ブラックロック、投資先に温暖化ガス排出の完全なデータ開示要請
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ブラックロックは、先月、投資先企業に対して「脱炭素」の計画をを開示するように求める方針を明らかにしたものの、周囲から「具体性に欠ける」との声が上がっていました。今回の開示要請は、そのイチャモンに応えるものです。
要請されている内容そのものは予想された範囲内のものでしょう。
Climate Action 100+に参加するグローバル機関投資家が温室効果ガスを大量に排出している世界中の上場企業に対して協働でエンゲージメントし、パリ協定の目標を達成するための気候対策を促すことになっていましたので。
CDP(Carbon Disclosure Project)による温室効果ガスの排出量が多いとされた上位100社に加え、CA100+に参加している投資家が選定した61社の計161社(この161社だけで温室効果ガス排出量が世界の8割超)が対象です。
日本企業からは、ダイキン、日立、ホンダ、JXTG、日本製鐵、日産、パナソニック、スズキ、東レ、トヨタの計10社が選ばれています。
こうした大きなうねりを受けて、トヨタのサステイナビリティレポートを見るとよくわかりますが、ブラックロックの開示要請にはほぼ応えた形になっています。
日本企業でESGに関する開示や統合報告書でどんなことを開示したらいいんだろう??と悩んだ場合、この10社は先端的に取り組んでいるので参考になります。
あと、実際の成果をトレースする仕組みが課題になりますが、テクノロジーとしてはブロックチェーンが有力だと思っています。気候変動への対策、むしろ開示状況が、投資活動の参考になるだけでなく、投資の是非判断にダイレクトに影響を与えるという、象徴的なニュースです。
Scope3も開示対象となるとのこと。記事にあるような製品やサービスが使われることで生じる温室効果ガスの排出量だけでなく、原材料の調達、配送や廃棄に係る排出量も対象となりますので、まさにサプライチーン全体の排出量の把握とマネジメントが求められるわけです。
ブラックロックはこれまでもサステナブル投資に関し積極的な意向を示してきましたが、同社の姿勢はこれまでESG投資に懐疑的であった投資家・投資会社を動かすきっかけとなるかもしれません。環境に関する情報開示の分野では気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が開示を求めていて、ファンドや保険会社が拠点を構える英国などでは義務化されることになっている。一方でデータや情報の取得が難しいことから、投資先に対して情報を要求するのは自然の流れです。社債や融資などについては契約上で情報の提供を義務付けることが通常であり、その中に環境関連の情報も含まれてくる。