パナソニック、米ソフト大手買収 7000億円で最終協議
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いやーどうなんだろう、金余りのタイミングとはいえ、日本企業の外資系企業買収ってうまくいったケースをほとんど知らない。
20%の出資から100%買収なので算段は立ってるんだと思いたいですが、大きなチャレンジなのは間違いなさそうです。
注目のコメント
1月28日にBlue Yonder Holdings, Inc.が発表している2020年度第4四半期業績は以下の通り。
売上高は$262MM(前年同期比+1%)。事業モデルをサブスク化している過程のため、連結売上高はほぼ横ばい。Q4 2020時点で継続課金売上比率は67%まで上昇。
連結売上高$262MMのうち、継続課金売上は$176MMで前年同期比+10%。継続課金売上の中のSaaS売上高は$74MMで前年同期比+58%成長。
継続課金売上に含まれるのは、SaaS, software term licenses, support, professional services subscription and hostingとのこと。
2020年末時点のSaaSのARRは$343M(前年比+54%)。また、SaaSのNRR(Net Revenue Retention)は120%(かなり高い)。また、SaaSのバックログが$1BNあると会社は発表しています。
既存サービスをサブスク化して(今のところ)成功していることが非常に高い価格の背景にありそうですが、Q4 2020年の継続課金売上を年換算した$704MMの約10倍という価格はしびれます。
まあ、アメリカ上場企業のB2B SaaSのPSRが15倍強まで上がっている状況なので、SaaSだけの価値でも$343x15倍=約5BNはあり、サポートやプロフェッショナルサービス等のSaaS以外にも継続課金売上があるので、合計して7千億円は合理的という判断なのかもしれません。ブルーヨンダー社は元々JDAという社名だったはずです。買収したブルーヨンダー社が持つ技術やシステムに経営幹部が感銘し、親会社の社名をいっそのことブルーヨンダーに変更した経緯があるはずです。
日本企業全体でいくら金余り時代に入っているとはいえ、パナソニックとなると少し話が変わってきます。
手持ち資金から有利子負債を差し引いたネット資金がここ数年マイナスで推移してきたパナソニック。もし本当に7000億円を借り入れなどでまかなうとなると、バランスシートがブクブクに肥大化し、同社を含めた電機メーカーが経営危機に陥ったという、いつか歩んできた道をたどるリスクが高まります。
本気で完全子会社化するのであれば、それに必要な資金調達をどうするか、株式交換なのか、公募増資や手持ちの事業売却を含めて自己資本でねん出するのか、気になるところです。
ちなみに日立製作所は、スイスのABBのエネルギー猛事業を7000億円超で買収する前に、事業や子会社を売却することで、バランスシートの肥大化を最小限に抑えています。ソニーはイメージセンサーなどに巨額投資する際、公募増資によって資本を調達しました。日本でも小売のお客さん中心に最近ではよく話題に上がっていたBlue Yonderを日本企業が買収するとは朗報です!実はマッキンゼー時代の後輩が所属するNew Mountain Capitalに買収されたのが2012年。プライベートエクイティによって相当期間バリューアップをしたと考えると筋肉質な会社になっている可能性大です。買収後のマネジメントが決して得意ではない日本企業にとって本質的に身綺麗になった外国企業の買収は良いパターンかもしれません。5,000人以上がパナソニックグループに加わるので今後の成長を期待したいと思います。