日銀のETF、日経平均2万円割れで含み損-黒田総裁
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中央銀行の損益は、市場介入の是非にとってプライマリーなファクターとは言えないように思います。(一般に中央銀行がエクイティ市場への介入を控えるのは、損をするからではなく、別の理由です。)なので、ここに焦点を当てるのはどうか、、、と感じます。
中央銀行は市場で唯一、流動性制約を受けない主体です。「絶対にハコテンにならないギャンブラー」が一人だけいるようなもので、リスクプレミアムの拡大期(相場下落時)だけを選んで買えば、むしろ得をする可能性が高いです。もちろん、下げ相場でも上げ相場でものべつくまなく買っていたり、「自由には売れない」という事情があれば、絶対にそうとは言い切れませんが、前者の問題には誰しも気づいており、実際、3月にはETF買入れの弾力化が行われています。
一般に中央銀行がエクイティ市場への介入を控えるのは、中長期的に自由経済や産業の新陳代謝のメカニズムを歪め得るから、と考えられます。(日経225を止めてTOPIXにすれば、問題の若干の緩和にはなるでしょうが、これからの成長を支える有望企業は、今は非上場かもしれません。)
この中で「損得」の問題に焦点を当ててしまうと、「得をしているからいいじゃないか」という議論にもなりやすく、本質的な政策論から離れてしまうおそれがあるように感じました。償還期限のある債権と違って株式は売却しない限り減りません。株価は人事を通じて影響力を持つ政権の支持率に直結しますから、民主国家の中央銀行がいったん株を買い始めたら簡単に止めることは難しく、日銀以外いまだにどこも手を染めない禁じ手です。白川前総裁が反対の声を押し切り、異例の措置と強調してETFの購入を始めたのは2010年10月のことでした。
案の定、黒田総裁の下で異例との認識が消え去って、購入規模が急激に増え出しました。今では日銀は簿価35兆7千億円、東証一部の時価総額の7%に相当する額を持ち、100社に上る企業の株の“最大保有者”です。日銀が、若干なりとも売却する素振りを見せたら、株価が大きく下げるのは間違いのないところでしょう。
『ETF購入は大規模な金融緩和の一環として「引き続き必要な施策」』とのことですが、500兆円にも上る国債購入と比べたら株式購入額は微々たるもので、主たる目的は金融緩和というより株価の維持と受け取られても仕方ないんじゃないのかな (・・;
国債と比べて僅少とはいえ株価が大きく下がって評価損の計上を迫られる事態になれば、日銀を債務超過に追い込むに十分な規模感です。含み益があるうちに出口を探るべきだと思うけど、もはやソフトランディングは難しかろうと感じます。どんな理屈をつけてでも、黒田総裁の日銀は株価を支え続けるしかなさそうな・・・ (・・;