2021/5/11

【柴山和久】金融リテラシーがないと豊かになれない社会は間違いだ

WealthNavi CEO & Founder
一人ひとりに最適な資産運用を提案し、ほったらかしでも自動で運用を続けてくれるロボアドバイザー投資サービス。その国内最大手であるウェルスナビは2020年12月にロボアドバイザー投資専業として日本初となる上場を果たし、公開価格を50%以上上回る初値をつける人気となった。

2015年に同社を創業し、経営の舵取りを続ける柴山和久氏は、東大、財務省、マッキンゼーという華やかなキャリアを歩んできた。しかし、人生の価値観を大きく変える挫折や経済的困窮も経験したという。

預かり資産が4000億円に達したウェルスナビは、資産運用ビジネスを通して何を目指そうとするのか。柴山氏の「お金哲学」に迫る。(全7回)
柴山和久(しばやま・かずひさ)/ウェルスナビ CEO・創業者
1977年生まれ。東京大学法学部卒。ハーバード・ロースクール、INSEAD(MBA)修了。ニューヨーク州弁護士。2000年から9年間、日英の財務省で、予算、税制、金融、国際交渉に従事。その後マッキンゼーに移り、ウォール街に本拠を置く10兆円規模の機関投資家をサポート。2015年にウェルスナビを創業。著書に『元財務官僚が5つの失敗をしてたどり着いた これからの投資の思考法』がある。
INDEX
  • 金融リテラシーのせいではない
  • 義両親が富裕層になった理由
  • 資産運用への関心の高まり
  • 学ばないと老後資金を作れない?

金融リテラシーのせいではない

日本では、老後に備えて資産運用をするという手法がまだ広がっていません。
1995年から2016年までの21年間で、米国の家計は金融資産を3.32倍に増やしているのに対し、日本では1.54倍にしか増やせていません(データは金融庁平成28事務年度金融レポート)。
これは、米国人が家計金融資産の約半分を株や債券などで保有しているのに対し、日本人は半分以上が預貯金だからです。
こうした状況に対し、「日本人は金融リテラシーが低いから、投資ができず、豊かになれない」という考えを持つ人も多くいます。
でも私は、個人的な経験からも、そのようには考えていません。
米国人である妻の両親は20年以上資産運用をしており、日本人である私の両親は資産運用をしませんでしたが、その一方で両者の金融リテラシーには差がなかったからです。