[東京 24日 ロイター] - 自民党で経済安全保障の議論を主導する甘利明衆院議員は24日、海外株主に不当な圧力をかけたとされる東芝の問題に言及し、海外アクティビストは経済安保における同社の重要性を理解していないと語った。その上で、海外の「物言う株主」への監視体制を厳格化する必要性を訴えた。

自民党で新国際秩序創造戦略本部座長を務める甘利氏は、原子力や半導体など重要技術を持つ日本企業に海外投資家が出資することについて、安全保障の観点から監視していく必要があると強調。出資後も「日本の安全が脅かされることにならないか、しっかりモニタリングしていく」と述べた。

各国が中国を念頭に外資規制を強化する中、日本は2020年5月に改正外為法を施行した。政府への届け出基準を従来の10%以上から1%に引き下げ、対象業種を大きく広げた。

不正会計問題などで経営危機に陥った東芝は、海外株主の比率が高まり、昨夏の定時株主総会では筆頭株主が社外取締役候補を独自に提案して会社側と対立した。その際、改正外為法を所管する経済産業省と一体となって海外株主の議決権行使に圧力をかけたと指摘され、現在問題となっている。

甘利氏は、重要技術を持つ東芝を経営危機から救ったのが「アクティビスト集団しかいなかったということ自身に問題がある」と指摘。短期的な利益を追求することしか考えていないとし、「日本の経済インテリジェンスにかかる東芝の重要性なんていうのは1ミリも理解していない」と語った。

さらに甘利氏は「経済安全保障という点では日本は極めて遅れている」と話し、一段と強化する必要があるとした。関係省庁の連絡会議などで議論を進めていく考えを示した。「経済界全体で経済インテリジェンスに対する危機意識が、欧米諸国に比べて圧倒的に足りない」とも述べ、日本の経済界に意識改革を促す必要性を訴えた。

(金子かおり、梅川崇 編集:久保信博)