2021/4/22

【徹底議論】先駆者たちが語る「宇宙ビジネスは巨大産業になるか?」

NewsPicks Re:gion 編集長
 GAFAをはじめとする国内外のトップ企業が開発・投資に力を注ぐ「新たな40億人市場」──。それが宇宙ビジネスだ。
 新たな巨大産業が勃興しようとしているなか、どんなビジネス創出のチャンスを見出すか?
 NewsPicks LIVEと宇宙航空研究開発機構(JAXA)のコラボレーションで開催されたオンラインイベント「宇宙ビジネス創出BOOTCAMP」。
会場となったのは東京・日本橋に設立された宇宙ビジネス拠点「X-NIHONBASHI TOWER」
 60分間にわたったラウンドテーブルでは、「宇宙ビジネスは巨大産業になるか?」について、5人の有識者が自由自在に語り尽くした。本記事では、濃厚なセッションの模様を再現する。
INDEX
  • 「宇宙×○○」の融合がカギになる
  • 「金勘定」の合わないビジネスは難しい
  • 細い“土管”を太くする
  • 宇宙を含めたモビリティのエコシステム
  • 「宇宙」と「SDGs」は相性がいい
  • エンタメ人材は宇宙スタートアップに不可欠
  • 無重力空間で「宇宙プロレス」?

「宇宙×○○」の融合がカギになる

大貫 宇宙ビジネスは巨大産業になるか? 本セッションのモデレーターを務める大貫です。投資会社スパークスグループで、宇宙ビジネスファンドの運営をしています。
 このラウンドテーブルでは、宇宙ビジネスに関わるみなさんの多様な知見から、新しいビジネスの可能性を見出したいと思っています。
 最初のテーマでは、民間の宇宙進出を推し進めるトリガーとなる「技術トレンド」について議論していきたいと思います。
 宇宙技術といえばロケットだけでなく、たとえば衛星システムに代表される宇宙技術は、すでに私たちの社会生活の基盤として不可欠なものになっています。
 みなさんが今、特に注目している技術について語っていきましょう。まず村上さんいかがですか?
村上 シニフィアンの村上と申します。もう随分と前になりますが、東京大学で宇宙工学を専攻して地球周回の小型衛星、宇宙科学研究所(現JAXA)では深宇宙探査機の研究開発にかかわった経験があります。専門領域は航法・誘導制御でロケットや探査機の軌道計算や自立誘導でした。
 当時、技術力だけでは世界と渡り合えないと感じて、大きくキャリアチェンジしてゴールドマン・サックスでテクノロジー業界において数兆円規模のM&Aや、数億円規模の投資やファイナンスを実施、アドバイザーとしても長年経験を積んできました。
 実際に宇宙に行った宇宙機の開発経験と大型M&Aや投資の経験をそれぞれ有しているのは世界でも珍しいと、海外の同僚からもよく言われていました。
 シニフィアンを創業後は、日本のスタートアップ発の新産業創出や、上場後も含めた長期的なグロースを経営面と資本面からサポートしています。テクノロジーとビジネスを行き来してきた経験から、今日はお話しできればと思っています。
 じつは、宇宙の“基礎技術”はここ20年あまり変わっておらず、むしろコモディティ化してきている。そのため、これからの宇宙技術のトレンドとしては『宇宙×○○』というような、「融合」の視点がカギになると思います。
 注目の技術を一つ挙げるなら、私は「3Dプリンティング」ですね。日本には3Dプリンティングの基礎技術がある。これはロケットの生産ラインにも活用できますし、宇宙空間でも使うことができる。磨いていけば強い技術になると思います。
倉原 インフォステラの倉原です。われわれは衛星を運用する方に通信サービスを提供するスタートアップですので、私は通信関係の技術に目が行きますね。なかでも「通信のデジタル化」に着目しています。
 現状、地上で使われる電波の周波数帯域はアナログ利用への割り当てが大きく、残りの限られた部分をデジタル通信で使っています。
 このアナログに割り当てられている帯域がデジタルに変わると、通信量は10倍どころではない規模で増加します。そのための技術がカギになると考えています。
 この技術に関連して注目しているのが、楽天さんと提携したAST&Scienceというアメリカの宇宙通信ベンチャーです。
 携帯の電波は地上での通信を想定しているので、遠い宇宙に届くほど強くはないはずなのですが、このAST&Scienceは携帯電話からの電波を直接、衛星が受信できるようにする技術を持っていると言われています。

