[ワシントン 9日 ロイター] - バイデン米大統領は9日、2022年度(21年10月─22年9月)の予算教書の裁量的経費の内容を発表し、気候変動対策や保健、教育関連向けなどの予算増額を提案した。国防費の拡大を目指していたトランプ前政権の方針から大きく転換する。

裁量的経費は総額1兆5200億ドル規模と、前年度比で8.4%拡大する。

気候変動対策には140億ドル増額するよう議会に求めた。温暖化ガス排出削減に向けた取り組みや環境規制、研究向けの資金注入が含まれる。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を踏まえ、米疾病対策センター(CDC)向けに87億ドルの予算を提案。ホワイトハウスによると、過去20年で最大の伸びとなる。

さらに、がんやアルツハイマー病、糖尿病などの医療研究向けに65億ドル、低所得層の学校対策には過去最大の365億ドルを充てるよう求めた。

国防費は7530億ドルと、前年度比1.7%の増額を要求。裁量的経費のほぼ半分を占めるが、インフレ調整後では前年度からほぼ横ばい。

イエレン財務長官は予算案について、「資本の確保が通常困難とされる地域に資本を注入」し、状況をより公平にすることを目指すとの認識を示した。

今回の提案にはバイデン大統領が掲げる2兆ドル規模のインフラ投資および増税計画の内容は含まれていない。

マコネル院内総務をはじめ野党共和党の上院議員らは、国防予算を巡って早速批判。米国の同盟国や敵対国に「ひどいメッセージ」を送るもので、中国への対抗姿勢が疑われるとした上で、「共通防衛の提供という憲法の責任を放棄するわけにはいかない」と述べた。

こうした中、身内の民主党からも、ロー・カンナ下院議員が国防予算に「失望した」と表明、ミサイルへの「無駄な支出」の可能性を残していると指摘した。

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