2021/6/30

【必見】もう観た?プロピッカー激推し「名作ドラマ」10選

NewsPicks Brand Design / Senior Editor
決まった時間にチャンネルを合わせて番組を観るなんて、今の時代、もう考えられない──多忙なビジネスパーソンからの声は、まったくもってその通りだ。

BSにCS、ネトフリにアマプラ、ディズニーチャンネル、YouTubeやTikTok……動画にまつわるサービスだけでも多種多様。その中にあるコンテンツは数え切れない。

テレビはもうオワコンなのか? “お茶の間”という概念がなくなりつつある今もなお、世間の話題をさらう日本のテレビドラマが生まれている。

そこで今回は7名のプロピッカーに、ビジネスパーソンにオススメしたい、多忙でも必見の名作TBSドラマを選んでもらった。

名作①半沢直樹シリーズ

【どんな作品?】
・銀行をめぐる不正を描く、池井戸潤の超人気・小説シリーズが原作。
・第1シリーズの最終回で視聴率42.2%を叩き出し、平成の民放ドラマで堂々の第1位に輝いた。

「1話1話が、一本の映画レベルの迫力」

 言わずと知れた大ヒット作ですが、日本ドラマ史上最高のエンターテインメント作品だと思います。
 メガバンクの中の出世争いと、そこから生じる不正や圧力などが次々と襲いかかる。そんな組織の理不尽に負けることなく、半沢直樹がバンカーという仕事に意地とプライドを持って取り組む姿に心を打たれました。
 日本は“就職ではなく就社”と揶揄されるように、組織に寄りかかって生きる人も少なくありません。「半沢のように、もっと仕事そのものに誇りを持って生きる人を増やせたらいいな」と、今の僕のビジネスにもつながる気づきのきっかけをもらいました。

「元・銀行員も楽しめる爽快感」

 私は今でこそIT業界に身を置いていますが、元々は銀行員。しかも、原作者の池井戸潤さんと同じ銀行出身ですので、毎話興味深く(懐かしく?)観ていました。
 テレビドラマ向けにデフォルメされている部分はかなりあるものの、主人公の行動のベースに大義があり、その大義のために、熱い想いでさまざまな壁を乗り越えるところが魅力なのだと思います。
 安心して家族で観られます。爽快感も得られる、何度観返してもおもしろい作品ですね。

「“サラリーマン歌舞伎”の真骨頂!」

「実は身の回りでもこういうことあるなぁ」と共感しながらなど、半沢シリーズの楽しみ方はさまざまですが、個人的にはやはり名言・名シーンの数々が魅力です。
 なかでも、出向させられた東京セントラル証券を離れる際、共に戦った仲間たちに向けて贈った半沢のスピーチは、日々働き続けるビジネスパーソンなら誰しも胸に来るものがあるはずです。
 何度観ても楽しめる作品ですし、仕事のモチベーションを上げたい時にオススメです。
 

名作②わたし、定時で帰ります。

【どんな作品?】
・日本の職場を取り巻く労働問題を通して、「働くことの意味」を見つめ直すお仕事ドラマ。
・主人公の東山結衣(吉高由里子)が、「残業ゼロ」を貫くきっかけとなった、過去の“ある出来事”とは?

「懸命に働く日々に疲れたら……」

 ビジネスパーソンなら誰もが共感できる場面が数多く出てくるので、私自身も、働くことについて真剣に考えるきっかけになりました。
 一番好きなエピソードは、産休から復帰した直後でやる気満々なスーパーワーキングマザーの先輩と主人公のやりとり。
 ある日、子どもが熱を出したにもかかわらず、仕事に熱中し、帰ろうとしない先輩。「ここで帰ったら『やっぱり子持ちは……』って言われるの。ここで帰ったら負けなの!」と、強迫観念にとらわれた彼女に、主人公が「何と戦ってるんですか?」と言い放つシーンです。
 一生懸命に働きながら自分を、そして自分の大切な人を守るのは難しく感じる時もあります。けれど、この作品を観ると、私でも明るい未来を実現できそうな気にさせてくれます。
 働くことに少し疲れた時は、ぜひご覧になってください。
 

名作③逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類! 新春スペシャル!!