「金勘定」の合わないビジネスは難しい

守屋 村上さんと倉原さんのお話を聞いていて、やっぱり技術の話は自分には難しいなと思いました(笑)。
 守屋といいます。私は今51歳ですが、19歳で初めて会社を設立して以来、ずっと大企業やスタートアップで「新規事業屋」として仕事をしてきました。2018年からはJAXAの上席プロデューサーとして新規事業創出支援の仕事もしています。
 地上にしろ宇宙にしろ、どんな事業でも「金勘定」の合わないものは難しい。その点で、私が注目しているのは「地上転用できる宇宙技術」です。
 宇宙空間は基本的に“無補給”の環境です。たとえば酸素や水、食料などを新たに得ることができません。ロケットで人や物資を宇宙に運ぶことはできますが、今はまだ頻繁に打ち上げることはできません。
 宇宙ステーションやロケットといった閉鎖空間で、水や食料の補給なく長期間しのげるような“循環環境”の技術が実用化されれば、それは地球上でも有用な技術になると思っています。なぜなら、人類が直面している最大の閉鎖空間は、地球だからです。具体的にどうすればいいかはわからずに言っていますが(笑)。

細い“土管”を太くする

石田 面白いですね。こんなにいろんな話が出てくるとは思ってもみませんでした。
 石田です。A.T.カーニーで宇宙業界を中心にコンサルタントを15年超、2015年からは日本初の宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE」の主催もしています。宇宙ビジネスの潮流を大きく強くすることをミッションとしています。
 最近気になっているのは、「衛星の知能化」に関する技術です。
 倉原さんがおっしゃるように衛星で使える電波の周波数はそれほど多くなく、限られた帯域をみんなで分け合っているのが現状です。加えて、従来の衛星通信は通信容量が限られていた。
 要するに“土管”が細いんですね。今の状況は、IT革命におけるナローバンド時代に近い。
 その細い“土管”で地上と衛星との交信や大量のデータのダウンロードをするから、時間もコストもかかってしまう。
 衛星が地球に落とすデータとそうでないデータを判別できればいいのですが、今の衛星はそれができない。宇宙では壊れないことが大前提ですから、放射線対策などもあり衛星に使われている半導体は意外とロースペックなんです。
 “土管”が太くなり、衛星がもっと賢くなればコスト構造が変わり、民間企業も宇宙進出にチャレンジしやすくなると考えています。
大貫 なるほど、さまざまな観点から注目技術が出てきましたね。「日本が強みを持つ技術」という観点からもう少し議論してみましょう。
村上 エネルギーマネジメントのような基幹インフラに関わる技術は日本に強みがありますし、ビジネスを飛躍させる意味でも重要でしょうね。日本の配送電技術や、省エネ技術は世界でもトップクラスです。
 もう一つ、高頻度でロケットや衛星を打ち上げるようになると、部品の素材にパラダイムシフトが起こると思います。
 打ち上げが高頻度になれば試行錯誤もたくさんできますから、性能を高めていきやすい。素材やデバイス関連の企業は日本が強い。チャンスがあると思います。
倉原 衛星の電池やバッテリー、太陽電池のセルやパネルは日本の企業が世界でもかなりのシェアを持っていますよね。コンポーネントのたぐいはまだまだ輸出を伸ばせるのではないかと、私も思います。
守屋 私は生活関係の技術に注目しています。今までは国家の威信をかけて選び抜かれ、精神的にも肉体的にも鍛え抜かれた人だけが宇宙に行くことができた。
 でも近い将来には、そういう準備のない人たちがどんどん宇宙に行く時代が来るわけです。
 すると、たとえばフリーズドライの食事じゃ満足できない人、精神的にまいってしまう人も増えてくると思います。それらの解決も含めた、生活に関連する技術、食料や医療の技術が求められるはずです。日本食は宇宙でもニーズがありそうですし。
大貫 たしかに大勢が宇宙へ行くようになれば、宇宙での快適さや楽しさ、食事の味の良さは必要になりますね。

