[北京 17日 ロイター] - 中国政府は今後人口抑制策を緩和する方針だが、出生数の減少や高齢化の対応に迫られる中でも社会的安定を揺るがす懸念から慎重に進める意向だ。関係筋が明らかにした。

先週発表された2020年の国勢調査によると、出生数が減り高齢化が加速するにつれ過去10年間の人口は1950年代以来、最低の伸びとなった。

20年は出生率が1.3で、高齢化社会である日本やイタリアと同等の水準。世界2位の経済大国が不可逆的な人口減少に陥っているリスクを示した。

関係筋によると、政府幹部は人口の課題に対応する広範な計画を練っているところで、単に出生数制限をなくすのではなく、夫婦の経済的不安を和らげることで出生を促す方法などを検討している。

中国政府は1970年代後半、物議を醸した「一人っ子政策」を導入。急速に高齢化が進む中で人口の均衡を取り戻すため、2016年には規制を緩め第2子の出産を容認したものの、出生数の減少に歯止めはかからなかった。

関係筋は中国政府が、向こう3─5年のうちに出生数制限を完全に取り除く前に、現在の政策の下で出産を促すとの見通しを示した。

出生数制限の撤廃は予期せぬ結果をもたらす可能性がある。生活費がかさむため子どもを増やすことに後ろ向きな都市住民にはあまり影響がない一方、地方の人口は急速に拡大し、貧困や雇用の問題を増幅しかねない。

中国人民銀行は4月に公表した調査結果報告書で、中国が経済的打撃を相殺するために「出生を完全に自由化し、積極的に促すべきだ」と指摘。日本の「失われた20年」から教訓を得るべきだとした。