(ブルームバーグ): エーザイと米バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療薬を米食品医薬品局(FDA)が条件付きで承認したことに抗議し、ハーバード大医科大学院の著名な教授がFDA諮問委員会の委員を辞任した。「アデュカヌマブ」(製品名・アデュヘルム)承認を巡る諮問委員の辞任はこれで3人目となった。

アーロン・ケッセルハイム教授はウッドコックFDA長官代行に宛てた書簡で、諮問委員を辞任する意向を表明。アデュカヌマブ承認は「恐らく米国では近年最悪の医薬品承認となろう」と批判した。

同薬品を巡るエビデンスは一様ではなく、2件の大規模臨床試験では認知機能低下を遅らせる効果について相反する結果が出た。このためケッセルハイム氏を含むFDA諮問委員会は、さらなる研究を経ずに市場に投入することのないようFDAに勧告した。

エーザイとバイオジェンのアルツハイマー治療薬、FDAが承認 (2)

諮問委員会は昨年11月、単一の臨床試験で良い結果が得られても、効果を証明するには不十分だとして支持を与えなかった。

ケッセルハイム教授は承認について、「FDAはこれを正当化する詳細な根拠を国民に示す義務がある」と指摘。一方でFDAの報道担当者は電子メールで、「FDAは諮問委員会からの勧告を考慮し、申請におけるエビデンス全体を検証、アルツハイマー病患者に治療の選択肢がほとんどない切迫した状況を考えた」とし、「その上で迅速承認が適切だとの結論に至った」と説明。諮問委員会の個々のメンバーについてFDAはコメントを控えるとした。

ケッセルハイム教授より先に、ワシントン大医科大学院のジョエル・パールマッター教授、医療機関メイヨー・クリニックのデービッド・ノップマン医師が諮問委員会を去っている。

原題:Harvard Expert Quits FDA Panel as Biogen Drug Furor Grows (1)(抜粋)

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