[ロンドン 17日 ロイター] - 米資産運用大手ブラックロックは17日、投資先企業に対して、温暖化ガス排出に関する完全なデータを開示するよう求めた。気候変動に対する企業の責任をより明確にする取り組みの一環で、開示が不十分な企業に対しては、株主総会で取締役に反対票を投じる可能性がある。

企業の事業活動そのもので排出される温暖化ガスだけでなく、「スコープ3」と呼ばれる企業が販売した製品やサービスが使われることで生じる温暖化ガスの排出量についても開示の対象とする。製油会社の場合、自動車がガソリンを使用することにより排出される温暖化ガスなども開示対象となる。

ブラックロックは「企業の開示が十分でない場合や、企業が信頼できる計画を提供していない場合には、気候変動リスクの監督責任があるとわれわれが判断する取締役に反対票を投じることがある」と説明している。

また「気候リスクとエネルギー移行に対する企業のアプローチのギャップに対処していると考える株主の提案を支持することもある」としている。

ブラックロックは昨年12月、気候関連問題で関与する企業の数を2倍以上の1000社超に増やすと発表した。2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするための計画を策定するよう企業に求めることも明確にした。

また、ラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は今年1月、投資先企業のトップに送った書簡で、2050年までの温室効果ガス排出量の実質ゼロ化を実現する計画を示すよう求めた。

ただ、ブラックロックに対しては、温暖化対策への取り組みが不十分だとの批判も出ており、温暖化対策でブラックロックの要求を受け入れない企業への投資は止めるべきだとの指摘もある。