[東京 24日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は24日、日銀金融研究所主催の国際コンファランス(オンライン形式)で開会のあいさつを行い、今回の感染症危機下では中銀の政策対応が速く、財政政策との連携がとれていたことなどが経済急降下の回避に貢献したと評価した。今後の金融当局の課題については「流動性支援から、債務返済能力や企業の存続可能性、経済構造の変化に対応した資源の再分配へ移行していく」と述べた。

黒田総裁は、今後の課題としては「経済的な不平等や、このところ世界的に議論の高まりがみられている気候変動への対応も加わる」と指摘。政策対応は「一時的な応急措置のようなものから中長期的な構造政策へと重心が移り、中銀が考慮すべき問題の範囲は広がっていく」との認識を示した。

感染症危機の中で経済構造の変化が起こりつつあるが、特にデジタル化が急速に拡大したことは重要な変化だとも語った。デジタル化の進展は、生産性を押し上げ広い経済主体に恩恵をもたらすと期待される一方、成長の果実が一部に集中して不平等が拡大し、包摂的な経済成長を実現することが難しくなる可能性には注意が必要だとした。

国際コンファレンスでは、新型コロナウイルス感染症危機後の経済展望や政策課題について、学界、中銀、国際機関の関係者が幅広く議論される。25日まで開催の予定。