【読むMOOC】ヤフー式「1on1ミーティング」を立役者が語る

2021/4/13
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今回はMOOCリモート・マネジメント特集②ヤフー式”1on1ミーティング”の一部をハイライトし、記事としてご紹介します。
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エッグフォワードの代表として数々の企業のコンサルティングを手掛ける徳谷智史氏をホストとして、先進的な企業の「リモート・マネジメント」の秘訣を聞く動画シリーズ「リモート・マネジメント特集」。
今回は、ヤフー執行役員・ピープルディベロップメント統括本部長の本間浩輔氏が登場します。
2012年の社長交代による新体制発足と同時に始まった、上司と部下が毎週1回、30分間行う対話である「1on1ミーティング」は、ヤフーの組織を大きく活性化させました。
部下の数によっては、週の仕事の半分近くが1on1で占められるケースもあるというこの1on1は、いったい何を目指して実践されているのでしょうか。
ヤフーに「1on1ミーティング」を定着させた立役者の本間氏がその極意を語ります。
Episode1 「1on1ミーティング」とは何か?
Episode2 良い「1on1」の内容とは?
Episode3 「1on1」実装への「3つ」の鉄則

Episode1 「1on1ミーティング」とは何か?

徳谷 みなさん、「1on1ミーティング」(以下「1on1」)って最近よく聞きますよね。コロナ禍におけるリモートワークでは、何をどのくらい話せばいいのか悩みも多いんじゃないかと思います。
そこで今回は、「1on1ミーティング」の第一人者、Zホールディングス 常務取締役 本間浩輔さんをお招きして、「1on1」の原理・原則を聞いていきたいと思います。
Zホールディングス(Yahoo!ジャパン)は国内でも「1on1」を先駆けて導入した会社ですよね。
本間 ええ。僕がYahoo!ジャパンで人事に関わるようになったのは、社長が井上(雅博 前社長)から宮坂(学 現・東京都副都知事)に変わったタイミングで。そのときはじめたのが「1on1」だったんですよ。
まあ、失敗だけはたくさんしてきたなと思います。
本間浩輔/Zホールディングス 常務取締役 
1968年神奈川県生まれ。早稲田大学卒業後、野村総合研究所に入社。コンサルタントを経て、後にヤフーに買収されることになる株式会社スポーツ・ナビゲーション(サイト名:スポーツ・ナビ、現ワイズ・スポーツ)の創業に参画する。2002年同社が傘下入りした後は、ヤフー・スポーツのプロデューサー、ピープル・デベロップメント本部長などを経て、2014年より執行役員。ほかに福岡ソフトバンクホークス社外取締役などを務める。
徳谷 そもそも本間さんは「1on1」を、どのように定義しているんですか?
本間 文字通り1対1で話す、ということなんですが、大事なのは部下のための「公式な」時間である、ということですね。
徳谷 「部下のため」……。なるほど。敢えて、そう定義づけているのはなぜですか?
本間 「1on1」っていつの間にか、上司のためのミーティングになりがちなんですよ。気づいたら上司がワ―ッと一方的にまくしたてたりして。部下からしたら「あー、上司がなんかしゃべってるなー」という感じ(苦笑)。
徳谷 確かに。
徳谷 智史/エッグフォワード株式会社代表取締役
組織・人財開発のプロフェッショナル。京都大学卒、大手戦略コンサル入社後、アジアオフィス代表を経て、人の可能性を最大化するべく、「世界唯一の人財開発企業」を目指し、エッグフォワードを設立。総合商社、メガバンク、戦略コンサル、リクルートグループなどの大手から、UZABASE、NewsPicks等のスタートアップまで、業界トップ企業数百社に人財・組織開発やマネジメント強化のコンサルティング・トレーニングを幅広く手がける。同時に、キャリアの専門家として2万人を超えるビジネスパーソンの意思決定・成長支援を実施。NewsPicksキャリア分野プロフェッサー。東洋経済Online連載、著書「いま、決める力」等
本間 いい「1on1」は終わったあとに「この時間は上司が自分のために取ってくれた、自分のための時間なんだ」と部下が思えることだと思うんですね。
徳谷 途中から上司が部下のことを知ろうと思って質問攻めにしたり、上司の自慢話や業務の話になったりしてはダメだ、と。
本間 上司も部下のため、と思いながら悪気なく指導してしまったりするんですよね。だけどそれはあんまりいい「1on1」ではありません。
Episode1 「1on1ミーティング」とは何か?
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Episode2 良い「1on1」の内容とは?

