2021/5/14

【新潮流】僕らは「現場のSaaS」で天下を取る

NewsPicks 編集部 記者
まだ誰も触っていない「宝の山」がある。
これまでSaaSといえば、財務、データ管理、顧客管理、マーケといったようにデスクワークの業務を効率化するものが主流だった。だが実は、次々と登場するSaaSもあまり手をつけられていない「未開拓の領域」がまだ残っている。
それがブルーカラー、いわゆる「現場」のデジタル化だ。
そこに目をつけたのが、2016年創業のカミナシ。日本経済を支える食品や製造などのペーパーレス化を中心に、現場のデジタル化を強力に牽引している。
紙を制するものは、現場を制する。
NewsPicksは、「デスクレスSaaS」を自認するカミナシの創業者、諸岡裕人氏にインタビューを実施。「現場」を制するための道のり、そして壮大な野望を聞いた。
INDEX
  • 誰も「現場」を知らない
  • 失敗の3年、見つけた「ホライズン」
  • 星の数ほどの「秘伝のExcel」
  • 世界の80%は「現場」にいる
  • なぜ、紙が「宝の山」なのか
  • SaaSはM&Aが進んでいく

誰も「現場」を知らない

──なぜブルーカラー向けのサービスを始めようと思ったのですか。
諸岡 僕の実体験がベースとなっています。
もともと父が事業家で、飛行機の機内食の皿洗い業務を請け負う、従業員数約3000名の企業を経営していたんです。
僕自身もそこで働いたことがあり、機内食の製造工場のオペレーションを担当しました。
そして、かねて決めていたとおり、父が起業したのと同じ32歳で僕も起業しました。だけど、事業アイデアを100個くらい考えて提案してもVCから反応がない。
そこで、機内食工場での経験を思い出し、「現場」の課題をITで解決できるのではないかと考えたのが最初です。
当初は、B2Cサービスのアイデアをいくら提案しても、投資家からは「諸岡くん、海外ではこんな事例があって失敗してるんだよ」と、先生が生徒に教えるように諭されていました。
しかし、機内食工場での経験をもとに現場オペレーションがどれだけ大変かを語ると、「それ面白いね、もっと教えてよ」と、今度はポジションが逆転したんです。