FRB、大手行の資本規制緩和を延長せず コロナ特例3月末失効
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昨年のSLRの臨時緩和は、コロナ禍の緊急事態対応として導入されたものですので、危機モードの克服とともに速やかに終了させるという判断自体は理解できるものと思います(危機対応措置が恒久化すると、自己資本比率規制の意味そのものを問われていきますので)。
同時に、SLRは大手行だけの上乗せ措置として米国が自らの判断として導入しているものですので、米銀大手行の不満は常に強いです。FRBの公表文を見ると、SLRそのものの見直しを進めていく意向が表明されており、そこでバランスを取ろうとしているようにも見えます。
論点は、そもそもSLRの計算上に中央銀行預金と国債を含めるという取り扱いをどうするかでしょうね。もちろん、あまりあれこれ除いていくと、通常の自己資本比率規制に加えてレバレッジ比率規制を賦課する意味がそもそも無くなってしまう訳ですが、中央銀行預金と国債を含む取り扱いは、量的緩和や国債の大量発行にとっては制約となり得ます。(もちろん、これらを敢えて除くことについては、財政のディシプリンを失わせるといった逆の副作用もあるので、バランスは必要でしょうが。)失効を市場がどの程度織り込んでいるかは定かではないが、需給が逼迫することは避けられないだろう。
シティやJPモルガンなどのSLRは7%程度あり、2%程度の余裕はあるものの、一部では2千億ドル程度(緩和措置後の国債保有増加額は約5千億ドル)の売り圧力がかかるとの見込みもある。
長期金利上昇の懸念は6月末までの期間で残るとは思う。銀行が過大なリスクを取らないようリーマンショック後の銀行批判のなかで設けられた規制ですが、新型コロナショックで起きた流動性の問題に対応するため1年間の期限で緩和措置が導入されました。レバレッジ比率を計算するとき分子から「米国債と準備預金を除外する」ことが認められたので銀行は国債を買い易くなり、国債の仲介やマーケットメークもやり易くなります。そしてコロナ禍のなか、銀行の業績は好調です。
それでなくとも1月下旬以来上昇傾向が強い米国債金利が騰勢を強める方向に働くのは間違いなく、10年物国債の利回りは18日に1.7%を超え19日に1.73%になりました。金利の急上昇を警戒してを緩和姿勢を強調するFRBがこの段階で打ち切りを望んでいるかどうかは微妙なもの感じますが、エリザベスウォーレン議員を始めとする民主党左派はコロナ禍の下ですら儲けを増やす銀行憎しの思いもあってか延長に強く反対しており、FRBが延長を決めれば民主党左派を敵に回すのは確実です。政治から独立しているFRBとはいえ、政治的な配慮もあるんじゃないのかな (・・;