[東京 17日 ロイター] - ホンダは、三部敏宏専務(59)が社長に昇格する人事を固めた。八郷隆弘現社長の下、同社の技術開発の核となる本田技術研究所の改革を進めた三部氏を社長に充てることで、電動化をはじめ業界の変化に対応した体制作りを加速する。

事情を知る複数の関係筋が17日までに明らかにした。週内にも取締役会で人事を内定し、6月開催予定の株主総会終了後の取締役会で正式に決定する。

倉石誠司副社長は留任し、三部新体制を支える。八郷氏の退任後については確認が取れていない。

ホンダの広報部はロイターの取材に対し「決まったものはなく、お答えできることはない」とした。

三部氏は1987年に入社し、2014年に執行役員に就任。ホンダの本流であるエンジン開発に一貫して携わりつつも、19年からは研究所の社長として、八郷氏とともに電動化などを見据えた研究・開発体制の改革を進めてきた。

研究所は独立した存在として、ユニークな製品を世に送り出すことで定評のあるホンダの技術を支えてきた。しかし、研究所の技術者主導で開発を進めていたため、生産・購買・営業などの部門との調整に手間がかかり、効率が悪かった。

ホンダは八郷氏が本社の、三部氏が研究所の社長をそれぞれ務める体制の下、これを改革。一部を除いて研究所の開発部門を本社に統合、企画から量産、営業まですべて本社で統括することとし、意思決定や開発の迅速化・効率化を図った。一方、新たなロボティクスやエネルギー、自動運転など次世代技術の研究開発に注力する組織に変えた。

自動車業界は100年に一度と言われる変革期を迎え、中国勢やテスラなど新興メーカーが台頭。アップルなど他業種からも参入が見込まれる。

八郷社長は2015年の就任後、それまでの拡大路線を修正して収益重視に転換。英国工場や狭山工場の閉鎖などを決めたほか、派生車種や開発工数も削減した。2021年シーズンでF1から撤退することも決定した。自動運転など次世代技術分野において米ゼネラル・モーターズとの提携を深める施策も進めた。

*本文2段落目の一部表現を補いました。

(企業ニュース取材班 編集:久保信博、石田仁志)