黒田日銀総裁、長期金利変動幅「拡大する考えは今持っていない」
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25bps「程度」ですから、実際に運用される段になれば30bpsは想定した方が良いのでしょう。円高圧力が高まれば貸出促進付利制度を背景にマイナス金利深掘りを敢行する構えなのでしょうが、今の円市場を見る限り出番は来ない気がします(誰にとってもこれは使わないのが一番)。
点検を通じて基本的には金利の過度な低下は金融システムにネガティブであるという暗黙の了解が表にしっかり出てきたので、YCCの目途が引き下げられる可能性も将来にわたってかなり低くなったと言えます。
YCCは良く出来た仕組みであり、やはりECBが追随する可能性は将来的にはあるように思います。もちろん、やり方は創意工夫が必要ですが。日銀総裁とFRB議長を比べるのは酷ですが、わかりづらい。
それだけ日銀がやれることは限られているという話なんだと思いますが。。
例えば、日銀が掲げているインフレ目標の2%はもはや日銀の政策だけじゃ達成出来ないことは明らかで、そこにコロナ不況が押し寄せている関わらず、政府へ積極財政を呼びかけたりする等の援護要請もない。
もちろん独立性の観点から好ましくないのはわかりますが、FRB議長はコロナ下という経済有事を平時に戻すべく積極的に政府に呼びかけていた。今は満足したのか少し控え気味ですが。
・FRB議長、財政出動を再要求 「長期停滞なら悲劇」2020/10/7
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64705070X01C20A0I00000/
・FRB議長、経済対策積極支持からの「態度変化」2021/2/24
https://jp.reuters.com/article/powell-policy-biden-idJPKBN2AO086
そんなことは承知の上で呼びかけないということは、日銀の長期的な独立性を守りたい、現状の財政政策で事足りると考えている、更なる積極財政は利点よりリスクの方が上回ると考えているのか。
・財政状況はきわめて深刻、持続可能性の向上が重要=黒田日銀総裁
https://jp.reuters.com/article/kuroda-diet-idJPKBN29V125細かいテクニック的な所は分からないことも多いが、「貸出促進付利制度」やETF購入ルールなど色々と微修正・チューンナップをしてきている印象。経済学は理論で成り立つ学問だが、それを様々なパラメーターがある(しかもCovid19のようなことも起こりうる)現実社会で金融政策として行おうとすると、極論を言うと「やってみないと分からない」部分もあるのは当然で、それは都度都度「点検」を行い、チューンナップしていくしかないのだろうと思います。
これまでも色々と批判を浴びてきたインフレターゲットについて、記者質問に対する黒田さんの説明(予想物価上昇率に関する複雑で粘着的な適合的期待形成のメカニズムが根強い)も、味わい深い。
「黒田:まず2%の物価安定の目標については、公表文でも、それから点検の背景説明等でも述べていますとおり、2%の物価安定目標というのは堅持しておりますし、これをできるだけ早期に実現するという観点から、引き続き粘り強く金融緩和を続けていくということであります。で、そういう意味で、金融緩和をより効果的に、また持続的にするためのさまざまな工夫を今回したということであります。
点検の中でも申し上げているように、長短金利操作付き量的・質的金融緩和は想定されたメカニズムに沿って、金融緩和を改善させて需給ギャップのプラス幅拡大、それからプラスの物価上昇率の定着という効果を発揮したと、発揮してきたということを確認しております。同時に、わが国では予想物価上昇率に関する複雑で粘着的な適合的期待形成のメカニズムが根強いということを主因に、物価上昇率が高まるのに時間が掛かっているということもあらためて確認されました。もっとも、このことは人々が実際に物価上昇を経験すれば、物価上昇が徐々に人々の考え方の前提に組み込まれていくということを意味しているわけでもあります。」