[パリ/ブリュッセル 16日 ロイター] - 米アップルのクック最高経営責任者(CEO)は16日、米IT(情報技術)大手の影響力抑制を目的とした欧州の規制案は、iPhoneにセキュリティーやプライバシーの面でリスクをもたらす可能性があるとの懸念を示した。

欧州委員会のベステアー上級副委員長(競争政策担当)が提案した「デジタル市場法(DMA)」に関してクック氏が公にコメントするのは初めて。

クック氏は、良い部分もあるがそうでない部分もあると指摘。この案によって、アップルのアプリ配信サービス「アップストア」を経由しないアプリのインストール「サイドローディング」が増えるのではないかとの懸念を示した。

フランス最大のテクノロジー会議「ビバテック」での講演で、ユーザーにとって最善の利益にならないと思う例を挙げ、「現在議論されているDMAの文言はiPhoneにサイドローディングを強いることになる」と指摘。

「これはiPhoneにアプリを入れる究極の方法だ。iPhoneのセキュリティーを破壊し、アップストアに組み込まれているプライバシー侵害ラベルやアプリ追跡の透明性などプライバシーに関する多くの取り組みを損なうものだ」と語った。

欧州議会のアンドレアス・シュワブ議員は今月、DMAについて、グーグルやアマゾン・ドット・コム、アップル、フェイスブックなど米国のIT大手のみを対象にすべきだと主張した。

クック氏は議論に参加し、前に進める方法を模索していく意向を示した。