【どんな作品?】
・2016年に社会現象とも呼べる大ヒットを記録した人気シリーズの続編。主人公2人の“契約結婚”から3年後を描く。
・前作では、TBS 火曜ドラマ枠の歴代最高視聴率を更新し続け、TBS FREE・TVer・GYAO!での無料見逃し配信でも、シリーズ合計1000万再生を突破した。

「『ガッキーかわいい』と油断するなかれ」

 娘が“逃げ恥”大好きで、今も定期的に家族で観ている作品です。
 最初は、みくりさんのかわいさについ油断していました。でも、実はこの新春スペシャル、夫婦それぞれの悩みやストレス、女性の産休・男性の育休取得、さらには無痛分娩からコロナ禍まで、骨太な令和の社会課題がゴリッゴリに詰め込まれていて、非常に見応えがあるストーリーなのです。
 これら現代の社会を反映した多彩なテーマを2時間に凝縮して、爽快に斬ってくれる名作中の名作。コロナ禍を頑張る全ビジネスパーソンにオススメしたいです。
 

名作④天皇の料理番

【どんな作品?】
・大正・昭和期に、皇室の台所を預かる「天皇の料理番」となった実在の人物がモデルの人間ドラマ。
・“世界に見せたい日本のドラマ”がコンセプトの「東京ドラマアウォード」で、作品賞・主演男優賞を含む4部門制覇という快挙を成し遂げた。

「“まず動ける人”は、強い」

 宮内省の料理長を務めた秋山徳蔵氏の実話に基づく作品です。
「バカだ」「どうしようもない」と言われていた主人公が、初めて食べたカツレツに衝撃を受けて、地元を捨て上京し、さらにはフランスに渡って料理修業を始めます。
 そして、宮内省(現 宮内庁)の主厨長にまでなる。セレンディピティにつながる行動力と、守破離の“守”である基礎の重要性を感じます。
 ビジネスも同じで、私の関わる教育領域でイノベーションを起こすなら、まず日本の教育の成り立ちや現場の先生の声を知らなければ始まりません。
 自分は何が好きか。何に興味があり、何が得意なのか。そんなふうに悩んだり、キャリアに迷ったりしているビジネスパーソンの背中を押してくれるストーリーだと思います。

名作⑤恋する母たち

【どんな作品?】
・『東京ラブストーリー』『あすなろ白書』など、恋愛マンガ界の巨匠・柴門ふみの同名作品が原作。
・木村佳乃・吉田羊・仲里依紗演じる3人の母たちの不倫劇から、結婚にとらわれない今の時代を反映した生き方を描く。

「秘密と悩みを抱える美しい母たちの運命」

 私自身は未婚なので、タイトルを見た時は「母としての生き方に共感できるだろうか?」と疑問を抱きましたが、回を重ねるほど、どんどんハマっていく自分がいました。
 なぜなら、母も一人の女性だからです。3人の主人公にはお子さんがいて、私が経験したことのないシチュエーションもたくさん出てきます。
 けれど彼女たちの悩みは、結局は一人ひとりの女性としての悩み。もっと大きく言えば、一人ひとりの人間としての悩みなんだなと思いました。
 そして人が働くということは、“自分を輝かせる大切な場”なのだということも再確認させられました。最終回の「これが私たちの生きる道」というサブタイトルの通り、観終わった時はまさに「自分は自分の道で堂々と生きてゆくんだ」と自信を持たせてくれます。
 もちろんメインはラブストーリーですが、登場人物の人生そのものにも共感できる良い作品でした。
 

名作⑥白夜行

【どんな作品?】
・東野圭吾の名作ミステリーを原作に、山田孝之・綾瀬はるか主演で2006年に制作された。
・少年と少女の“親殺し”から始まる、残酷で純粋な14年の軌跡。今でも根強くファンに愛されている。

