[アムステルダム 16日 ロイター] - 欧州連合(EU)の医薬品規制当局である欧州医薬品庁(EMA)は16日、アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチン接種後に血栓ができるなどの副作用が疑われる事例が報告されているものの、ワクチンの「効果は引き続きリスクを上回る」との認識を示した。

EMAのエグゼクティブディレクター、エマー・クック氏は、ワクチン接種が血栓を引き起こしたことを示す証拠は確認されておらず、「非常にまれ」としつつも、「重大な懸念であり、本格的かつ詳細な科学的評価が必要」で、専門家が調査していると明らかにした。

さらに「専門家が18日に再度会合を開き、結論を出す。その上で追加行動を取るべきかどうか提言する」とし、「会合後に調査結果を公表する」と述べた。

EMAによると、アストラゼネカのワクチンを接種した約500万人のうち、血栓ができた30人の事例について調査が行われており、世界保健機関(WHO)の専門家委員会が精査している。

イタリア首相府によると、ドラギ首相はEMAが示した見解が心強いとした上で、フランスのマクロン大統領と会談し、EMAが18日にアストラゼネカワクチンに支持を表明すれば、「迅速に」接種を再開することで一致したという。

アストラゼネカ製ワクチンを巡っては、フランスとイタリアのほか、ドイツが15日、血栓などの事例が報告されていることを踏まえ、接種を中断。デンマークやノルウェー、アイスランド、ブルガリア、アイルランド、オランダなども中断している。

16日にはスウェーデンとラトビアも接種を停止。これによって、欧州では計13カ国がアストラゼネカ製ワクチンに対し中断などの措置を講じたことになる。