2021/7/5

【全軌跡】僕らは「エンジニアなし」でここまで成長した

NewsPicks NY支局長
今や、あらゆるビジネスに「デジタル化」が必須となった。
だが、全ての企業に天才エンジニアが必要なわけではない。エンジニア不足が叫ばれる中で、高度なプログラミング経験なしで使えるツールが山ほど出てきているからだ。
逆にいえば、最強のテクノロジーツールを組み合わせる「新たなスキル」があれば、誰でもビジネスを立ち上げられる時代になった。
本日から5日間の特集では、そんな「新しいテクノロジーの常識」を紹介していくが、まず第1回目に紹介するのが、米EC企業のBokksuだ。
2015年に創業したBokksuは、日本の地方のお菓子を「スナックボックス」として、サブスクリプションで提供している。今やアメリカを中心に、欧米で人気が急上昇し、コロナを経た今年は年商2000万ドル(約22億円)へと達するほどだ。
そのBokksuの特徴の一つは、今にいたるまで全くエンジニアに頼らずに、事業を成長させてきたことだ。特にサブスクリプションというモデルは、決済が複雑で、従来はプログラミングが必須だった。
彼らはいかにして、ノーコードでの成長を実現してきたのか。さらにECが急拡大する上で必要になるテクノロジーの素養は?エンジニアが必須となるステージはいつか?
NewsPicksが創業者のダニー・タン氏のその全プロセスを聞いた。
INDEX
  • ①10年前の1000万円が、月3000円で
  • ②自前でやるな、他人に任せよ
  • ③年商3億円まではノーコードでいける
  • ④次の潮流「ヘッドレス」とは
  • ⑤ノーコードの弱点
  • ⑥絶対デジタル化できないこと

①10年前の1000万円が、月3000円で

──Bokksuは、今までビジネスのほぼ全部を「ノーコード」で構築しています。その旅路をお伺いさせてください。
私は、コロンビア大学で1年半、コンピュータサイエンスを学びました。でも、実は深くは学んでいません。
実際は、中退してビジネスを始めたので、卒業さえしていないのです。
というのも、ここ5~10年で、テクノロジーが一気に「民主化」され、ビジネスを簡単に立ち上げられるようになったからです。
例えば、10年前であれば、EC企業を立ち上げるためには、数千万円〜1億円ぐらいの資金が必要でした。自らエンジニアを雇い、ウェブサイトもカスタムメイドで作成し、あらゆるAPI(※後で解説)を接続する必要があったからです。