを装い、デモを扇動したと主張した。

米ホワイトハウスのサキ報道官はこれに対し、デモは「日常生活を巡る厳しい現実」に触発され、自然発生的のようだと述べ、米国がデモ扇動に関与したというキューバ側の主張を否定した。