「闇を抱える子どもたちに、光と救済を」

 東野圭吾氏の同名小説のドラマ化ですが、原作負けせず、むしろ異なる視点で描かれた相互補完的な作品として仕上がっています。ドラマ独自の表現も必見です。
 やるせないほどに不幸な生い立ちで、誰にも言えない秘密を抱きながら育ってきた2人の若者。第1話からいきなり“親殺し“という衝撃的な内容が展開されます。
 それでも目を背けてはいけないと感じるのは、現実世界で困難な環境にある子どもたちの問題を濃縮したような内容だからです。
 劇中で度々引用される仏教書『歎異抄(たんにしょう)』は、善人が助かるのであれば悪人はなおさら助かるという考え方の教ですが、2人の魂は救済されたのでしょうか。
 国民的女優の綾瀬さんには屈託のない明るい笑顔のイメージがありますが、ドラマ『わたしを離さないで』と並んで、社会の闇の部分や生きることの意味という問いを突きつける作品こそ、彼女の真骨頂なのかもしれません。

「人間の奥底にある醜さと美しさ」

 幼少時代にある事件を起こしてしまった2人の主人公。彼らの運命的な関係と残酷な人生を、14年間にわたって描いています。
 前職時代に組織人事コンサルタントとしてさまざまな組織内の人間関係や感情に向き合ってきたからか、ドロドロした人間ドラマが結構好きです(笑)。
 登場人物たちが次々と愚かな行いをしていくスピード感がある展開に、毎話目が離せません。なかでも主人公の2人は、人間の奥底にある醜さと共に、そのさらに先にある美しさを見せつけてくれます。
 その両極こそが人間であり、これからも人間の心の奥深さを見つめ続けていきたいと思わされます。
 

名作⑦ドラゴン桜

【どんな作品?】
・元暴走族の貧乏弁護士が、平均偏差値36の高校生を東大に現役合格させるまでを描く。
・突飛ながら理にかなった勉強法、「バカとブスこそ東大に行け!」のフレーズなど、大きな話題を呼んだ
・2005年の第1シリーズから16年ぶりの続編が放送。

「大人になってからも役立つ勉強法」

 高校時代に、奇しくも作中で紹介されている学習法と似たようなやり方で勉強していたので、非常に共感した作品です。
 たとえば世界史や地理、英語、生物、化学、古文などの暗記が必要な科目は、自分で音読してテープに吹き込んで、早朝にウォーキングやランニングで体を動かしながら聞いて覚えるようにしていました。
 記憶力が悪いほうだったので、悪戦苦闘しながら自分で編み出したやり方だったのですが、『ドラゴン桜』で同様の勉強法が示されているのを見て、「自己流が意外に理にかなっていたのかも」と驚きました。
『ドラゴン桜』シリーズに出てくる学習法の多くは、個人的にも実践経験があり、納得がいくものばかり。大学受験のみならず、大人になってからの学びにも役立ちます。
 人生100年時代。いくつになっても学び続ける時代ですので、そういう視点で視聴しても楽しめると思います。
 

名作⑧わたしを離さないで

【どんな作品?】
・ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロの同名小説を原作に、世界初のドラマ化。
・主演の綾瀬はるかは、英国で原作者のイシグロと4時間超の対談をして、役作りに臨んだ。

「生命とは何かを問いかける、日本ドラマの最高峰」

 原作はカズオ・イシグロの『Never Let Me Go』。イシグロが住む英国が舞台ですが、ドラマは日本ローカライズに成功した稀有な作品です。
 日本ドラマの最高傑作を問われれば、迷いなく、私はこの作品を挙げます。森下佳子さんの絶妙な脚本には脱帽します。
 劇中歌のジュリア・ショートリードの歌声は、切なくもやさしい。あるいは、やさしくも切ないというべきでしょうか。この作品に脈々と流れるテーマのやるせなさを、しっとりと歌い上げています。
 そのテーマとは、クローン人間と生命倫理。現実世界でも、いつか本作で描かれるような世界がやってくるかもしれません。そこで直面する生命倫理に、私たちはどう向き合っていくのか。このドラマは、そうした問いを投げかけてきます。
 キャスティングの妙にも注目したいところ。綾瀬はるかさん、三浦春馬さん、水川あさみさんがメインキャストとして登場し、その高い演技力を遺憾なく発揮しています。 “ミュージカル界のプリンス”である井上芳雄さんが助演している点も、ファンなら見逃せない作品でしょう。
 