宇宙を含めたモビリティのエコシステム

大貫 2つ目のテーマとして、宇宙のビジネストレンドについて掘り下げていきましょう。世界を見渡せば、宇宙ビジネスの規模は年々拡大の一途をたどっています。
 たとえば、小型衛星の打ち上げ数は2020年の1年で1000機を超えました。ベンチャーキャピタルの投資も飛躍的に増え、コロナ禍でM&Aが激増したり、SPAC(特別買収目的会社)によるIPOをめざす宇宙ベンチャーが次々と出てきたりもしています。
 そんな現状を踏まえて、みなさんが注目しているビジネス、日本が勝てるビジネスについて議論していきたいと思います。
倉原 宇宙ビジネスが大きくなっていくためには、まずロケットを使った輸送が強くなる必要がありますが、ご存じのとおり、この分野はアメリカがだいぶ進んでいます。
 となると、日本に勝機があるのは、衛星とそれを活用したサービスではないかなと。
 SAR(合成開口レーダ)を使った画像観測衛星を扱う企業がいくつも出てきていますし、そのデータを使ったビジネスを展開できれば、日本が宇宙業界で存在感を示せるのではないかと思います。
 たとえば、日本は災害の多い国です。防災・災害分野で使えるモデルをつくり、日本で検証もできれば、同じような災害に悩む国でも展開ができます。
大貫 なるほど。SARは日本の誇る技術ですよね。それを使ったビジネスをつくって海外でも展開する。
村上 金融危機の後になりますが、じつは過去に一度、宇宙スタートアップをつくろうとしたことがあるんです。そのとき、宇宙分野での起業が難しいなと思ったのは、日本では宇宙ビジネスの顧客がなかなか見つからない、ということです。
 どんな産業でもお客さんがいなければ成り立たない。アメリカの宇宙ビジネスはNASAや軍といった巨大なバイヤーがいます。日本で宇宙ビジネスを大きくするには、誰がバイヤーになりそうか。民間の力でバイヤーをつくれるかどうかが大事ですね。
 私が可能性があると思うのは、航空産業と宇宙産業をつなげてモビリティのエコシステムを日本発でつくることです。うまくいけばそのエコシステムを輸出することもできる。
大貫 宇宙も含めたモビリティのエコシステムということですね。
村上 そうです。一口に宇宙といっても深宇宙から大気圏まで複数の層がありますよね。たとえばドローンと中距離、衛星を組み合わせることで新しいサービスができるかもしれない。月や火星に行くばかりが宇宙ビジネスじゃないんです。
 宇宙の視点も含めて航空法を変え、日本の航空産業と宇宙産業をつなげたビジネスを率先してつくれたら面白い。宇宙のルールは国際法なので簡単には変えられませんが、航空法なら日本だけで変えられます。
 今より柔軟な航空法に変える視点を持って、行政を巻き込んだ議論ができると、民間からもビッグバイヤーが出てくる可能性も生まれるんじゃないでしょうか。
守屋 たとえば東京からニューヨークへ移動するときに、宇宙を経由すると格段に早く行けるというようなサービスもできますか?
村上 できると思いますよ。宅配なら、宇宙を通って最寄りの空港に着いたらそのままドローンで目的地に運ぶサービスとか。いろんな組み合わせが考えられると思います。
 日本でモデルケースをつくって「そのやり方はいいね」となれば、各国の航空法も変わる可能性は大いにある。そのとき、日本で実証技術やインフラ、プラットフォームができていれば非常に有利になります。
 今、スマートシティやMaaSのプラットフォームをつくって輸出をめざす動きがありますが、都市交通の分野は海外にリードされている。宇宙と航空がクロスする分野にはまだ各国の規制があるので、そこで日本が先行してエコシステムをつくるというのは一つの勝ち筋じゃないかと思います。