徳谷 そもそもの質問なんですけど、「1on1」を実施すると、何が実現できるんでしょうか?
本間 大きく分けて2つあります。一つは人材育成、もう一つは、社員の自律的なキャリア形成です。社員のキャリア自律は、すぐ明日の仕事に生きるわけではありません。けれど、社員が会社で働いてくれているかぎり、彼らのキャリアに責任を持つことも、企業の責務ですから。
まあでも、そういう強い目的がなくてもいいと思うんですよ。シンプルにコミュニケーションが目的でもいい。いま、どの会社もリモート環境になっているから、コミュニケーションしにくいでしょ。
徳谷 ええ。私にもいろんな会社さんから相談があります。リモート環境でコミュニケーションが難しい。Zoomで「1on1」をやるにも限界があるので、支援をしてくれないかと。
本間 そうですね、正直コロナ禍においては、必ずしも「1on1」をしなければならないとは思いません。コミュニケーションを増やした方がいいと思うのであればやるべきだし、「1on1」に時間をかけるくらいなら他の業務に時間を使った方がいいと思うのなら、無理する必要はない。
いま、一番危険なのは「ブームだから『1on1』をやる」っていうやつです(笑)。社長が急に「わが社でも『1on1』をやるぞ」って言い出したからやるか、みたいな。これは絶対に失敗します。
徳谷 確かに(笑)人事施策全般に言えますが、思考停止になってはいけない、ということですよね。
徳谷 とはいえ、いざ「1on1」をやるとき、何からはじめればいいですか?
本間 部下自身にアジェンダを決めてもらうところから始めるといいと思います。僕の「1on1」では第一声で「今日、何話す?」って聞くんです。
徳谷 そうなんですね……上司側ではなく、部下自身が決める、と。
本間 必ずこの質問をするから、部下は考えてくるんです。本間と「1on1」をすると、絶対「今日、何話す?」って聞かれるぞ、って。
徳谷 そうなると、話しにくいと思われて「別に……」とか「特にないです」って、言われません?
本間 むしろ、部下に「こんなことを上司に言ったってしょうがない」て”思わせている”のは上司のせいですから。
はじめて「1on1」をする人は、最初の1、2カ月は相手のことを知るためだけの時間に充てた方がいいです。とにかく「こうした方がいいよ」とかって、指導しちゃダメ。本当に部下を思うなら、部下のことを知るために時間を使うこと。初日から「お前はこうすべきだ!」って強く言ったって、うまくいくわけがないじゃないですか。「もっとあなたのことを教えて欲しい」という姿勢でいる必要がある。
部下思いの上司であればあるほど相手に入り込んでしまいますけど、それでは部下は引いてしまいます。
強引に何かを教え込んだって、自分の劣化コピーしかできませんから。僕らは、自分の劣化コピーをつくろうとしているわけじゃないんですよ。部下のために上司がどう声掛けして、部下の思いを引き出すか。そういう視点に立つことの方が重要だと思います。
それでもどうしても部下に声を掛けたいなら上司が観察力を磨くしかない。「夕べ、遅くまでがんばってたけど、どうしたの?」とか「最近、朝早く来てるね」って。
そういうひと言があるからこそ、「実は……」って部下がほろりと本音をこぼすようになるわけです。
徳谷 あくまで主体は部下だと。これはコーチング等にもつながる鉄則ですよね。他に「1on1」をする上で重要なことってありますか?
本間 最後に「そのできごとから、何を学んだ?」「この経験を次にどう生かす?」、この2つを聞くことですね。
なんか今日の「1on1」うまくいかなかったな、と思っても、最後にその2つの質問を投げかけることができて、部下が何か気づきを得られるのであれば、それでいいんじゃないかなと思います。上司の役割って、究極的には「学ぶこと」と「次の行動」のサイクルを回してあげること、だから。
徳谷 内省からの学習サイクルを加速させられるかですよね。実際に多くの組織を支援していても、外部からの指示ではなく、内発的な気づきから、本人が自ら自覚し、次のアクションに繋がることに大きな意味があると思います。
Episode2 良い「1on1」の内容とは?
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