名作⑨リコカツ

【どんな作品?】
・運命的に出会い、“交際ゼロ日婚”したばかりの新婚夫婦をめぐるラブストーリー。
・9話について主演の北川景子の夫・DAIGOが「ネタバレになるから詳しく書けないが自分は泣いた」とツイートしたことも話題に。

「型破りなストーリー展開の恋愛ドラマ」

 現在放映中の注目作です。米津玄師さんの主題歌をバックにした各話のラストシーンにグッと来ます。
 世の多くの恋愛ドラマが、「初回で主人公が出会って、最終話で結婚してハッピーエンド」という流れですが、このドラマは今までにあまりなかった展開。結婚して、すぐに離婚を考え始めるところから進んでいきます。
 惚れた腫れたの恋愛感情も、もちろん人間にとって尊い感情です。ただこの作品では、結婚して共に生活したからこそ感じるお互いの価値観の違い、仕事によるすれ違いなどを踏まえた上で、パートナーとどう向き合うかという恋愛の深い部分が描かれている。だからこそ、毎話心を打たれます。
 恋愛だけでなく仕事も同じです。希望を抱いて就職するところまでではなく、実際に働いてみて時に失望し、挫折して初めて、本当の“働く”っていうことに向き合うことになるし、ドラマが始まるよなぁと感じます。
 

名作⑩陸王

【どんな作品?】
・『半沢直樹』(2013)、『ルーズヴェルト・ゲーム』(2014)、『下町ロケット』(2015)に次ぐ、日曜劇場での池井戸潤の原作ドラマ4作目。
・老舗の足袋メーカー4代目社長が、会社存続のために新規事業に乗り出す姿を描く。

「ドラマ好きでなくてもハマる企業再生の物語」

 中小企業で企業再生に取り組んでいる人、組織改革を実行中の人、現状を打開したいと考えている人、元気が欲しい人……いろんな方にオススメしたい作品です。
 老舗の足袋メーカーが舞台ですが、日本にはニッチ分野で活躍する企業が多いだけに、共感する人も多いと思います。
 私自身が企業再生中の会社に取締役として参画した経験があり、コーポレートファイナンス研究の視点からも、企業再生に関心がありました。そんなきっかけから観始めましたが、普段あまりドラマを観ない私でも夢中になりました。
 企業再生はファイナンスの力だけではなく、商品・サービスをどのように生み出すかが肝心。私に足りなかった製品開発に関するイメージを養う意味でも役立った作品です。
 ドラマはハッピーエンドでも、現実にはそうでない企業がたくさん存在します。ただ、作品に出てくる“企業再生あるある”は参考になる点も多いはず。私自身も再スタートを切ろうと考え中なので、勇気をもらうためにもう一度視聴しようと思います!

「倍速で観ても泣ける」

 リアルタイム視聴していましたが、改めて2倍速で観ても涙が流れました(笑)。
 何がいいのかというと、“諦めない底力”を体感できるところ。足袋の需要が減り、銀行の貸し渋りで倒産の危機にさらされても、往生際悪くあがき続けるんです。
 伝統と新たなテクノロジーを融合させる視点は、普段のビジネスにも活きるヒントになりそうです。トップダウンではないリーダーシップのあり方も勉強になりました。
 実はこのドラマで描かれる話は、まったく他人事ではありません。ある日突然ゲームチェンジャーが現れて、長年の市場を奪われる……どんな業界でも十分に起こり得ることです。
 “選択と集中”とはよく言いますが、自分のビジネスに置き換えて、何が大切かを考えるきっかけになると思います。