「宇宙」と「SDGs」は相性がいい

石田 大きな産業にしていくためには、大きな流れに乗ることがすごく大事です。
 今であれば断然、SDGs(持続可能な開発目標)ですね。昨年から宇宙ベンチャーと、宇宙とは関係のない大手企業14社と共同で「Space Biz for SDGs」という活動をしています。
 民間が宇宙ビジネスに参入するときに困るのは、課題がわからないことです。自社の技術がどう役立つかわからないから「通信コストが安くなります」「こんなデータを取れます」とプロダクトアウトになって、大きなバリューが出せない。
 SDGsがいいのは、17の目標が全部「課題マップ」になっていることです。1つ解決すれば日本だけでなく、世界中にとって大きなプラスになる社会経済課題ばかりがリストアップされている。それを宇宙ビジネスでどう解決できるかという議論をまさに「Space Biz for SDGs」で始めています。
大貫 宇宙で役立つことが回り回って地球でも役立つと。守屋さんがおっしゃっていた無補給をしのぐ技術に近いものがありそうですね。
石田 おっしゃるとおりです。SDGs的な課題は電気やエネルギー、通信のインフラの整っていない国や地域が対象になることが多いと思うのですが、その状況って宇宙に似ているんですよ。だから宇宙とSDGsは相性がいいんです。
 広く世の中に役立つ宇宙技術が出てくればお金も回るようになる。宇宙でSDGsに取り組むことは国のためにもなるし、人類のためにもなるし、宇宙ビジネスの大きな市場にもなりえるんじゃないでしょうか。
村上 今、スタートアップの支援をしているなかで、特にこの1年はSDGsの話をすることが非常に多かったですね。
 スタートアップ成功の大原則は、いかに社会性の高い、共感を呼ぶミッションを立てられるか。社会性の高いミッションがあれば、宇宙ビジネスであれなんであれ仲間が集まる。仲間が集まればお金も集まります。
 けれどみなさん、自分のビジネスの社会性やSDGsとの親和性に気づかずにやっていることが多いんですよね。それではせっかくのポテンシャルを発揮することができず、もったいない。
 宇宙ビジネスの話では「どの技術が勝つか?」という議論になりがちですが、技術はコモディティです。大事なのは社会性なんです。
 たとえば今、アストロスケール(注:“宇宙ゴミ除去”を目的に創業したベンチャー)の岡田光信さんが多くの人から応援されているのは、社会性が非常に高いミッションだからです。
 社会性の高いミッションを掲げる宇宙ビジネスはそれほど多くありません。逆に言えば、それさえあれば日本には技術力も、国際的な信用もある。日本にチャンスが出てきます。
 先ほど石田さんもおっしゃったようにSDGsの課題は「日本の外」にあることが多い。
 グローバルにアンテナを張って、グローバルな共感を呼ぶミッションを立てられる起業家が日本でどんどん出てくれば、日本でも本格的に宇宙産業が勃興するんじゃないかと期待しています。宇宙だけを見ていたら、課題は見えてきませんからね。

