2021/7/9

【開拓】freeeが狙う「API経済圏」のすべて

NewsPicks 編集部 記者・編集者
SaaSにはオープンな経済圏が必要だーー。
今や、企業が使用するSaaSのツールは、1社当たり8.7個となった。アメリカではすでに1社当たり80個ものSaaSツールを使っていることを考えると、日本でもこの数年でこの動きが加速していくのは間違いない。
そうしたツールたちがつながり合うオープンな世界を作ろうとしている企業が日本でも登場している。
それが、クラウド会計ソフトで知られるfreeeだ。
スモールビジネス向けのSaaSを展開するfreeeは、有料課金の顧客数を3年間で2.5倍の28万社まで伸ばし、直近の売上高は100億円を超える見込みにまでなっている。
freeeは今、「オープンプラットフォーム」を標榜し、数々のSaaSツールがAPIを通じて連携する経済圏を作り上げようとしている。
日本ではいち早く2013年3月にサービスを開始し、その7カ月後にはAPIを公開すると、2016年には国内初の事例となるメガバンク(みずほ銀行)とクラウド会計ソフトのAPI連携を行なった。
さらにSaaS同士をAPI連携して使ってもらうための「アプリストア」を開始し、すでに100以上がfreeeと連携している。これを通じてユーザーが、freeeと接続した形で便利なツールを使い、SaaS全体として成長していくのが狙いだ。
freeeは、なぜいち早くAPIに目を付け、次にどこに向かうのか。
NewsPicksは、freeeで「プラットフォーム基盤本部」を率いる前村菜緒部長に直撃し、その壮大なビジョンを聞いた。
INDEX
  • 8年前から「API」推し
  • 開発だけでは「届かない」
  • 日本のAPIは「米国の2013年」
  • 競合他社も「歓迎」
  • 銀行の「オープンAPI」を振り返る

8年前から「API」推し

──創業当時から、APIの活用は重視されていたのでしょうか?
前村 freeeの創業当初からの思いとして、「外部とオープンにつながっていく」という思想がありました。
その一つの形として、各企業が業務で使うシステムからデータを取れるように、APIで他のサービスとつながることをずっと進めてきました。