(ブルームバーグ): ソニー・ミュージックエンタテインメントは、オンライン音楽配信大手コバルト・ミュージック・グループから2事業を4億3000万ドル(約450億円)で買収することで合意した。アーティストに提供できる2つの手段を取り込むとともに、競合相手の1つを切り崩す動きを加速させる。

ソニーは1日の届け出書で、アーティストから著作権を取得せずに音楽をオンライン配信するAWALを買収すると説明した。アーティストに代わりロイヤルティーを集める事業も傘下に収める。

コバルトはこれまで、「A World Artists Love」(世界のアーティストの愛)の頭文字を取ったAWALが音楽業界をいかに改革しているかの事例だと主張してきた。しかし選択肢を検討するため戦略的アドバイザーを起用し、主要資産売却に動いている。コバルトの関連ファンド1本が昨年、同社の著作権を別の企業に譲渡している。

スウェーデンの起業家、ウィラード・アドリッツ氏が創業したコバルトは長い間、大手音楽出版企業に代わる独立した存在と自らを位置付けてきた。収入分割でより寛大な条件を提供し、楽曲を所有しないという理念だった。

こうしたアプローチで主要音楽出版企業を制することはできなかったが、アーティストとの関わり方に変化をもたらした。ミュージシャンの間では作品の管理を長期間維持しながら主要音楽会社の手段と資金を望む声が高まっている。

ソニーミュージックグループのロブ・ストリンガー会長は1日の発表文で「AWALの持続的な成長への投資で、われわれは独立音楽業界向けの新たなレベルのサービスを手に入れる」とした上で、「アーティストのキャリア構築への柔軟なソリューションで、われわれは共に世界の聴衆とつながる一段とエキサイティングな選択肢をクリエーターに提供する」と説明した。

原題:Sony Music Agrees to Acquire Kobalt’s AWAL for $430 Million (1)(抜粋)

(買収金額などを追加して更新します)

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