エンタメ人材は宇宙スタートアップに不可欠

大貫 このイベントの視聴者の方々から、100近くのご質問をいただいています。時間の許す限りお答えしていきましょう。
 まず1つ目。「DXと宇宙ビジネスの融合を検討しています。ぜひヒントをいただければ」とのことです。宇宙関連のDXビジネスで何かいいネタがないか、ということですね。
石田 宇宙業界そのものが今、DXの真っただ中にあります。今は1個の大きな衛星を長期で運用する時代から、小型衛星を100機とか1000機とか打ち上げて勝負する時代に変わってきています。
 そうなると、DXせざるを得ないんですね。システムそのものの設計から製造、検査、運用、保守メンテナンスまでのバリューチェーンを全部そろえて、試験もオペレーションも自動化しなければ追いつかない。
 そういう意味でシミュレーションやAIツール、自動化、3Dプリンティングの専門家、システムズエンジニアリングの方は宇宙業界は喉から手が出るほど欲しいし、必要としています。
大貫 ありがとうございます。次の質問は「民間企業とのコラボレーションについて、今後JAXAが期待することを教えてください」とのことです。守屋さん、いかがでしょう。
守屋 JAXAはこれから民間企業とのコラボレーションを加速したいと考えています。でも過去にJAXAと付き合いのあった「顔なじみ」の企業とコラボしても、JAXAの期待する民間の新規参入とは言えないんじゃないか、と。
 宇宙をまったく連想させない企業が参入してきて初めて、本格的な宇宙ビジネス時代の幕開けと言えるんだと私は思います。
 このラウンドテーブルの話を聞いて、SDGsのような視点も含めて、宇宙という新しいビジネスの場に飛び込んできてくれる民間企業がどんどん出てくるようになってほしいですね。
大貫 ありがとうございます。最後はアメリカ在住の日本人の方からの質問です。「現地のエンターテインメント業界や宇宙関連企業、教育関連機関とつながりがあります。こういった人材が日本の宇宙産業発展においてどのような役割や貢献ができるのかを模索しています」とのことです。
村上 宇宙ビジネスは現状、BtoBかBtoGですよね。前澤友作さんの宇宙旅行のような超富裕層向けビジネスは別として、企業か政府しか顧客になり得ない。
 でも、エンタメは圧倒的にBtoC。1億人から1000円をもらって1000億円のビジネスをつくる発想です。宇宙はそれ自体がレアなコンテンツですが、エンタメ業界とコラボしていかにたくさんの人からお金をいただくか、という発想はまだ生まれていない。
 ハリウッドのエンタメ業界の人のほうが圧倒的に巻き込み力は強いと思うので、そういうノウハウをぜひ日本に持ち込んでいただけたら面白いと思いますね。
倉原 スタートアップの立場としても、エンタメに強い方は社内にぜひとも欲しい人材です。
 たとえばSpaceXは技術的にもビジネス的にもすばらしいのですが、見せ方が上手ですよね。打ち上げ中継を見てかっこいいな、と思った方は多いと思います。
 これから宇宙ビジネスを盛り上げていくためには、社会を巻き込む熱量は絶対に持ってなければいけない。その意味で、エンタメ業界の方のお力はぜひともお借りしたいところです。

無重力空間で「宇宙プロレス」?

石田 これまで、宇宙といえば科学技術の進歩や安全保障がメインで、エンタメとはなかなか結びつかなかった。
 かろうじてハリウッド映画やCMが宇宙を題材にしてきましたが、特にCMは初物であることが価値なので1回つくったら終わりで、継続性のあるコンテンツにはなりにくい弱点がありました。
 今後、宇宙とエンタメをつなげるなら、継続性のある楽しいコンテンツが生まれるといいんじゃないかと思います。
 私の友人が数年前から、「宇宙プロレス」をやったら面白いんじゃないか、と言っているんですよ。宇宙は無重力だからすべての技の概念が変わっちゃう。そうなるとまったく新しいエンタメが生まれますし、継続性もあります。
 これからは宇宙に行くのがあたりまえの時代になってくる。そうなると宇宙で余暇が生まれ、その時間をどうやって過ごすかを考えざるを得なくなります。
大貫 そういうときに新しいスポーツが生まれる。
石田 おっしゃるとおり。近代スポーツは18世紀以降の産業革命を境に生まれたものが多い。技術の進化によって生まれた余暇をどう過ごすかを考えるのは、人類が何度も通ってきた道なんです。
村上 今はインターネットがありますから、映画やテレビと違って、ほんの1分の刹那的なコンテンツにもバリューをつけて爆発的な消費を起こすことも可能だと思います。
 コンテンツの一つ一つは小さな金額でも、グローバルに1億人、10億人と取り込めば非常に大きなビジネスになる。規制を変える必要もないし、アイデアひとつでできることですよね。
大貫 考えてみれば、日本には人工の流れ星をつくるベンチャーもあります。宇宙×エンタメが日本の強みになりうる可能性は十分にありそうです。
 今日は宇宙関連の新規事業を起こしたい、新たな事業領域を拡大したいという視聴者のみなさんにとってヒントになるお話がいろいろ出ました。
 ここから、宇宙への民間進出が加速することを私も期待しています。