iPS細胞による脊髄再生治療、慶大が患者受け入れ…1年かけて安全性検証
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iPS細胞治療の中では、脊髄損傷は、他の治療法では治しにくいと思われていますので、非常に期待される応用分野です。しかしiPS細胞の治療では、がん化が主な懸念事項です。血小板のような核がない細胞では、原理的に安全性が高いことが推測されますが、神経細胞や、グリア細胞には核がありますので、その懸念はつきまといます。 iPS細胞を樹立する際に使用する山中因子と呼ばれる4つの因子のうちc-MycやKlf4に関しては、がん化との関連が、ある程度わかっています。別の遺伝子を使うことや、化学物資で分化誘導を行うこと、未分化でがん化の危険のある細胞はあらかじめ除去するなどの対応があるようです。
慶應大学では、「iPS細胞移植後の腫瘍化モニタリング技術を開発―PET検査で神経幹/前駆細胞の造腫瘍性変化を可視化―」というプレスリリースが出ています。
https://www.amed.go.jp/news/release_20200106.html
PET(陽電子放出断層撮影)という細胞の活動状態をみることができる方法を使っています。CTやMRIに比べて解像度が悪いですが、活動状態をみることができるのが、利点になります。(CTやMRIは形で映る白黒写真を撮っているようなものですが、PETでは、活動している部分が光って見えます)
また、6年前ですが、「iPS由来細胞のがん化可能性判定する新手法」という日経新聞の記事がありました。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGG18H2R_Z10C15A1TJM000/
「神経前駆細胞の55個の遺伝子を調べ、すべてが活発に働けばがん化のリスクが高いと判断する。」という判定法だそうです。これらの方法を使って、がん化を極力防ぐという事でしょうか。また、まず、1例実施し、その後3例実施するというのは、慎重を期すという意味でしょう。
他家移植(他人の細胞から作ったiPS細胞の移植)ですので、免疫による拒絶反応を考慮しなければいけません。MHC(白血球の血液型のこと)のマッチングや、免疫抑制剤の使用などが考えられます。
脊髄損傷に関しては、QOLの低下は大きいでしょうから、患者さんに対して、メリット、デメリットを丁寧に説明した十分なインフォームドコンセントができているのであれば、まずは、見守るというところでしょうか。最も怖い四字熟語の1つ、脊髄損傷。iPS細胞での脊髄再生治療が始まるらしい。
札幌医科大学の脊髄損傷からの再生治療も改めて気になる。MSCという自身の幹細胞を培養して戻す取り組み。
https://newspicks.com/news/3752471/?utm_medium=urlshare&utm_campaign=np_urlshare&utm_source=newspicks&invoker=np_urlshare_uid806441📩脊髄損傷の治療、iPS細胞を使って
◽️慶応大、iPS細胞を使った
脊髄損傷治療の患者受け入れ開始
◽️患者に、他人の細胞から作った神経を移植
◽️1年掛け、安全性などを確認していく
◽️成功すれば、世界初の事例
これ成功すれば、救われる人は、かなり多いはず。1年後、楽しみですね。