[チューリヒ 13日 ロイター] - スイスで13日、国民投票が実施され、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」で掲げた二酸化炭素(CO2)排出量の削減目標達成を後押しする法など3つの環境保護提案が否決された。

自動車燃料への追加課金や航空券への課税などCO2を削減するための方策が盛り込まれた法案は、反対票が51.6%に上り否決された。

これを受けてソマルーガ環境相は、2030年のCO2排出水準を1990年比で半減させ、50年までにCO2排出を全体としてゼロにする「カーボン​ニュートラル」の達成が困難になったと指摘。

「ここ数週間の議論で多くの人は環境保護強化を望んでいるものの、この法律を通じてではないことが分かった」と記者会見で述べ、今後は燃料輸入業者に対して温暖化対策事業への投資を義務付けるといった策を強化し、温暖化対策で国民との新たなコンセンサスを模索すると説明した。

国民投票では、人工農薬を全面的に禁止する案と化学物質を使わない農家に補助金を出す案も否決された。

人工農薬の使用を巡っては、健康へのリスクを理由に禁止すべきだとの声がある一方で、禁止すれば食品価格が値上がりして国内の食品加工業界の雇用が奪われ、食料の海外依存度が高まるとして反対する声が出ている。