[東京 27日 ロイター] - ファナックは27日、21年3月期通期の連結営業利益予想を前年比19.8%増の1058億円に上方修正したと発表した。FAやロボット、ロボマシンの各分野でITや電気自動車(EV)関連などの旺盛な需要が見込まれるとしている。今年度2度目の上方修正で、従来の減益予想から一転、増益予想となった。4―12月期は中国が新型コロナウイルス禍からいち早く回復し、業績を牽引した。

IBESによるアナリスト22人のコンセンサス予想によると、21年3月期通期の連結営業利益予想の平均値は856億円。

山口賢治社長は27日の決算説明会で「第1四半期を底に回復してきている」と述べた。10―12月期の売上高は前期比19.5%増の1448億円で、地域別には中国が前期比37.6%増の510億円と全体を牽引。米州は同11.0%増の324億円、アジアは同27.1%増の186億円、国内は同7.2%増の196億円だった。

10―12月期の受注高は前期比34.8%増の1705億円。山口社長は「非常に現地の引き合いは強く、幅広い業種から引き合いがある」と説明した。ロボットの受注は四半期ベースで17年度4―6月期以来、過去最高を更新し661億円。中国ではIT関係のほか建機、自動車関係も好調だった。ロボット主体の米国はEVを含む自動車関係が好調で、物流関係など一般産業向けも増えているという。国内は「増えてきているが過去の良い状況ほどは増えていない」とした。

もっとも、山口社長は「第4四半期も続くかはよく見通せていない」と慎重な見方を示した。中国はこれから春節(旧正月)を迎えるため「それを見越した先々の納期の発注も入っている可能性がある」という。

世界的な脱炭素の動きを受けて、今後のEVの普及が見込まれるが、山口社長は自動車のEV化に伴って、生産現場で「ロボットを使う台数が増える可能性は十分にある」との見方を示した。車体関係では今のエンジン車とほぼ変わらない一方、バッテリーをロボットで組み立てるニーズなどが出てきているとし「バッテリー周りやインバーター、モーター周りでロボットをもっと使う可能性はある」とした。

20年4─12月期の営業利益は前年同期比4.9%減の652億円だった。コロナ禍で世界的に設備投資が抑制され、上期のスローダウンが重しとなったが、足元では回復してきている。四半期別では、10―12月期の売上高は前年同期比15.4%増の1448億円、営業利益が同68.2%増の329億円だった。

*内容を追加しました。

(平田紀之)