サンゴ礁保全・再生への取り組みで3Dプリンター活用 香港
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既存のサンゴの移植方法よりも生存率が高いとのこと、比較対象となる手法が気になります。
例えば沖縄県で行われているサンゴ養殖は、親サンゴより枝分けした部分を自然界から取り出した台座に移植し、水槽内で育てたうえで、サンゴの元の株の採捕場所近海に植え付けるなどの方法を取っています。
この記事の手法は、海の中で生き残っているサンゴの幼生が定着するための場所を、3Dプリンタで作って海に設置するとのこと。より直接的で、育む環境はそのサンゴが元々生育可能なところなので、確かに生存率が高まる可能性が感じられます。
新しい人工構造物を海中に設置することについては課題もあると思いますが、環境に合わせて必要な調整を施すことができる3Dプリントの柔軟性の高さを活かして、生態系への負荷の少ない環境づくりに期待したいですね。サンゴは壊滅的状況にあるといえます。例えば世界の3分の1のサンゴ種で絶滅の危険性が指摘されてます。
サンゴ礁は生態系保全上極めて重要なのは言うまでもありませんが、失われれば多大な漁業資源・観光資源の損失にもなり、人間にとっての経済的損失も甚大です。まして、ツバルやモルディブのようにサンゴの上に乗ってる国では、国土の存続にかかわります。
3Dプリンタによる人工サンゴ造成は、数年以上前から、香港以外でも各地で試みられてきました。期待大の技術ですが、少なくとも現状では、急速なサンゴ礁の減少を食い止められるほどにスケールできるわけではないでしょう。
それよりは、サンゴの保全や養殖方法を研究するうえで重要なデータを提供する役割が重要と思います。日本でもどんどん実験が進んで欲しいですね。サンゴが定着している場所には様々な生き物が棲むようになるので、サンゴの保全は生物多様性の面からも重要になる。
今回の実験は、サンゴの移植方法の研究の一貫で、移植する基盤として3Dプリンターで作成したタイルを使用した、とのこと。温暖化による水温の上昇(サンゴは水温通常30度以上になると棲めない)などの外部要因もある中で、どう環境を整えられるのか、が鍵になる。定期的にモニタリングを継続していく中でどのように定着していくのか、既存の移植方法と比べてコストがどのくらいかかるのか、等も気になるところ。