【田中慎一】SDGs、ESGの文脈でファイナンスを読み解いてみよう

2021/3/4
プロジェクト型スクール「NewsPicks NewSchool」では、2021年4月から日本企業を変革するコーポレートファイナンスを開講します。
プロジェクトリーダーを務めるのはファイナンスのプロとして多数の著書を持つ田中慎一氏です。
こちらではプロジェクトの概要と田中氏からのメッセージをお届けします。

プロジェクトの概要

企業価値(株主価値)の向上を目的としたファイナンス戦略が企業に浸透し、かつては忌み嫌われていた敵対的買収が株式市場の理解を得られ成立するようになるなど、ファイナンス後進国と言われた我が国でもファイナンスの基本作法が定着してきました。
一方で、日本の上場企業のPBRはほぼ1倍という低評価に喘いでおり、内外の投資家(株式市場)に十分評価されているとは言い難い状況です。
また、世界を見渡すと、米国経済の強さの源泉ともいえる「株主第一主義」を米経済界が見直すなど、世界中の手本となっていた米国型の資本主義は転換点を迎えたようにも見えます。
さらには、SDGs/ESGに関する記事を目にしない日はないほど、その大きなうねりは津波のように押し寄せ、日本企業にも抜本的な変革を迫っています。
本プロジェクトでは、このような100年に一度とも表現されるほどの大変革期において、コーポレートファイナンス戦略をどのように捉え、理解し、実践していくのが望ましいのかを考えていきます。
また、SDGs/ESGを中心に据えるコーポレートファイナンス戦略のフレームワークについても議論していきます。
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プロジェクトリーダーのメッセージ

かつては強かった日本の経済力や企業の実力がダメになった、弱くなった、と連日報道されるようになって久しいですが、うんざりしている人が多いのではないでしょうか。
それと同時に「こんなものではない」と思っているでしょう。私もそんな想いに駆られている人間のひとりです。
一方で、世界に目を転じると、短期間で著しい成長を遂げたGAFAや伝統的な大企業でありながらも業績を持続的に成長させているグローバル企業が輝いて見えます。
こうした企業が強いのはなぜか。共通しているのは、例外なくファイナンス戦略を巧みに活用していること。同時にこれらの企業はSDGs/ESGの実践においても優等生です。
日本企業はSDGs/ESGへの取り組みが遅れていると言われていますが、SDGsやESGが声高に叫ばれるより遥かに昔から、渋沢栄一が著書「論語と算盤」の中で道徳経済合一説を訴え、企業は社会的責任を果たすことが基本的な使命であると説いていました。
近江商人の「三方よし」の精神も、パナソニック、ソニー、ホンダといった日本発のグローバル企業が創業の理念で高らかにうたっていたのもステークホルダーキャピタリズムであり、SDGs/ESGに通じる長期的な社会の繁栄でした。
自社の社会における存在意義(パーパス)を明確にし、長期的な未来に実現したいゴールからバックキャスティングして事業を実践していくSDGs/ESGに根ざした経営は、本来、日本企業が得意としてきたはずです。
ファイナンスに対する注目が集まり、SDGs/ESGを経営の中心に据えることが求められている今、私は、日本という国や日本企業にとって絶好のチャンスが到来したと考えています。
おもしろいことに、この分野には確立したフレームワークがいまだありません。どうすべきかの正解もありません。プロジェクト参加者の全員で議論を重ね、知恵を絞り、創意工夫しながら一緒に考えていきましょう。そして、各自がそれぞれ実践への一歩を踏み出していきましょう。

プロジェクトで得られるもの

・コーポレートファイナンスの世界に通底する基本的なフレームワークとファイナンスに関連する世の中の出来事を批評的に分析するための視点
・投資家・資本市場の企業に対する考え方や行動原理に対する理解と適切なコミュニケーションの方法
・SDGs/ESGを中心に据えるファイナンス戦略の理解と考え方

プロジェクトスケジュール

Day1 4/16 (fri)19:00-22:00
ファイナンスの基本フレームワークを使って世の中の出来事(ニュース)を理解する


コーポレートファイナンスの世界に通底する基本的なフレームワークを学び、歴史的なファイナンス関連の出来事や近年NewsPicksで話題になった記事について、フレームワークを使い、その是非や意義を議論します。

Day2 4/30 (fri)19:00-22:00
株主価値経営はダメなのか?~資本主義のアップデート論を考える~


2019年8月、米主要企業の経営者団体ビジネスラウンドテーブルは「株主第一主義」を見直すと宣言し世界を驚かせました。このメッセージの真意はどこにあるのか?世界に、あるいは、日本や日本企業に与える影響は?そして、グローバルに活動する投資家の行動はどう変わるのか?株主資本主義の最前線アメリカで起こっている異変を踏まえ、我々はファイナンス戦略を実践していくうえで、どう振る舞えばよいのか考えていきます。

Day3 5/14 (fri)19:00-22:00
ファイナンスの世界から読み解くSDGs/ESGのトレンド

2008年のリーマンショックをきっかけにESG経営に舵を切った欧米とは対象的に日本では「ESGは儲からない」と機運が萎んでしまいました。そして、パリ協定離脱を公約として掲げたトランプ前大統領の誕生により、世界ではSDGsへの取り組みがさらに加速しました。SDGs/ESGにおける日本と世界の現在地を確認するとともに、SDGs/ESGが企業に迫る変革についてファイナンスの視点から考えていきます。

Day4 5/28 (fri)19:00-22:00
SDGs/ESG時代におけるグローバル企業のファイナンス戦略(ケーススタディ)

世界にはファイナンス戦略を上手に使いこなすことで持続的な成長を果たしている「ファイナンス巧者」企業が多く存在します。このようなファイナンス巧者の企業はSDGs/ESGにおいてもリーディングカンパニーです。日本ではフィランソロピーやCSRの延長で「SDGs/ESG=免罪符」と捉えられている風潮もあり、本質が理解されているとは言い難い状況です。ESG経営とはどのようなものか、グローバル企業のケーススタディを通じて考えていきます。

Day5 6/4 (fri)19:00-22:00
サステイナブルファイナンスの実務


ESG経営が世界で広がっていることに対応して金融市場も変化しています。ESGを前提としたサステイナブルファイナンス(ESG投融資)の市場が近年拡大している現状を踏まえ、ESGを中心に据えたファイナンス戦略を実行していくうえで、どのような資金調達の手段をとり得るのか、その際の投資家とのコミュニケーションをどのようにとるべきなのか考えていきます。

Day6 6/18 (fri)19:00-22:00
プロジェクト総括SDGs/ESGを経営の中心テーマに据える


大きな流れは世界規模で不可逆になっています。一方、これらをどう理解し、企業戦略に落とし込んで実践していくべきか、どのように投資家(資本市場)に対して説明責任を果たしていくべきかといった、ステークホルダーで共有されたフレームワークは確立していないカオスな状態です。最終講では、本プロジェクトの総括として、未来予想図からバックキャスティングした企業変革のためのファイナンス戦略を策定・発表し、全員でより良い世界をつくっていくための一歩を踏み出します。
「日本企業を変革するコーポレートファイナンス」は4/16(金)スタートです。
プロジェクトの詳細はこちらをご覧ください。