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株式取引プラットフォームで個人投資家に人気のロビンフッド・マーケッツがビデオゲーム小売りのゲームストップなど猛烈な買いで急騰していた銘柄の取引を制限したことを受け、これに納得しない投資家が28日、同社を相手取った訴訟を相次いで起こした。ただ、投資家の主張が裁判所で認められる可能性はあまりなさそうだ。

訴訟で原告側はゲームストップのほかブラックベリー、ノキア、AMCエンターテインメント・ホールディングスなどの株式取引再開を求めている。この数時間前にはロビンフッドやオンライン取引プラットフォーム大手のインタラクティブ・ブローカーズ・グループなどが、株価が急伸している銘柄の取引を制限する措置を講じていた。

ユーザー側は取引制限で損失を被ったと主張しているが、法律専門家は証券会社には取引を停止・制限する幅広い権限があるとし、いずれもサービス利用開始時に顧客が署名する同意書に明記されていると指摘する。

証券詐欺訴訟が専門の法律事務所を運営し、ロビンフッドを相手取った昨年の訴訟で原告側の弁護人を務めたジェフ・エレツ氏は「ロビンフッドの契約を確認しているが、いつでも取引を停止・制限できると書面にある」と説明した。

訴状によると、マサチューセッツ州在住のロビンフッドのユーザー、ブレンドン・ネルソン氏はニューヨークの連邦地裁に提訴し、同社が「前例のない株価上昇」のさなかにゲームストップを取引プラットフォームの対象から外すことで、投資の手段を奪い市場を操作していると主張。顧客合意の不履行に当たり、金融業界のルールに反するとしている。

イリノイ州ネイパービル在住のユーザー、リチャード・ジョセフ・ガッツ氏もシカゴの連邦地裁に訴訟を提起し、ブラックベリーやノキアなどの取引停止は「個人顧客を犠牲にして機関投資家を保護するものだ」と指摘。自身は「オプション取引で公正な市場価値を得られない」とした上で、「株取引が認められなければ、被告の措置やその取引プラットホームの操作だけで原告が金融上の損失を被る可能性が高い」などと主張した。

フロリダ、カリフォルニア、ニュージャージー各州でも別の顧客が提訴した。ニューヨーク州のジェームズ司法長官は「ゲームストップ株を含めロビンフッドのアプリ上の取引について生じた懸念を承知している。われわれはこの問題を精査している」と語った。訴訟についてロビンフッドにコメントを求めたが、今のところ回答はない。

ロビンフッドのブラッド・テネブ最高経営責任者(CEO)はCNBCとのインタビューで、一部の取引制限は「当社と顧客を守るためだ」とし、マーケットメーカーもヘッジファンドも取引制限を指示していなかったと述べた。同社は、29日から一部銘柄について限定的な購入を認める可能性があるとしている。

原題:Robinhood Customers Sue Over Removal of GameStop, Others (1)、Robinhood Users Suing Over Trade Limits Face High Legal Bar (2)(抜粋)

(法律専門家やCEOのコメントなどを追加して更新します)

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