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香港の選挙制度変更案が全会一致で可決された。ここまで中国が強気の現状変更策を矢継ぎ早に実行するのは、「アメリカはもはや中国の敵ではない」という見立てがあるから。膨大な外貨準備高を蓄積し、技術分野で米国を追い越す時が見えてきて、モノ作りを得意とし、オバマ、トランプ、バイデン政権でアメリカン・デモクラシーが世界で色あせてきたときに、新型コロナウイルス感染で米国は疲弊困憊している。その姿を見た中国は、自信満々であり粛々と「中国が管理する世界」に向けて歩んでいる。アンカレジでの中国外交トップの発言と表情を見ていて、そう思った。
中国にとって香港問題は、「一国二制度の約束を守るかどうか」、「香港の自治を尊重するかどうか」という問題ではありません。中国にとっては、国内の分裂を阻止する治安問題です。
中国にとって、共産党による統治の継続が何より優先される目的です。そのために取られる措置は全て正当化されます。共産党の統治継続より優先度の高い問題はありません。一国二制度も人権も、はるかに優先度が低いのです。
香港の民主主義を守らなかったからと言って中国を批判しても、議論が噛み合うことはありません。中国に、香港の一国二制度を守らせる手段は、実力行使する以外、欧米にはありません。
ただ、そのしっぺ返しは時間と共に中国を苦しめることになるでしょう。すでに、中国共産党統治の正統性にも関わる台湾統一の問題は難しくなっています。台湾の人々が、香港の状況をつぶさに見て、中国が「一国二制度の約束を守らない」ことを明確に理解しているからです。
また、強硬に抑え込まれた人々の中国共産党に対する不信感が消えることはありません。香港だけでなく、新疆ウイグル自治区やその他の地域で、「共産党による中国の統一維持」のために弾圧された人々の恨みも消えないでしょう。
だからこそ中国共産党は、恨みを持たれそうなグループに対して苛烈な弾圧を加えるのですが、例えば一つの少数民族を根絶やしにするような弾圧を行えば、ジェノサイドと認定されて国際社会の介入を招く可能性が高くなります。
すでに米国政府は、新疆ウイグル自治区における中国の少数民族弾圧をジェノサイドと認定しています。日本も、人権侵害の問題を甘く見てはいけません。
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