ルネサス那珂工場300mmライン火災の火元はめっき装置、原因は過電流と判明
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まだ原因はよく分かっていないと察します。過電流というのも、対外発表を意識しての、間に合わせの回答でしょう。
おそらく、当然ですが何らかのヒューマンエラーだと思います。半導体工場は多くが自動化されていますが、稼働中の装置の横で毎日のように点検や修理、新規導入など"人の手"が入ります。
ですので、理想的にオートメーション化された工場であれば、このような大事故が起きることは稀ですが、機械と人のハイブリッド工場である以上、人起源の事故が頻発することは避けられません。
焼損による実害を受けた装置はもちろん廃棄ですが、見た目は無事でも複雑なコンタミにより使用継続を断念せざるを得ない装置が、これから多数出てくるでしょう。
不幸中の幸いだったのは、事故が1階だったこと。2、3階やサブであった場合、階下の装置群も甚大な被害だったでしょう。半導体工場は基本的には下方向の気流が保たれていて、その床はグレーチング構造になっていますので。とはいえ、階上への影響が無いわけでは決してありません。クリーンルームの火災復旧は普通の工場より大変。消化時に粉塵が入るので、それを除去するのにすごく時間がかかる。だから、通常の消化器だけでなく、クリーンルームには粉塵が残らないCO2消化器も配備されてる。一ヶ月で復旧というのは超特急な感じ。昔、大学クリーンルームで火災があったとき、普通の消化器で火は消せたけど、復旧には丸一年かかったとか。
原因は過電流らしい。めっきであれば電界印加する直流電源と、溶液加熱ヒーターが入ってるはず。ヒーターなら、溶液が干上がるとか、熱電対とサーモスタットが浮くとかが事例として多いけど、過電流というのはどの回路になるのか、現時点では特定できない。
遮断器とかヒューズが入ってるのは当然として、それを殺して運用していたのであれば会社の体制の問題。安全審査の不備か、現場に対する過負荷か。あとは、単純に、想定電流に対して配線とかのスペック不足でも起こりうる。この場合、遮断器とかが動作しないレベルでも火災が起こりうる。設計ミスであり、メーカーの責任になる。
こういうことがあるから、結果的には、安全第一でやるのがベスト。そして、素早く復旧できるかどうかも、普段の運用体制に強く依存する。東日本大震災でも那珂工場は被災しています。
半導体がこんなに注目されるのも、自動車向けの半導体が不足して、自動車生産に世界中で影響が出ているからでしょう。
それでも自動車メーカーからしたら半導体メーカーはティア3、
安く買い叩かれて、不良ゼロ、1個でも不良が見つかったらロットアウト。そのため検査工程に高価な検査装置をずらりと並べなければならず、ルネサスも赤字に苦しんできたものです。
ルネサスは車載半導体の世界シェアが高いのにも関わらず、自動車メーカーの下請けで、ある意味搾取されてきたと言っても過言ではありません。
それにしてもこの火事は、非自動市場を狙って動き始めたルネサスにとって、痛い話です。
日本の半導体敗戦は、製品サイクルを無視した過剰品質にもあると思いますが、自動車は製品サイクルが長いので、長期の信頼性への要求が、不良を絶対許さない神話レベルの話で、しかも安い納入価格が毎年コストダウンを強いられています。
生産ラインは、自動車向けで埋まりますが、利益は産みません。
そういう疲弊するようなあり方が、現場から志気を奪い続けて、火事も招いてしまったのではないか、と推察してしまいます。
サプライヤーと密に情報交換しているから、半導体の調達に支障はない、という話も実はこういう脆さがあったことを証明したようです。