2021/5/13

【直撃】時代の必然。「アイデンティティ」という巨大ビジネス

NewsPicks NY支局長
この未来はすべて見えていた。
財務、顧客管理、データ、ECに決済…、企業が便利なSaaSツールをいくつも組み合わせて活用するのが当たり前になってくると、必然的に生まれてくるニーズがある。
それが「アイデンティティ」だ。
企業としては、社員や顧客が、それぞれのサービスに異なるアイデンティティ(ID)でサインインすると、セキュリティ、データ管理の面で困る。逆にいえば、一つのアイデンティティで、複数システムに安全にアクセスできる仕組みが求められるのだ。
このクラウド時代ならではの「盲点」を10年以上前に予見していた企業がある。
米Okta。
2009年にSalesforce出身者らが創業したこの企業は、このアイデンティティ事業をクラウドベースを武器に急成長を続ける。2017年に上場すると、ご多分に漏れず、コロナが襲った2020年は一気に需要が高まり、時価総額も3兆円を突破した。
NewsPicksでは、Oktaの創業者でCEOのトッド・マッキノン氏らを直撃。クラウド時代のアイデンティティが持つ本当の意味から、競合GAFAとの差別化、SaaSの未来までをすべて聞いた。
INDEX
  • 「未来」が見えた3つの理由
  • 早すぎても、遅すぎても失敗する
  • 知られざる8兆円の巨大市場
  • GAFAMに「絶対できないこと」
  • 日本への「巨大投資」の背景
  • コロナの「揺り戻し」はない

「未来」が見えた3つの理由

──Oktaは2009年の創業で、クラウド時代の到来を見越して、作られたビジネスです。なぜ、「アイデンティティ」が重要になると予見できたのですか。
マッキノン 僕はスーパーヒーローだから、未来が見えるんです。
それは冗談で、良い質問ですね(笑)。
私は、前職でSalesforceで働いていましたが、これは大きなアドバンテージでした。というのも、当時の時点でSoftware as a Service(SaaS)から、お客さんがどれだけ価値を得ているかを目の当たりにしていたからです。