2021/6/2

【伊藤羊一】どん底から這い上がって分かった「仕事の意味」

Zホールディングス株式会社 Zアカデミア学長
リーダーシップ育成を熱く語ると言えば、この人。Zアカデミア学長の伊藤羊一氏だ。

今年春から、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の初代学部長に就任し、次世代育成にも本腰を入れる。

『1分で話せ』などの著作は累計65万部を突破し、「伝えるプロ」としての支持も集める伊藤氏だが、20代はつらい低迷の日々を送った。信条に掲げる「人は変われる」につながる仕事の哲学とは。(全7回)
伊藤羊一(いとう・よういち)/Zホールディングス Zアカデミア 学長、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長
1967年東京都生まれ。1990年東京大学経済学部を卒業、日本興業銀行に入行。2003年プラスに転じ、執行役員マーケティング本部長、ヴァイスプレジデントを歴任。2015年ヤフー(現Zホールディングス)に転じ、次世代リーダー開発を行う。グロービス経営大学院客員教授としてリーダーシップ科目の教壇に立つほか、多くの大手企業やスタートアップ育成プログラムでメンター、アドバイザーを務める。2021年4月より武蔵野大学アントレプレナーシップ学部学部を開設、学部長に就任。著書『1分で話せ』など多数。
INDEX
  • 無気力な10代の日々
  • 舐め腐ったまま社会に出る
  • うつを発症
  • 初めて仕事に真正面から向き合う
  • これが「仕事」か

無気力な10代の日々

僕はもともと本当に意識の低い、ダメダメなサラリーマンでした。
社会人になる前から、やる気のない10代だったのです。
勉強ができた姉を横で見ていて、麻布中学・高校に入学し、好きなテニスに明け暮れていた頃までは、快活で友達も多い優等生タイプの子どもだったと思います。
特にテニスには打ち込んでいて、全国大会に出場したりと結果も出していて、試合相手には後にトッププロになるほどの選手もいました。
(写真:Warchi/iStock)
転機は高校1年の15歳のとき。学校のテニス部を突然クビにされてしまったのです。学外のテニス活動や同時に楽しんでいたバンド活動で、部活の出席率が低いというのが理由でした。真剣に取り組んでいたテニスの世界から拒絶されたことが、ショックでした。
さらにほぼ同時期に失恋をしました。
15歳の僕にとって、立て続けに起きたこれらの出来事による喪失感は大きく、すっかり心が折れてしまったわけです。「やってらんねーよ」と斜に構えることで、自分の傷から目を背けていました。
友達とつるんでコンパをして遊んだり、バンド活動に明け暮れたり、無気力な日々を過ごしました。

舐め腐ったまま社会に出る