[28日 ロイター] - 米ゲーム販売ゲームストップが28日の通常取引で一時約45%急落。序盤に上昇する場面もあったが、オンライン証券のロビンフッドやインタラクティブ・ブローカーズなどが同銘柄の取引を制限したことを背景に下げに転じた。

ただその後、ロビンフッドとインタラクティブは取引制限を29日に緩和すると発表。これを受け、時間外取引では再びゲームストップや米映画館チェーン大手AMCエンターテインメント・ホールディングスなどの株価が値上がりした。

取引制限を巡っては、個人投資家を犠牲にしてウォール街を保護する措置だとの批判が、個人投資家、著名人、政策当局者から上がっていた。

これを受け、ロビンフッドは29日から制限付きで株式の購入取引を再開すると表明した。

ロビンフッドのブラッド・テネブ最高経営責任者(CEO)はCNBCとのインタビューで「当社と顧客を守るため、こうした銘柄の購入を制限する必要があった」と説明。

「マーケットメーカーやヘッジファンドなどからの指示で取引を制限したわけでは絶対にない」と述べた。

ブルームバーグが28日、関係筋の話として伝えたところによると、ロビンフッドは、銀行の信用枠から一部の資金を引き出した。JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス・グループなどから少なくとも数億ドルの資金を引き出したという。

ロビンフッドのコメントは取れていないが、同社はブログで、ボラティリティーにより、資本要件や清算機関の預託金に関する義務に影響が出ていると投稿していた。同CEOは流動性危機は全く起きていないと述べている。

取引制限を巡っては、ロビンフットの顧客2人が損害賠償を求めて同社を提訴。同社はネット上で情報が拡散している銘柄の購入取引を停止するとともに、一部の証券について証拠金を引き上げると表明していた。

一部の顧客は、ロビンフットから同意なしに株式を売却するとの通知があったとツイッターに不満を漏らしている。同社のコメントは取れていない。

ゲームストップは、SNS(交流サイト)「レディット」のチャットルーム「WallStreetBets」で個人投資家にゲームストップ株購入を促す呼び掛けが広がったことで、この2週間ほどで1700%急騰した。

ロビンフッドはゲームストップのほか、今週に入って同様に跳ね上がっている米映画館チェーン大手AMCエンターテインメント・ホールディングスやカナダのソフト会社ブラックベリー、ステレオ・ヘッドフォン製造のコスなどの取引を制限した。

インタラクティブ・ブローカーズは、証券取引所や規制当局が何らかの対応をするまで「この状況が解消するとは確信していない」との認識を示した。

オンライン証券各社の対応を受け、ソーシャルメディア上ではウォールストリート(金融大手)の利益を守るためにメインストリート(実体経済)をないがしろにしているとの批判も高まっている。

個人投資家の買いを誘発したレディットのWallStreetBetsが27日遅く一時非公開となり、ゲームストップ、AMC、コス、ブラックベリーは軒並み時間外取引で下落。同チャットルームの影響力の強さが浮き彫りとなった。

しかし、こうしたソーシャルメディア主導の上昇は継続している模様で、米航空大手アメリカン航空は28日の取引で一時20%超上昇した。

キングスビュー・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ポール・ノルテ氏は「ゲームストップ第2弾だ。空売り筋や空売りの好機を探っていた投資家の一角が株価を動かしている」との見方を示した。

また、カナダの銀生産会社ファースト・マジェスティックも30%超上昇。メキシコでの税金を巡る不正行為の刑事責任が免除されたとの報道を受けた。iシェアーズ・シルバー・トラスト上場投資信託(ETF)も上昇した。

WallStreetBetsには「ゲームストップを手掛けた後は、マクロ面のファンダメンタルズをけん引役にファースト・マジェスティックとiシェアーズ・シルバー・トラストETFに買い戻しが入るだろう」と投稿された。

規制当局の資料によると、ファースト・マジェスティックの1月前半の空売り比率は24.9%と12月後半の21.1%から上昇した。

フォルトゥナ・シルバー・マインズとフレスニーヨが10%高となったほか、パン・アメリカン・シルバー、エンデバー・シルバー、シルバーコープも上昇した。

ゲームストップなどの株価急騰を受け、規制強化を求める声が上がる中、証券取引委員会(SEC)のクレイトン委員長はCNBCに対し「空売りの監視では、米市場は最も透明性が高いと言えるだろう。しかし、常に改善の余地はある」と語った。

*内容を追加しました。