社員のエンゲージメントの向上で本当に企業価値が向上するのか
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名和さんに「志本経営」について語って頂きました。
個人的に印象的だったのは以下の2点でした。
・素晴らしいパーパス(私たちは何をしたいのか。何を変えたいのか)には、「ワクワク」「ならでは」「できる」の3つがある
・社員のエンゲージメントがすべての無形資産の源であり、可視化は重要(社外取締役の立場からすると、年1回の測定では不十分。毎月など高頻度の測定が理想的)
ファーストリテイリング、デンソー、味の素、SOMPOホールディングス(順不同/敬称略)の社外取締役の立場からエンゲージメントの可視化やその頻度についてお話を頂けたのは学びがありました。
最後にレンガ職人の話はエンゲージメント文脈でも『ジョブ・クラフティング』という観点から興味深く話をお聞きしていました。認知クラフティングで、仕事の目的や意味を捉え直したり、自分の興味関心と結びつけて考えることで、やりがいを感じながら前向きに仕事に取り組む工夫ができ、結果としてエンゲージメントが高まるという話があります。 例として、「自分の仕事が自分の将来に与える意義を考える」ということがあげられるので、まさに自分のパーパスと会社のパーパスの重なりをどう捉えるかという話かなと思います。
注目のコメント
「パーパス経営」が21世紀型の経営モデルとして注目されています。私はパーパスという英語を「志」という日本語としてとらえなおし、「志本経営」と呼んでいます。資本主義(キャピタリズム)の終焉が唱えられていますが、その先に来るののがこの「志本主義(パーパシズム)」の時代です。
ただし、パーパスは美辞麗句で飾っても、画餅でしかありません。社員、顧客、そして幅広い人々の共感を醸成することがカギとなります。いかに自分ごととして、内在化できるか?その出発点は、社員一人一人の「思い」に根差しているかどうかです。だから社員のエンゲージメントが、改めて問われる時代になっているのではないでしょうか?
ところで、「パーパス」は、今流行りの「サステナビリティ」とは微妙に違う点にも注意する必要があるでしょう?持続可能な世界は大切な前提条件ですが、「生存する」ことが志ではなく、「生き生きと生きる」ことこそが志につながるのではないでしょうか?カーボンニュートラルや人権問題などという「規定演技」だけに惑わされず、自分たちが求める
生きがいや働きがいを真剣に問う必要がありそうです。実際、自分がプロジェクトをdeliveryする時の体制を決める際に、
「能力は高いけど、モチベーションが低い人」
と
「能力はそこまで高くはないけれど、モチベーションが高い人」
だったら、後者を選んできた気がします。
前者のメンバーは、短期的だったり、プロジェクトがうまくいっている時は、とても助かる(というか、delivery責任を持つ立場として楽)んですが、長期で見た場合、高いクオリティを維持し続ける、とか、プロジェクトが困難な局面に差し掛かった時には、機能しなくなる印象です。
仕事を進めていく中で、どうしても大変な局面は出てきて、「もうひと踏ん張り」とか「やりきる力」というのは、本当に個々人のモチベーションや想いに依存します。
やらされてる感があると、お互いのために良くないですよね。
なので、私のプロジェクトで、特に比較的長期に渡るものについては、プロジェクトのビジョンを創ったこともありました。
コンサルのプロジェクトメンバーだけではなく、クライアントも巻き込んでOne Teamとなれるような、本記事で言うところの「Value Communication(価値伝達)」ですかね。
人事コンサルのギャラップ社の有名な調査で
『日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかいない。米国の32%と比べて大幅に低く、調査した139カ国中132位と最下位クラス』
とされていますが、この原因の一つには「やらされてる」「purposeがない」なんだろうなぁ、と思っています。
もちろん、これは会社が与えてくれるものではないですが。一方で、会社側からもきちんと発信していくことは重要だと思います。
これからはより会社と従業員が、相互コミュニケーションになっていくと思いますので…共感しかありません。企業パーパスは最も重要な要素であり、確実に社員のエンゲージメント向上と成長へ繋がると痛感します。
ただし、どんなに素晴らしいワクワクするパーパス(企業の存在意義)であっても、パーパスをしっかりと社員一人ひとりが行動として体現できるようになるには時間がかかります。組織づくり、レコグニション(褒める)カルチャー、権限委譲といったパーパスに繋がっているコーポレートカルチャーを創ることや紐づいた評価制度が必須です。時間はかかりますが、パーパスドリブンな組織での人の可能性は無限大であり、やりがいもありますね。