2021/7/10

【実録】日本上陸。「北欧の巨人」の大変革がすごい

NewsPicks NY支局長
これぞ、華麗な転身だ。
世界で最もサステナブルなエネルギー企業」と聞くと、どんな会社をイメージするだろうか。再生可能エネルギーや蓄電池、EVなど、新しいテクノロジーを駆使した新しいベンチャーをイメージするかもしれない。
だが、2020年に1位になった企業が、ほんの10年前まで石油ガスの企業だったと聞いたら驚く人が大半ではないだろうか。
その企業はOrsted(オーステッド)。北欧デンマーク発のエネルギー企業だ。
もともとは1970年代に石油ガスの企業として誕生したオーステッドは、2000年代後半から一気に再エネへとシフトし、今や発電の90%を再エネが占める。2025年にはほぼ100%が再エネになり、カーボンニュートラルを達成する見込みだ。
このすさまじい再エネシフトの背景には、同社の「切り札」がある。
それが「洋上風力発電」だ。1990年代に沖合に風車を建てる実証実験を開始すると、ゼロから洋上風力の市場を開拓し、欧州を皮切りに大きな市場を育て上げた。今やアジア、北米でも導入計画が進み、オーステッドはこの分野の世界トップに君臨している。
そして、いよいよ日本政府も洋上風力の急拡大に動くなか、オーステッドは日本への本格参入に動き始めている。
NewsPicks編集部は、オーステッドでアジア地域を統括するマティアス・​バウゼンバイン氏にインタビューを敢行。その企業変革の経緯から、日本市場の可能性まですべてを聞いた。
INDEX
  • 10年強で石油85%→15%
  • 「石炭、原子力より安い」
  • 欧州から台湾、そして日本へ
  • 日本は「向いていない」は本当か
  • 日本は「規模を拡大できる」

10年強で石油85%→15%

──オーステッドは、ゼロから洋上風力の市場を作り上げました。再エネへの変革の経緯をお聞かせください。
すべては、2008年に始まりました。
その頃、オーステッドの電源構成は化石燃料が大体85%で、再生可能エネルギーが15%だったのですが、これを正反対の再エネ85%、化石燃料15%へと逆転させる目標を立てたのです。
当時は、2040〜2050年までの達成を目指していたのですが、実は、2018年までに比率は逆転させ、すでに目標は達成しています。
さらに2025年には、ほぼ再エネ100%になる見込みです。